The Day the Earth Stood Still


2008年12月20日(土)「地球が静止する日」

THE DAY THE EARTH STOOD STILL・2008・米・1時間46分(IMDbでは103分)

日本語字幕:丸ゴシック体下、林 完治/シネスコ・サイズ(マスク、with Panavision、Super 35、IMDbではIMAX版もあり)/ドルビー、dts、SDDS(IMAX版はSonics-DDP)

(日本語吹替版もあり)
(米PG-13指定)

公式サイト
http://movies.foxjapan.com/chikyu/
(音に注意。全国の劇場案内もあり)

プリンストン大学の宇宙生物学者ヘレン・ベンソン(ジェニファー・コネリー)は、突然、政府のエイジェントに拉致されるようにニュージャージーの陸軍学校へ連れて行かれる。ほかにもたくさんの科学者が集められており、木星の軌道の外側で未確認物体が発見され、秒速3万キロの超高速でまっすぐ地球に向かっているというのだ。このままでは78分後には衝突してしまう。ところが、地球に近づくと未確認物体は速度を落とし、マンハッタンに着陸する。中から現れたのは人の形をした生物(キアヌ・リーヴス)で、手を差し出すが、包囲していた兵士の1人が発砲し倒れてしまう。すぐに緊急手術が行われるが、ほとんど人間と同じであることが判明する。回復した彼は、地球を救うため、人類を抹殺するという衝撃的なメッセージを伝える。

71点

1つ前へ一覧へ次へ
 うーむ。これは……。内容がない。理論というかテーマだけがあって、それを伝えるべき具体的なエピソードがないから空虚。言葉だけなのでとてもお説教臭く感じてしまう。納得できないし、盛り上がりにも欠ける。

 導入部分は非常に面白そうで、ぐんぐん引き込まれるのに、逃亡が始まってからがどうにも……。本来ならここからが面白くならなければならないはずなのに、ほとんど何も起きない。だから、なぜ宇宙人が納得して人類を滅ぼすのを止めるのかがわからない。宇宙人に感動与える役割であるはずのベンソン母子が、最初に抱えている継母と亡くなった夫の子という関係を最後まで変えられていないことに最も大きな原因があると思う。やっぱりなにか事件があって、継母が命を賭して子を助けようとするとかして、子供が愛されていることに気付くエピソードがないと、口で言われただけではピンと来ないというか……。

 観客が人類は生かしておいても良いという風に映画から感じないと、映画の中の宇宙人だって考えは変わらないと思う。ちっとも人間の良さが描かれていないのに、変わるはずがない。矛盾だらけだけど、憎めないとか、未来があるとか。そんなこともないなんて。ギリギリのところで、はじめて本性が現れて……って、ぎりぎりのところなら誰でもどんな嘘でもつくだろう。ということは、つまり劇中でジェニファー・コネリーが言うように「せめて(チェンジできるという)チャンスを」ということなら、わざわざ地球までやってきて、ここまで大げさなことやらなくてもわかるだろう。文明が人類より進んでいるはずなんだから。

 たぶんオリジナルの「地球の静止する日」(The Day The Earth Stood Still・1951・米)も似たような内容だったと思うけれど……ただ日本語タイトルはどうなんだろう。内容と関係がない。止まらないじゃん。1951年当時は地球が自転(公転)を止めたらどうなるか、なんて話で盛り上がっていたのかも。

 陸軍基地にはNASAのほかにニューヨーク市警の特殊部隊も出張ってきていて、NYPD-ESUという文字の付いたジャケットを着ている。軍はM16A2ライフル、M4A1カービン、M2重機関銃などを装備しており、ESUはグロックやナイトビジョン付きボルト・アクション・ライフルなど。

 ヘリは、バートル、イロコイ、アパッチ、など。車両ではM1エイブラムス戦車、ハンビーなども登場。お金がかかっている。

 クラトゥーを撃つ銃はベレッタのM92だったが、トリガー・ガードが丸かったのでSBか。

 宇宙人クラトゥはキアヌ・リーヴス。最近の作品で言うと、実写をアニメ化した「スキャナー・ダークリー」(A Scanner Darkly・2006・米)は酷かったが、韓国映画のリメイクで、大ヒット作「スピード」(Speed・1994・米)を思わせるサンドラ・ブロックとの顔合わせの「イルマーレ」(The Lake House・2006・米)は良かった。本作もほとんど無表情でなかなか良い雰囲気。

