Wall-E


2008年12月7日(日)「WALL・E ウォーリー」

WALL・E・2008・米・1時間43分(IMDbでは98分)

日本語字幕:手書き書体下、稲田嵯裕理/シネスコ・サイズ(デジタル)/ドルビー・デジタル、dts、SDDS(IMDbではドルビー・デジタルEX、dtsES、SDDS)

(日本語吹替版もあり)

同時上映・短編

「マジシャン・プレスト」

PRESTO・2008・米・5分

日本語字幕:手書き書体下/ビスタ・サイズ(デジタル)/ドルビー・デジタルEX、dtsES、SDDS(IMDb)

公式サイト
http://www.disney.co.jp/movies/wall-e/index.html
(音に注意。全国の劇場案内もあり)

29世紀、人類は巨大な宇宙船アクシオンで移住の旅に出て、地球全体が廃墟と化してしまった。動くものは700年間ゴミ掃除を続けているソーラー・パワーのロボット“ウォーリー”(声:ベン・バート)と友達のゴキブリだけ。そこへある日、ロケットが着陸し、卵形のロボット“イヴ”(声:エリサ・ナイト)を置いて去る。探査を始めるイヴに一目惚れしたウォーリーは何とか気を引こうと試みる。そしてある日、たまたま植物の芽を発見するとそれを体内に収容し、一切の活動を止めて信号を発し始める。やがてイヴを見守り続けるウォーリーの前に、再びロケットが現れイヴを回収していく。思わずウォーリーはイヴを追ってロケットにとりつき、そのまま宇宙空間に飛び出てしまう。やがてたどり着いた先は、巨大な宇宙船で船体にはアクシオンと書かれていた。

80点

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 感動した。おもしろい。よくできた大冒険ストーリー。そしてピュアなラブ・ストーリー。3D-CGであることなんかすっかり忘れて、実写を見ている感覚で最後まで没入して見ることができた。人間が出てきて初めて、あっCGだったんだと思い出すくらい(前半のビデオは人間は実写だ)。それだけリアリスティックな絵だったわけだけれど、結局はそんなことより魅力的なキャラがロボットというより人間に見え来て、感情移入できたということだと思う。

 とにかくウォーリーがカワイイ。帰りにロビーでオモチャを買いたくなったほど。ちょっと「ショート・サーキット」(Short Circuit・1986・米)や、「サイレント・ランニング」(Silent Running・1972・米)のドローンに似ているような気も。ストーリーは子供にはちょっと難しいかもしれないが、大人が充分楽しめて、もちろんファミリーでも楽しめる良質な映画。セリフもほとんどないので、子供でも、あえて吹替版でなくても字幕版でもわかるかもしれない。

 前半はほとんど無声映画というか、パントマイムの世界。もちろん仕草が人間っぽいこともあるし、効果音、そして音楽も絶妙。これで笑わせ、キャラクターを(感情を)伝え、わかってしまう。

 ただ、気になるところがないではない。なぜ人々がたいした説明もないまま、ウォーリーたちを助けて地球に帰ろうとするのか。

 前半は新しい気がしたが、宇宙船に到着してからの後半はなんだか「モンスターズ・インク」(Monsters, Inc.・2001・米)のような感じ。神経質なほどきれい好きなお掃除ロボットのモーも、「モンスター……」の汚染除去係に似ているし。 壊れたロボットたちというのはもなんだか精神病患者のように見えて、その彼らが主人公たちの脱出を助けるというのは、どこかで見たことあるような……。「トイ・ストーリー」(Toy Story・1995・米)でも壊れたオモチャたちが出てきたっけ。

 宇宙船のコントロールを司っている船の舵のような形をしたロボット、オートは、中央の目が「2001年宇宙の旅」(2001: A Space Odyseey・1968・米/英)のコンピュータ、HALのように赤い。しかも音楽が「2001……」で使われていた「ツァラトゥストラはかく語りき」。

 監督・脚本はアンドリュー・スタントン。「トイ・ストーリー」、「バグズ・ライフ」(A Bug's Life・1998・米)、「モンスターズ・インク」、「ファインディング・ニモ」の脚本を手がけた人。監督としては「バグズ・ライフ」、「ファインディング・ニモ」を手がけている。なるほど。

 本作で重要な役割を担うサウンド・デザインを担当したのは、ベン・バート。「スター・ウォーズ」(Star Wars・1977・米)以来ずっとシリーズのサウンド・デザインを手がけた人で、ライト・サーベルのブーンという音を作った人。「レイダース/失われたアーク」(Raiders of the Lost Arc・1982・米)のインディ・ジョーンズ・シリーズもずっと手がけている大ベテランだ。たぶんどこかにR2D2っぽいところが入っているのではないだろうか。

 なんと、宇宙船のコンピュータの声を出していたのは、「エリアン」(Alien・1979・英/米)のシガニー・ウィーバーなんだとか。ビックリ。

 冒頭、ウォーリーが見ている実写のビデオはジーン・ケリー監督の「ハロー・ドーリー!」(Hello, Dolly!・1969・米)らしい。そういえば、それにも出ていたルイ・アームストロングの「ラ・ビ・アン・ローズ」も使われていた。

 ウォーリーは「ハロー……」をiPodに入れる。しかも太陽電池の充電が終わると、Macの起動音がする。スペシャル・サンクスにスティーヴ・ジョブズの名前があったから、やはり前オーナーに敬意を表したのだろう。ちなみにWALL・Eは、Waste Allocation Load Lifter-Earth-classの略らしい。あとで出てくる大型のはWALL・Rとあった。

 洞窟の絵から、モザイク画、ルノアールやゴッホのタッチを経てドット絵と、どんどん近代的な絵になっていくエンド・ロールはなかなか秀逸。タイトル・デザイナーが担当したのだろうか。

 公開3日目の字幕版1回目、銀座の劇場は全席指定なので前日に座席を予約しておいて、20分前に着いたら清掃中。ロビーはたくさんの人でごった返していた。10分前に開場。

 スクリーンはフルに(70mm?)で開いており、予鈴、本鈴の後、CM・予告が始まってもゾクゾクと入ってくる。最終的に654席の7割くらいが埋まった。それにしても、プレミアム席はわかるが、まだぴあ席があるとは驚き。全席指定なんだから必要ないだろう。

 老若比は4対6くらいで若い人が多く、男女比は3.5対6.5くらいで女性が多かった。目立っていたのは若い女性層。

 気になった予告は……もうどうでもいい感じだが「20世紀少年 ―第2章―最後の希望」の予告が始まった。内容はよくわからない。

 「K-20 怪人二十面相・伝」は新予告に。何だかちょっとレトロな冒険活劇という感じで期待が持てる。

 ポール・ニューマンが最後にナレーションを務めたと宣伝している(なのに日本語版もあって三谷幸喜が担当)BBCのドキュメンタリー「ミーアキャット」は、なかなか笑えて面白そう。

 ディズニー・アニメの4部作とか言う「ティンカー・ベル」はとても色がキレイで鮮やかだが、内容がよくわからず、どうも子供向けのような感じ。

 照明が暗くなって、スクリーンがシネスコになりドルビー・デジタルの宇宙版のデモがあって本編の上映。盗撮禁止のCMがうざったくなってきた。本編上映の直前、スクリーンが大きくなってから上映されるのが嫌らしい。しかも画質が下手な予告編より良いと来ているから余計に腹が立つ。CM・予告の一番最初にやってくれないだろうか。


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