Death Race


2008年11月30日(日)「デス・レース」

DEATH RACE・2008・米・1時間45分

日本語字幕:手書き書体下、林 完治/シネスコ・サイズ(マスク、Super 35)/ドルビー・デジタル、dts、SDDS

(米R指定、日PG-12指定)

公式サイト
http://www.deathrace.jp/
(音に注意。うまく入れなかった。全国の劇場案内もあり)

2012年、刑務所が私営化され、ターミナル島の刑務所は現代のグラディエーターのコロッセオとして生死をかけた格闘を見せて利益を上げていたが、やがてそれはデス・レースへと発展していった。このレースも命がけだが、5回優勝すると無罪放免されるという特典が与えられる。そしてネットで全世界に有料動画配信されており、スターも生まれていた。マスクの男フランケンシュタインことフランクは4回優勝。しかし5回目の優勝がかかったレースで、ライバルのマシンガン・ジョー(タイリース・ギブソン)によってクラッシュさせられ、命を落としてしまう。レースの発案者である所長のヘネシー(ジョアン・アレン)は人気者の死を隠し、視聴率を維持するため、元レーサーのエイムズ(ジェイソン・ステイサム)を罠にはめて刑務所に入れ、無理矢理マスクをかぶせフランケンシュタインとしてレースに参加させる。

74点

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 おもしろい。まさにゲーム感覚ムービー。スピード感満点で、ハラハラ、ドキドキ、カッコいいし、スカッと爽快で、おもしろい。ちょっと感じは「ワイルド・スピード」(The Fast and the Furious・2001・米)に似ているかも。レース・カーの雰囲気は「マッドマックス2」(Mad Max 2・1981・豪)か。

 実はデヴィッド・キャラダインが主演したロジャー・コーマン、プロデュース作品、SFアクションの「デスレース2000」(Death Race 2000・1975・米)のリメイク。確かオリジナルは何でもありの命をかけた大陸横断レースだったと思うが、それを大胆に「スピード・レーサー」(Speed Racer・2008・米)のように奇想天外なスピード感あふれるレースにした。サラウンド感もたっぷり。

 刑務所内で開催され、釈放が掛かっているという設定。車には銃器が搭載され、防弾板で装甲され、煙幕や火炎放射も備えている。そして、コースの路面に埋め込まれたスイッチを踏むことで、それぞれの装備が使用可能になるという、本当にテレビ・ゲームのような設定。さすがはゲームオタクを自称するポール・W・S・アンダーソン監督。

 脚本も良く出来ている。多少強引なところはあるが、それをあまり感じさせないでエンディングまで持って行ってしまう。仕掛けも面白い。カッコいい役者が出て、大暴れする。見所もいっぱい。期待を裏切らない。ラストはスカッとさわやか、そしてチラッとだけ現実的なところも見せて、笑って劇場を後にできる。うまい。お金を払った人に損はさせないというところか。

 主演は、だいたいこの人が出ていれば面白いというイギリス生まれのジェイソン・ステイサム。2008年になって日本劇場公開されたリュック・ベッソン・プロデュース、ガイ・リッチー監督の「リボルバー」(Revolver・2005・英/仏)はさすがにダメだったけれど、ほぼどれもおもしろい。ガイ・リッチー監督の面白かった「ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」(Lock, Stock & Two Smoking Barrels・1998・英)で映画界デビューを飾ったから、断り切れなかったのかも。つい最近「バンク・ジョブ」(The Bank Job・2008・英)に主演していた。

 共演のマシンガン・ジョーは「ワイルド・スピードX2」(2 Fast 2 Furious・2003・米)のタイリース・ギブソン。「フライト・オブ・フェニックス」(Flight of Phoenix・2004・米)ではデニス・クエイドの相棒を、「フォー・ブラザーズ 狼たちの誓い」(Four Brothers・2005・米)ではマーク・ウォールバーグの兄弟を、「トランスフォーマー」(Transformers・2007・米)ではカタールに派兵された米軍兵士を演じていた。

 刑務所長ヘネシーはジョーン・アレン。傑作ファンタジーの「カラー・オブ・ハート」(Pleasantville・1998・米)で、お母さんを演じていた人。たぶん、それより「ボーン・スプレマシー」(The Bourne Supremacy・2004・米)のCIA職員のほうが有名。

 メカニックのコーチはイギリス生まれのイアン・マクシェーン。1960年代初めから活躍しているベテランで、航空機映画「バトル・オブ・ブリテン」(Battle of Britain・1969・英)でパイロットを演じていた。モーゼル映画「電撃脱走・地獄のターゲット」(Screaming Target・1972・英)にも出ていた。最近はアニメの声の出演も多いようで、「カンフー・パンダ」(Kung Fu Panda・2008・米)の刑務所に入れられていた弟子のタイ・ランの声を当てていた。実写では、なかなか面白かったファンタジー「光の六つのしるし」(The Seeker: The Dark is Rising・2007・米)で、主人公を助ける古老の1人を演じていた。

