Mirrors


2009年1月4日(日)「ミラーズ」

MIRRORS・2008・米/ルーマニア・1時間51分(IMDbでは米版は110分)

日本語字幕:細丸ゴシック体下、太田直子/シネスコ・サイズ(マスク、Arriflex、Super 35)/ドルビー・デジタル

(米R指定、日R-15指定)

公式サイト
http://movies.foxjapan.com/mirrors/
(全国の劇場案内もあり)

NYPDの潜入刑事だったベン・カーソン(キーファー・サザーランド)は、誤って警察官を射殺してしまったことから停職となり、妻のエイミー(ポーラ・パットン)と2人の子供とも別居し、妹のアンジェラ(エイミー・スマート)と暮らしていた。どうにかアルコール依存症を脱したものの、まだ情緒不安定で、時として激高することもあった。しかし復職する手始めとして、5年前の火災で廃墟となり、いまだ裁判で係争中のメイフラワー・デパートの夜の警備の仕事を得る。前任者は謎の自殺を遂げており、デパートの中には鏡だけが破壊されずに残っており、奇妙な手形があった。ベンがその手形に触れた時、火事の光景が鏡の中に見える。

72点

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 日本劇場未公開の韓国映画「Mirror 鏡の中」(Into the Mirror・2003・韓)(DVDは2005年に発売済み。主演ユ・ジテ)のハリウッド版リメイク。なかなか怖いし、ちゃんと事件の謎に対する答えがあり、悲しい真実が明かされる。ちょっとした些細なところから超常現象がエスカレートしていき、とんでもない大事件になるあたりは、非常に良くできていた「機械じかけの小児病棟」(Fragile・2005・西)と通ずるところもある。ただ、惜しいかな、やっぱりハリウッドは音で脅かす。それが正当派だと信じて我慢できないかのような感じ。そんなことしなければいいのに。

 ハッキリ言うと、最初のティーザー予告が一番怖くて、良かったなあ。うまい。作った人は凄いと思う。ただ、2弾目以降はあまり怖くなくなってしまったが……。

 徐々に超常現象がエスカレートしていき、謎が明らかになる過程はとても良くできていると思う。ただ、ラストはどうなんだろう。発端となった老女を犠牲にして家族を助けるというのは、ちょっと納得できない。謎を解いたベンが無理矢理老女を連れて来たのに、いざとなると「これしか無いのか」などと質問している。だったら連れてくるなと。しかもベンには、なぜ連れてくればいいのか、なぜその部屋なのか、わかるはずがないと思えるのに……。詰めが甘いような。ぜひオリジナルの韓国版を見てみたい。

 主演のキーファー・サザーランドは人気TV「24 Twenty Four」で忙しく、久々の映画出演という感じ。声の出演以外で出た映画というと、「ザ・センチネル/陰謀の星条旗」(The Sentinel・2006・米)か。シークレット・サービスというジャック・バウアーのような役だったし、本作はもとアンダー・カバーだが強引な感じは、やっぱりジャック・バウアーそっくり。もうキーファー・サザーランドの個性とジャック・バウアーの個性が同じになったのかもしれないが。使っていた銃はP226のようだった。撃ち方はうまい。

 別居中の奥さんは、デンゼル・ワシントンのSFサスペンス「デジャヴ」(Deja Vu・2006・米)の美女を演じたポーラ・パットン。本作でもめちゃくちゃキレイ。一瞬だがポロリがあったような……。

 美人の妹を演じたのは、エイミー・スマート。繰り返すたびに自体が悪くなっていくというタイム・トラベル悲劇「バタフライ・エフェクト」(The Butterfly Effect・2004・米)の主人公の恋人役、ヴァル・キルマーのアクション「ブラインド・ホライズン」(Blind Horizon・2004・米)の巻き込まれ看護婦役、ジェイソン・ステイサムのノン・ストップ・アクション「アドレナリン」(Crank・2006・英/米)の主人公の恋人役など、面白い作品に良く出ている人。美人だし、「アドレナリン」では衆人環視の中、彼と交わってしまうなど過激な演技もこなしており、本作でも全裸で入浴シーンを演じるなどがんばっている。

 警察の元同僚でいろいろ調査してくれるのは、ジェイソン・フレミング。びっくりモンスター映画「ザ・グリード」(Deep Rising・1998・米)や、ジョージ・A・ロメロの鉄仮面というか笑い仮面「URAMI〜怨み〜」(Bruiser・2000・米)、がっかり大作「リーグ・オブ・レジェンド/時空を超えた戦い」(The League of Extrodinary Gentlemen・2003・米/独)のジキル博士とハイド氏、ポール・ウォーカーの痛快アクション「ボビーZ」(The Death and Life of Bobby Z・2007・米/独)のギャング幹部など、エキセントリックな役が多い人。本作は普通の人で驚いた。変な人を予想していたのに。

 脚本を手がけたのは、監督でもあるアレクサンドル・アジャと、長年のパートナーだというグレゴリー・ルヴァスール。これまでにフランス生まれの2人が手がけたのは、強引な展開と残酷描写のホラー「ハイテンション」(Haute Tension・2003・仏)、ウェス・クレイヴンの「サランドラ」(The Hills have Eyes・1977・米)をリメイクし小劇場公開となった「ヒルズ・ハブ・アイズ」(The Hills have Eyes・2006・米)、アイディアは面白いのにまとまりが良くなかったホラー「P2」(P2・2007・米)とか、残念なものが多い。なぜ本作が撮れたのか。

 公開10日目の初回、銀座の劇場は初回のみ全席自由で、35分くらい前に着いたら誰もいなかった。30分前くらいに10人くらいになって、20分前くらいに開場。この時点で13〜14人で、ほとんど中高年男性。女性は3人ほど。

 スクリーンはビスタで開いていて、10分ほど前から前方が暗くなって案内を上映。オバサン2人がいつまでもペチャクチャとうるさい。最終的に400席に40人ほど。お正月としてはこんなものか。

 チャイムが鳴って、案内の後半暗になって始まった予告編は……「感染列島」はさすがに新バージョン。だんだん面白いのかどうかわからなくなってきた。ブライアン・シンガー監督、トム・クルーズ主演の「ワルキューレ」も新予告に。絵もキレイで、ドラマチック、何か起きそうな雰囲気。見たい。

 クリント・イーストウッド監督、アンジェリーナ・ジョリー主演の新作、上下マスクの「チェンジリング」は実話の映画化とか。子供が誘拐され、警察が発見したと連れてきた子は全くの別人だったというお話。みんなが母がおかとしくなったと思い、病院に入れてしまうが……。見たい。

 「チェ28歳の革命」と「チェ39歳別れの手紙」は新予告に。面白そう。

 スクリーンが左右に広がってシネスコになり、左右マスクでチョウ・ユンファが登場して「ドラゴンボール」の予告。おもしろいのかどうか、よくわからない。カメハメハーっと叫んでいたけど……。


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