Three Kingdoms: Resurrection of the Dragon


2009年2月14日(土)「三国志」

THREE KINGDOMS: RESURRECTION OF THE DRAGON・2008・中/韓/香・1時間42分

日本語字幕:手書き書体下、岸田恵子/シネスコ・サイズ(マスク、Arriflex 435・535B、Super 35)/ドルビー・デジタル

(香IIB指定、韓15指定、日PG-12指定)

公式サイト
http://www.sangokushi-movie.jp/
(全国の劇場案内もあり)

208年、趙子龍(趙雲、アンディ・ラウ)は何かをなそうと劉備軍に加わる。受け付けたのが羅平安(サモ・ハン)で、同じ常山の出身だったことから、趙子龍は羅平安を兄と慕う。しかし、趙子龍は武術に優れ、戦場でたくさんの手柄を立てるとどんどん出世し、ついには「五虎将軍」の1人となる。20年後、年老いた趙雲は羅平安とともに圧倒的多数の魏の軍に追いつめられていた。曹操の孫、女指揮官の曹嬰(マギーQ)は、一騎打ちの戦いをしたいと申し込んでくる。

71点

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 お金もかかっているし、有名俳優も出ている。しかし、とても古くさい感じの、大味な昔の香港映画を見ているような感じがした。いま話題の「レッド・クリフ」(Red Cliff・2008・米ほか)とおなじ三国志の一部を映画化しているわけだが、あちらは前後編で、こちらはわずか102分。しかも20年もの時代を描いているわけで、ほとんど出来事を追うだけで、人間が描かれていないから、感情がほとんど伝わってこない。

 冒頭、音楽の雰囲気がまるでマカロニ・ウエスタン。ここからして古い感じ。テンポもあまりよろしくない。中盤から中だるみして、クライマックスでもたついてしまう。いくらアンディ・ラウが出ても、どうにもできないものもある。もともと企画自体に無理があったのでは。せめて、こんなに長い間を描くのではなく、赤ちゃん救出のエピソードだけにするとかして、バックグラウントをじっくり描き込むとかすれば……。1人で戦場に赤ちゃんを探しに行って、迷うことなくアッサリ見つけるんだもんなあ。

 無理のある老けメイクで、クライマックスから始まって、回想のように最初の話にもどるというありふれた手法が、まさに古くさく感じてしまう。途中、思わせぶりな影絵の美女が出てくるが、何かあるのかと思えば、次の瞬間には恋人のようになっていて、「天下が統一されたらもどってくる」とか言っちゃって、それっきり。映画は何事もなかったかのように、そのエピソードには一切触れずに続く。

 アンディ・ラウは久々に光っていない。ひとつには製作に関わっていないこともあるだろうが、でも似たような「墨攻」(Battle of Wits・2006・中ほか)は本作よりは良かったしなあ。まあ、それほど作品を選んではいないということなのか。

 兄と慕う先輩を演じたのは、昔サモ・ハン・キンポーといっていた、サモ・ハン。1998年からTVドラマ「LA大捜査線/マーシャル・ロー」(Martial Law・1998〜2000)に主演しアメリカ進出を果たしたものの、日本では深夜枠でしかもときどき休みがあっての連続だったので、さっぱり注目されなかった。その後香港に戻って、最近は悪役が多い。「SPL/知よ静かに死ね」(SPL・2005・香)ではギャングのボスだった。それにしても、思いっきりお腹が出っ張っていたが、役作りだったのか、単なるメタボだったのか。気になった。

 マギーQはとにかく美形で、エロティック・アクションの「レディ・ウェポン」(赤裸特工・2002・香)で注目され、トム・クルーズの「M:i:III」(M:i:III・2006・米)から世界的に知られるようになり、「ダイハード4.0」(Live Free or Die Hard・2007・米)、小さな役だが上質なミステリーの「彼が二度愛したS」(Deception・2008・米)と大活躍。あえて、なぜ本作に出たのかよくわからない。

 影絵の女性は美人だったが、名前は不明。ほかにもアイドル・グループのメンバーが出ているらしいが、まあ、関係ないか。

 脚本は監督も兼ねるダニエル・リーとラウ・ホーリョンの2人。ラウ・ホーリョンは「ドラゴン・スクワッド」(dragon Squad・2005・香)を書いた人で、主演は本作にも出ているヴァネス・ウー。

 ダニエル・リーは「ドラゴン・スクワッド」を監督した人で、ここでサモ・ハンとマギーQと仕事をしているし、レスリー・チャンの「もう一度逢いたくて/星月童話」(星月童話・1999・香/日)も監督しているようだが、どちらも見ていないので何とも……うまい人なのかどうかもよくわからない。

 公開初日の初回、銀座の劇場は初回のみ全席自由で、しかも東宝シネマズ・デイだとかで、当日券は一律1,000円。どうりで人が多かったわけだ。しかも2月から劇場名が東宝シネマ・シャンテになったらしく、ポイント・カードが使えるようになったらしい。ただし東宝シネマ・カードは有料。

 50分前くらいに着いたら、3館共通の窓口は10人くらいの列。すでに開いていたが、「三国志」上映館まだで、1Fのせまいエレベーター前のスペースに列を作る。30分前くらいにようやく開場してエレベーターが動き出し、場内へ。なんと改装したようで、中央に通路が無く、横にズラーッと長い1列席。しかも床がフラットで、スクリーンも低く、前の席にちょっと座高の高い人が座ったらアウト。字幕は下に出るし。いっそのこと字幕を上に出したらどうか。

 最終的に、204席の9割くらいが埋まった。PG-12なのに小学生もいたが、ほぼ20代後半からで、ほとんどは中高年。男女比は4.5対5.5でやや女性が多い感じ。オバサンのアイドル好きな方々がいたかなという感じ。

 スクリーンはビスタで開いていて、10分前くらいからやや暗くなって案内を上映。アナウンスがあって半暗になって予告・CM。まだしゃべっている女子がいたが……。上下マスクの「パッセンジャーズ」はアン・ハサウェイ主演の航空機墜落ミステリーらしい。かなり面白そうな感じが。

 いまさら絵なしの「DRAGONBALL EVOLUTION」の予告とは訳がわからないが、なぜなんだろう。1ヵ月後には公開なのに。

 インドのムンバイが舞台の話題作、上下マスクの「スラムドッグ$ミリオネア」は>、スラム街の負け犬が、クイズ・ショーで大金に挑むというお話らしい。「ファイナル・アンサー」というセリフまであって(字幕ではなく原語で)驚かされるが、アカデミー賞9部門10ノミネートという噂の作品。予告編ではたいして面白そうではなかったが。しかも劇場が……。

 上下マスクの「フロスト×ニクソン」は、実話を基にした映画で、ウォーターゲート事件を起こしたニクソンとイギリスの人気TV司会者フロストとのインタビューによる対決を描いたもの。面白そう。ただ劇場が……。

 上下マスクの「リリィ、はちみつ色の秘密」は母に捨てられた少女の話。ちょっと大人になったダコタ・ファニングが主演で、クイーン・ラティファ、アリシア・キーズ、ジェニファー・ハドソンなど、そうそうたる出演者。予告だけで泣きそうな感じだが、やっぱり劇場が……。

 スクリーンがシネスコになってドルビー・デジタルの水のデモがあって本編へ。


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