SAW V


2008年11月29日(土)「SAW 5 ソウ5」

SAW V・2008・米・1時間33分(IMDbでは92分)

日本語字幕:丸ゴシック体下、松浦美奈/ビスタ・サイズ(by Panavision)/ドルビー・デジタル、dts、SDDS

(米R指定、日R-15指定)

公式サイト
http://saw5.asmik-ace.co.jp/
(音に注意。全国の劇場案内もあり)

ジグソウ(トビン・ベル)がベッドの上で喉をかき切られて死んでおり、近くには頭を吹き飛ばされた死体もある。そこへ踏み込んだFBI捜査官のストラム(スコット・パターソン)は、隠し扉を見つけ入る。そこにテープレコーダーがぶら下げてあり、ジグソウのメッセージが流れる。「この先へ進むか、やめておくか、君の選択次第だ」と。そのころ、ホフマン刑事(コスタス・マンディラー)が幼い子供とともに救出され、唯一の生存者と報道されていた。ストラムは通路の先のトラップに掛かってしまうが、機転を利かせて辛くも脱出、九死に一生を得る。FBIの上司エリクソン(マーク・ロルストン)は、ストラムに事件から外れ休養するよう命令する。しかしストラムは退院すると密かに調査を始め、まず殺人現場へ行ってみる。そのころ、3人の女性と2人の男性が首輪でつながれて、コンクリートの部屋で目覚める。そこへジグソーの声が「ようこそ、ゲームを始めよう」と流れる。

70点

1つ前へ一覧へ次へ
 ただの殺戮ショー。ほとんどストーリーはないに等しい。前作の終わりから始まるものの、ほとんど「4」のサイド・ストーリーというか、語り足りなかったことを描いているに過ぎない。

 前振りでジグソウの奥さんが弁護士に呼ばれて遺品が手渡されるが、非常に思わせぶりなのに、結局何なのか明かされない。「6」を作るつもりなのかもしれない。そして、チラシや予告の「真の後継者は誰なのか」というキャッチ・コピーに対する答えもない。内容は「4」なのだ。犯人も同じだし、結果も同じと言っても良い。

 今回殺される犠牲者だけが新しい。殺す手法も新しいが、殺戮ショーだからそれでいいものの、普通はその理由や、そこへ至る経過、もしくはその後の犯人捜しなどが描かれ、そこがメインになる。本作は「殺し」こそがメイン。「1」は良かったなあ。せいぜい「2」まで。あとは作らない方が良かったのでは。

 出演者もほとんど「4」と同じ。新たに惨殺される5人と、FBIの上司が新しいくらい。死んでしまったジグソウも回想シーンでばんばん出てくる。なんだコレ。

 トビン・ベルはすっかり悪役のイメージが染みついてしまったようで、つい 最近TV放映された「キル・ポイント(The Kill Point・2007・米)というTVドラマでも、怪しげな会社社長を演じていた。劇中、ただの殺人とは違うことを力説するが、観客にとっては違いをそれほど感じられず、その程度の理由ならどうでもいい。ヘンな理屈なんか付けない方がよっぽどマシとしか感じられない。

 新たな犠牲者5人のうち、事件を報道しなかった新聞記者を演じたのは、カルロ・ロタ。人気ドラマ「24 Twenty Four」のシーズンVIで、クロエの元カレ、モリスを演じていた人。そんなに悪くなさそうなのに。早々に消えてしまう。予算の関係だろうか。もっと悪そうな感じ悪い男の方が生き残る。

 新たな5人の中の、問題とされた事件の建築許可を与えた美人女性係官はジュリー・ベンツ。シルヴェスター・スタローンの「ランボー最後の戦場」(Rambo・2008・米/独)で、ランボーに夫を助けてくれと頼んでくる女を演じていた人。本作では悪い女なので、あまり印象も良くなく、記憶にも残らない。美人なんだけど。

 脚本はパトリック・メルトンとマーカス・ダンスタンの2人。ともに「SAW 4」(Saw IV・2007・米)の脚本を書いた人で、彼らにとってはちょっとした延長に過ぎなかったという感じだろう。破綻はしていないが、感心もできないなあ。「4」の前に2人で書いた「The Feast/ザ・フィースト」(Feast・2005・米)が評価されたらしい。日本公開は今年3月だったようだが、小劇場の公開だったようで見ていない。

 監督はパトリック・メルトンという人。「ソウ」の「2」〜「4」までプロダクション・デザインをやっていた人。たぶん演出としては問題はないのだと思う。問題は企画と脚本だろう。製作総指揮にオリジナルのジェームズ・ワンとリー・ワネルの名前があるが、どれだけ関わっているのか。できれば、もう作らないで欲しい。

 FBI捜査官が使っていたのはグロック。本来ならば.40S&WのG22だろうがスクリーンではG17もG22も一緒。ジグソウは切り詰めたハンマー外装式の水平二連ショットガンを使う。

 公開初日の初回、新宿の劇場は40分前に着いたら若い人が2人。30分前に7〜8人になって、20分前くらいに開場。この時点で10人くらい。全席自由で、スクリーンはビスタで開き。中高年は3〜4人。オバサンが1人。あとは若い人。最終的に406席に40人くらいの入り。多くの人が前作を見て期待していなかったということかもしれない。この出来ではこんなものだろう。

 非常口以外の明かりが消え暗くなって始まった予告編は……名子役の須賀健太の主演で「釣りキチ三平」が実写映画化されるらしい。どんな感じになるんだろう。

 「感染列島」は新予告。内容がわかるようになってきた。上下マスクの「ウォーリー」は掃除機版予告。「ミラーズ」はちょっと長いバージョンでの予告。怖さが薄れた感じもする。「地球が静止する日」はキアヌー・リーブス本人が現れて、ニュー・トレーラーを楽しんでくださいと言うビデオ・メッセージ版。


1つ前へ一覧へ次へ