 ヒロインの宇宙生物学者ヘレン役はジェニファー・コネリー。選んでいるからなのか、だいたい良い作品に恵まれている。ひき逃げ犯を描く「帰らない日々」(Reservation Road・2007・米)は予告編だけで気が重くなって見なかったが、レオナルド・ディカプリオと共演した「ブラッド・ダイヤモンド」(Blood Diamond・2006・米)も良かった。

 ヘレンの血のつながっていない息子ジェイコブを演じたのは、ジェイデン・スミス。「ハンコック」(Hancock・2008・米)のウィル・スミスと、「マトリックス リローデッド」(The Matrix Reloaded・2003・米)シリーズで女船長ナイオビを演じた美女ジェイダ・ピンケット=スミスの息子。一文無しから復活する親子を描いた実話の映画化「幸せのちから」(The Pursuit of Happness・2006・米)で、本当の父親のウィル・スミスの子供を演じていた子。かわいいのだが、本作では継母になじめないいじけた子の役なので、まったくかわいくない。最後までヘレンと心がつながらない。ただラストに父のお墓の前で抱き合うだけ。

 いち早く避難してしまった大統領と副大統領に代わって指揮を執り、とにかく宇宙人を殺そうとする女性の国防長官は、キャシー・ベイツ。最近はあまり目立っていない感じだが、「フライド・グリーン・トマト」(Fried Green Tomatoes・1991・米)とか「ミザリー」(Misery・1990・米)、「悪魔のような女」(Diabolique・1996・米)、「パーフェクト・カップル」(Primary Colors・1998・米)なんか良かったなあ。

 問題と思われる脚本は、オリジナルのエドマンド・H・ノースの脚本を書き直したデヴィッド・スカルパー。ただ彼はロバート・レッドフォードの感動作「ラスト・キャッスル」(The Last Castle・2001・米)の原案と脚本を担当している。あれが書けて本作が書けないと言うことは考えにくい。プロデューサーの責任か、監督か。みんながいろいろ口を出して、結局まとまらなかったということかも。

 監督は脚本家でもあるスコット・デリクソン。アメリカではビデオ公開となったシリーズ第5作目「ヘルレイザー/ゲート・オブ・インフェルノ」(Hellraiser: Inferno・2000・米)を監督し、実話のエクソシスト事件を描いた「エミリー・ローズ」(The Exorcism of Emily Rose・2005・米)を監督した人。ホラー系はうまいのたが、本作のようなSFアクションは向いていなかったのか。

 金曜日スタートだったので公開2日目の2回目、新宿の劇場は全席自由で、40分くらい前に着いたらロビーに10人くらいの人。30分前くらいに列を作るように案内があって、15分前くらいに場内へ。

 最終的には420席に7割くらいの入り。男女比は6対4くらいで男性が多く、老若比は半々くらい。下は小学生くらいからいた。さすが話題作。

 音楽が止まり、暗くなって、カーテンが左右に開き、始まった予告で気になったものは……キアヌー・リーブスがアル中の暴走刑事を演じる「フェイクシティ」はかなりハードな内容らしい。前半はグロックを持っているようだが、後半、45オートのカスタムを使っていた。サブマシンガンはM76。おもしろそう。

 「オーストラリア」は新予告に。とにかく絵がキレイ。人々の平和を打ち破るのは大軍の日本軍。何度見ても辛い。ヒュー・ジャックマンが使っているのはウインチェスターのM95か。

 左右マスクで始まったのは実写版「ドラゴンボール」。いきなりチヨウ・ユンファが登場。亀仙人らしい。すごいお金のかかっているSFX満載のようだが、どこか雰囲気は香港映画。主人公の青年はハッキリと「カメハメハーッ!!」と言っているが。


1つ前へ一覧へ次へ