Eye in the Sky


2009年2月7日(土)「天使の眼、野獣の街」

跟蹤 EYE IN THE SKY・香・1時間30分(IMDbでは131分)

日本語字幕:丸ゴシック体下、市山尚三/ビスタ・サイズ(Arriflex 4.5、535B)/ドルビー・デジタル

(香IIB指定)

公式サイト
なし

女性刑事のホー(ケイト・ツイ)は、上司の犬頭ことウォン(サイモン・ヤム)のテストを受け、どうにか希望の刑事情報課の監視班に採用される。コードネームは子豚。最初の仕事が、宝石店強盗事件で、監視カメラの映像から太った男が関わっていることを突き止め、ファットマント名付けて監視を始める。やがてシャン(トニー・レオン〈レオン・カーフェイ〉)がリーダーであることが判明、影男と名付けて監視するが、気付かれて反撃を受ける。

73点

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 カワイイ少女のような女の子が主人公だが、どうして骨太な映画で重い。見終わった後どっしり来る。バッド・エンディングではないものの、決して楽しいものじゃない。リアルなポリス・アクション。どす黒い血が流れる。日本で年齢制限が付いていないのが不思議なくらい。まあ子供は見ないだろうけど。

 基本的には「エネミー・オブ・アメリカ」(Enemy of the State・1998・米)や、TVドラマの「24 Twenty Four」シリーズ、そして「イーグル・アイ」(Eagle Eye・2008・米/独)系の作品。監視カメラのネットワークのすごさを思い知らされる。良い方に使われないと大変なことになるにちがいない。ロンドンも通りに監視カメラがたくさん仕掛けてあるというし、東京はどうなのだろう。きっと連携さえさせれば、これくらいのことは朝飯前だろう。ただ、まだつながっていない気はする。よくニュースで、監視カメラ映像の提供を要請したと報道しているくらいだから。ハリウッド映画は大げさなのかもしれないが、法執行機関や司法が正しく運用するという前提なら、連携は良いことだ。事件解決が速くなるに違いない。

 任務が優先で、容疑者を監視している時は、たとえ近くで暴行事件が起こっていても無視しなければならない。そのことで悩み転属を申し出ると、上司から、途中で諦めるヤツは、何をやってもうまくいかないと言われる。確かにそうだなあと妙に納得してしまった。この事件が伏線になっていて、ラストで効いてくるのもうまい。

 雰囲気的には本作の監督ヤウ・ナイホイが脚本を担当したジョニー・トー監督の「エレクション」(黒社会・2005・香)や「PTU」(PTU・2003・香)によく似ている。出演者も似ているし。

 脚本を担当したのは、脚本家でもある監督のヤウ・ナイホイとオー・キンイーの2人。オー・キンイーは「PTU」の脚本家でもある。

 監督のヤウ・ナイホイは、ジョニー・トー監督作品の脚本を多く手がけてきた人で、今回ジョニー・トーのプロデュースによって監督デビューを果たしたらしい。ボクが最も感動したのはジョニー・トー監督、アンディ・ラウ主演の「マッスルモンク」(Running on Karma・2003・香)だなあ。泣いた。

 主演のケイト・ツイは、なんと本作が映画デビュー作となるらしい。すっぴんに近いらしく、派手さはないがそこは女優、役作りのようで、普段はもっと女優っぽい感じ。

 上司のウォンはサイモン・ヤム。「エレクション」、「PTU」、「ブレイキング・ニュース」(大事件・2004・香)、「マッスルモンク」、「フルタイムキラー」(Fulltime Killer・2001・香)など、おもしろいトニー・トー監督作品にはほとんど出ている人。本作ではかなりお腹が出てメタボになっていたが、役作りなのだろうか。「トゥームレイダー2」(Lala Croft Tomb Raider: The Cradle of Life・2003・米)やジャン=クロード・ヴァン・ダムの「レクイエム」(Wake of Death・2004・米)のハリウッド作品に出ていたが、あれで終わってしまったのか。

 とにかく怖い犯罪者を演じているのは、レオン・カーフェイ。本作ではトニー・レオンとクレジットとされている。「エレクション」でも怖い男を演じていたが、どうしても「愛人/ラマン」(L'amant・1992・仏/英)のイメージが強く、優男を思い浮かべてしまう。さすが役者。ホント怖い。やっていたパズルは数独か。

 ギャングたちはすり切れた感じのトカレフを使用。警察はグロック、OCTB(組織犯罪課)の突入班はMP5を装備。

 公開8日目の2回目、前日に座席予約しておいて15分前に着いたら、渋谷の劇場はちょうど入れ替えしたところで、スクリーンはビスタで開いていた。すでに20人くらいの入り。老若比は半々くらいで、女性は5〜6人。最終的に220席に30人くらいの入り。公式サイトもないし、宣伝もありましていないからこんなもんだろう。

 半暗になって始まった予告は明るくて見えにくい。メリル・ストリープの「ダウト」は、教会内のイジメのようなテーマらしく重苦しい雰囲気。「マンマ・ミーア!」(Manma Mia!・2008・英/米)とは正反対の方向。怖そう。さすが名女優。

 上下マスクの「ロックンローラー」はヤバそうなギャングの話で、興味津々。ただ監督がガイ・リッチーというのと、上映劇場が気になる。見たいけど……。

 「蟹工船」はさっぱり内容がわからなかったが、一体どんな映画なのか。監督がSUBUというのはわかったが。


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