1408


2008年11月22日(土)「1408号室」

1408・2007・米・1時間47分(IMDbではディレクターズカット版112分)

日本語字幕:丸ゴシック体下、栗原とみ子/シネスコ・サイズ(マスク、with Panavision、Super 35)/ドルビー、dts、SDDS(IMDbではドルビー・デジタル)

(米PG-13指定)

公式サイト
http://room1408.jp/
(入ったら音に注意。全国の劇場案内もあり)

「幽霊ホテル10」などの著者、オカルト作家のマイク・エンズリン(ジョン・キューザック)のもとに1通のはがきが届く。そこにはただ、ニューヨークのドルフィン・ホテル1408号室には泊まるな、とだけ書かれていた。興味を持ったマイクはいろいろと調べて、奇怪な事件が起こり、その部屋で56人もの人が死んでいることを知る。そして取材に向かう。ホテル側は空室ではないと断るが、訴えると脅して直接支配人のジェラルド・オリン(サミュエル・L・ジャクソン)から鍵を借りる。マイクはそこで、初めて本当の心霊現象を体験することになる。

70点

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 ホラーの名手。スティーブン・キング原作の短編の映画化。ボクは原作を読んでいないが、導入部分で自ら敷居を高くしてしまって、後半ほとんど怖くない結果に。突然ラジオがなり出したり、窓が閉まったり、人が現れたりと、ビックリさせるだけ。ジョン・キューザックとサミュエル・L・ジャクソン以外見るところがない。ただ、決してつまらないというわけではない。面白いかというと、そうでもないと。結局キング作品は映画化するとつまらないというところに落ち着いてしまうのか。

 冒頭で、オカルト作家、超常現象の専門家と言ってしまっている。しかも、1人でそういう部屋に泊まって、一度も本当の超常現象に遭遇したことはなく、みなウソだと言い切るような人物として描いている。当然、観客は(少なくともボクは)主人公がこれから、本物の超常現象というか心霊現象に遭遇し、それらを冷静かつ客観的に分析し、原因を探り、除霊なりなんなり解決に導くものだと予想する。

 支配人も、1時間もったヤツがいないんだから、止めておけと何度もアドバイスするのに、それを屁とも思わないように断っておきながら、実際に心霊現象が始まると数分もしないうちに「警察を呼んでくれ」だのと泣き叫び、俺の負けだと逃げだそうとする。

 つまり前半で主人公の強がりをじっくりと見せられて、後半でビビッて逃げ惑う姿を見せられ、何ひとつわからず、またなにひとつ解決しないまま終わる。何だ、これ。これだけの役者を集めて、お金を掛けてこれかよ、みたいな。しかもこのネタ、昔の日本のTVドラマ「怪奇十三夜」だったかで、朝まである部屋で過ごせばOKとかいう話があって、それに似ている。1回助かったとだまされる仕掛けがあり、そこまで一緒。

 しかも、心霊現象が「1時間もったヤツがいない」ほどこわくない。なにしろ、ビックリ系だ。最初にハードルを上げすぎて、監督は自分でそれを超えられなくなってしまったという感じ。

 その監督はミカエル・ハフストロームというスウェーデン生まれの人。映画評論家からTV界に入り映画、そしてハリウッド・デビューという輝かしい経歴。脚本も書くようだが、本作は書いていない。たぶん日本での劇場公開は初めて。劇場作品はみなホラーのようだ。最新作はジョン・キューザック、コン・リーやチョウ・ユンファ、渡辺謙らが出る太平洋戦争開戦直前の上海のドラマで、すでにポスト・プロダクションに入っているらしい。どうなんだろう。

 脚本はIMDbではマット・グリーンバーグ、スコット・アレクサンダー、ラリー・カラゼウスキー3人の名前が挙がっているが、公式サイトではスコット・アレクサンダー、ラリー・カラゼウスキーの2人のみ。マット・グリーンバーグは「ハロウィーンH20」(Halloween H20:20 Years Later・1998・米)や面白かった「サラマンダー」(Rein of Fire・2002・英/アイルランド/米)を書いた人。スコット・アレクサンダーは「エド・ウッド」(Ed Wood・1994・米)や「ラリー・フリント」(The People vs. Larry Flynt・1996・米)など、ちょっと悲哀のこもったコメディ系が多い人。ラリー・カラゼウスキーはUSC映画学校でスコット・アレクサンダーと知り合い、「エド・ウッド」以後ほとんど2人で脚本を書いているようだ。こちらり2人がメインだとすると、ホラーにふさわしい人選だったのかどうか。

 車のヘッドライトの光芒にタイトルが浮き上がるオープニング・タイトルのデザインは、ダレン・アグニューという人。面白かった「Mr.ビーン カンヌで大迷惑?!」(Mr. Bean's Holiday・2007・英ほか)のタイトルも手がけているらしい。

 公開初日の初回、新宿の劇場は50分前に着いたら誰もいなかった。35分前になっても中年夫婦が1組だけ。25分前に開場した時で、ようやく6〜7人。スーパー・ペア・シート以外全席自由。最終的には1,064席に50〜60人の入り。これは少ない。老若比は半々くらいで、女性は5〜6人。

 チャイムが鳴り、カーテンが上に上がって明るいままCM・予告の上映。上下マスクの「エグザイル/絆」は、内容はよくわからないが、すごいアクションで、男の友情というか絆を描いたものらしい。明るいカットは良いが、暗いカットがよく見えない。弾着で粉末の血糊を使っていたようだが……。

 マーク・ウォールバーグの上下マスク「アンダー・カヴァー」も暗いカットが多く、気になった。ジェイソン・ステイサムの上下マスク「デス・レース」も面白そう。だいたいジェイソン・ステイサムの作品にハズレはなく、監督もポール W.S. アンダーソンだというから、期待できるのでは。

 「40歳の童貞男」チームの作品が2本公開されるようで、題して「男たちの恋愛強化月間」。「無ケーカクの命中男」と「寝取られ男ラブ・バカンス」。どちらもパッとしない感じが逆にスゴイかも。

 上下マスクの「007慰めの報酬」は< 欧米ではとても評判が良いらしい。予告を見た限りでは、よくできたアクション映画のよう。007っぽく感じないところが気になるが……。

 スクリーンが左右に広がってシネスコになり、暗くなって本編の上映。


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