 ナビゲーターを演じた美女はナタリー・マルチネス。どうやら劇場映画は初出演らしい。これまではTVに出ていたらしい。今後どう活躍するか。

 敵役の憎たらしいパチェンコを演じたのは、実はイギリス生まれの二枚目、マックス・ライアン。憎たらしく見えるようにソフト・モヒカンにして眉を細く、ソリも入れ、無精ひげにしている。リュック・ベッソン印のジェット・リー映画「キス・オブ・ザ・ドラゴン」(Kiss of the Dragon・2001・仏/米)に出ていたようで、その後ちょっとガッカリだったSF冒険ファンタジー「リーグ・オブ・レジェンド/時空を超えた戦い」(The League of Extraodinary Gentlemen・2003・米/独)で、悪の親玉ファントムの部下を演じていた。なんと新作が6本も控えているというからスゴイ。みんな悪役なのだろうか。

 なんと、冒頭に登場したフランケンシュタインの声を担当したのが、オリジナルル版「デスレース2000」の主人公フランケンシュタインを演じたデヴィッド・キャラダイン。『サヨナラ』なんて日本語をしゃべっていた。「キル・ビル」(Kill Bill: Vol.1・2003・米)のビル役で知った人もいるだろうが、ボクらだとTVの「燃えよ!カンフー」(Kung Fu・1972〜1975・米)だったり、年末のお楽しみ「爆走!キャノンボール」(Cannonball・1975・米/香)だっり、ショッキングだった西部劇の「ロング・ライダーズ」(The Long Riders・1980・米)だったりする。

 銃器は、看守たちはMP5とM4A1カービン。車の武装は30mmという設定になっているらしいバルカン砲だが、それを普通車に積むのはたぶん無理。7.62mmのモニガンのよう。時々、銃身が回転していないのに撃っているカットがあった。薬莢はぼろぼろとばらまかれていた。ほかにMG34の2連装らしいものや、M1919の2連装、M2ブローニング、DShk(ドーシカ)もあったような。ドレッドノートにはM1エイブラムス戦車の砲塔まで付いている。ほかにRPGも登場。所長は机の下に切り詰めたハンマー外装式の水平二連ショットガンを仕込んでいる。アーマラー(武器係)のボスはチャールズ・テイラー、ほかにヴィンセント・ジョセフ・フラハティ、マイケル・パパック、そしてIMDbによればクレジットなしでアル・ヴルクヤンも。人数からしてスゴイ。

 監督・脚本はイギリス生まれのポール・W・S・アンダーソン。ちょっと前に「エイリアンVS.プレデター」(AVP: Alien vs. Predator・2004・米ほか)があったが、いまいちの出来。やっぱり「イベント・ホライゾン」(Event Horizon・1997・英/米)と「バイオハザード」(Resident Evil・2002・英ほか)が良かった。すでに新作が進行中で、監督はしないが「バイハザ4」が2010年公開予定らしい。

 ユニバーサルの地球が次第に滑車にモーフィングして、メカになって、カー・レースへつながっていくオープニングはなかなか見事。クレジットではタイトルはピクチャーミルとなっていた。

 曲は「バイハザ」風で、バイハザ・マークも出ていたのは、監督の遊び心か。

 公開2日目の2回目、前日に座席を予約しておいて、15分前に着いたらすでに開場済み。10分前くらいから劇場前方が暗くなり案内上映。この待つ時間も楽しいということを、最近シネコンに行って思うようになった。シネコンはギリギリに開けて、終わったら一斉に追い出す。前後のノリシロがないのでこの期待が盛り上がるドキドキ、ワクワクする時間がない。

 ほぼ中高年で、オリジナル版の「デスレース2000」を劇場で見た人たちか。男女比は6対4くらいで男性が多かった。最終的には400席の3.5割くらいが埋まった。もっと入っても良い映画だと思うけど。

 暗くなって始まった予告編は……「20世紀少年」は前作がイマイチで、あまり期待が持てない感じ。3部作だから「2」は結局つなぎだろうし……。

 「地球が静止する日」はキアヌーのメッセージ付き。そういえばビスタだったんだ。スペクタクル系なのになぜシネスコにしなかったんだろう。

 スクリーンがシネスコになってトム・クルーズの第二次世界大戦秘話「ワルキューレ」の予告。絵がクリアで瑞々しくキレイ。アフリカ軍団も出てくるんだ。実際にはアフリカ軍団のロンメル将軍も関わっていたらしいからか。期待できそう。


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