Street Fighter: The Legend of Chun-Li


2009年3月1日(日)「ストリートファイター ザ・レジェンド・オブ・チュン・リー」

STREET FIGHTER: THE LEGEND OF CHUN-LI・2009・加/印/米/日・1時間37分(IMDbでは96分版もあり)

日本語字幕:手書き書体下、伊東武司/シネスコ・サイズ(Arri)/ドルビー、dts、SDDS(IMDbではドルビーのみ)

(米PG-13指定)(日本語吹替版もあり)(本編終了後、数分のアニメ「ストリートファイターIVさくら」上映)

公式サイト
http://streetfighter-movie.gyao.jp/
(音に注意。全国の劇場案内もあり)

春麗(チュン・リー、クリスティン・クルック)は、中国人実業家の父(エドマンド・チャン)と美しい白人女性の間に生まれ、ピアノとカンフーを習って育った。しかし、ある日シャドルーという組織のバイソン(マイケル・クラーク・ダンカン)が現れ、父を連れ去ってしまう。やがて春麗も成長し、ピアニストとして活躍していると、古い中国語で書かれた巻物が届けられる。訳してもらうと、バンコクにいるゲン(ロビン・ショー)という男が春麗を導いてくれるという。春麗は父を見つけるため、バンコクに向かう。

71点

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 なかなかのハード・アクション。日本語吹替版もあるので子供向きの映画かと思ったら、しっかりしたアクションだった。ただ、やはりゲームの設定から出発しているため、映画としてはリアリティに欠ける部分が多く、それが気になるかどうか。リアリティを追求すればゲームと離れていくし、ゲームに忠実に作れば映画としての面白さから離れていく。それをどうまとめるかが、監督の腕の見せ所だ。本作は、良くまとまっているのではないだろうか。

 とにかく格闘シーンはたくさんあって(そういうゲームだから当然だが)、迫力も充分。ただ、実際のスピードや技のキレなどを隠すためだろう、カットが速すぎる(細かすぎる)のと、アップが多いため、どう技が出ているのかとかどうかわしているのかなどがわかりにくい。せっかくのシネスコ・サイズなのに。

 チュン・リーを演じたのはカナダ生まれのクリスティン・クルック。TVの「ヤング・スーパーマン」(Smallville・2001〜・米/加)シリーズでずっとヒロインを演じていたらしい。確かにアジアでも欧米でも受けそうな容姿ではある。空手と体操の経験があるようだが、高校の授業にあったのか選択科目だったか。紫帯らしい。有段者というわけではないので、カットを細かく割ったのかも。

 カンフーの名人ゲンを演じたロビン・ショーは香港で活躍していたが、ポール・W・S・アンダーソン監督のゲームの映画化「モータル・コンバット」(Mortal Kombat・1995・)からハリウッド進出を果たしたらしい。同作では殺陣師(ファイト・コレオグラファー)も務めている。その後ポール・W・S・アンダーソンが製作にまわった「DOAデッド・オア・アライブ」(DOA: Dead or Alive・2006・米ほか)に海賊役で出演、さらにポール・W・S・アンダーソン監督のゲームの映画化「デス・レース」(Death Race・2008・米)にも出ている。

 敵のボス、ベガを演じたのはニール・マクドノー。悪役のイメージが強いが、意外と普通の役もやっている。もともとはTVで活躍していて、スピルバーグとトム・ハンクスが製作総指揮を務めたWWIIものの「バンド・オブ・ブラザーズ」(Band of Brothers・2001・米)で強い印象を残し、スピルバーグとトム・クルーズのSFアクション「マイノリティ・リポート」(Minority Report・2002・米)あたりから劇場作品にも出るようになった。ほぼ毎年なにかしらの劇場作品に出ている。

 黒人の巨漢バイソンを演じたのは、マイケル・クラーク・ダンカン。傑作「グリーンマイル」(The Green Mile・1999・米)の心優しい囚人を演じてブレイクした人。「デアデビル」(Daredevil・2003・米)のように、どちらかと言えば悪役が多いよう。「シン・シティ」(Sin City・2005・米)や「アイランド」(The Island・2005・米)以降、あまり見かけなくなったが、本作に出ていたか。

 ちょっと髪が薄い二枚目のインターポールの刑事ナッシュは、クリス・クライン。監督の演出なのだろうが、もう絵に描いたようなカッコ付けのハリウッド刑事。あまりにパターンにはまっていて笑ってしまうほど。これは損な役だったのでは。Hコメディの「アメリカン・パイ」(American Pie・1999・米)で注目され、リメイクSFバイオレンス「ローラーボール」(Rollerball・2001・米)に主演。ただ最近は日本公開作がなく、ちょっと踏ん張り時かも。使っていたのはワルサーのP99。

 その相棒を演じた露出症気味のバンコク現地警察、組織犯罪課の女刑事マヤを演じたのはムーン・ブラッドグッド。日本映画をハリウッドでリメイクした「南極物語」(Eight Below・2006・米)に出ていた人。まったく印象が違うのは、さすが女優というところか。「ターミネーター4」にも出ているらしい。今後活躍しそう。使っていたのはたぶんベレッタM92。

 脚色はジャスティン・マークス。どうも長編劇場作品は初めての模様。まずは良くまとめたものと評価すべきではないだろうか。実力は今後の作品を見ないことにはわからない感じ。

 監督はアクションで定評のあるアンジェイ・バートコウィアク。もともとは撮影監督だった人で、「ロミオ・マスト・ダイ」(Romeo Must Die・2000・米)から監督に。ボク的には「DOOMドゥーム」(Doom・2005・米ほか)が面白かった。だから本作もうまくまとめられたのかも。

 アクション監督はディオン・ラム。日本のTVドラマ「ハングマン」(1980〜1981)にレギュラー出演していたらしい。「マトリックス」(The Matrix・1999・米)でハリウッド作品にカンフー・チームの一員として関わり、「スパイダーマン2」(Spider-Man 2・2004・米)でファイト・コレオグラファー、「DOOMドゥーム」でもファイト・コレオグラファーとして参加している。

 銃はバンコク警察のSWATがM4A1を使っている。バイソンが「RPG」と言って持って来させたロケット弾発射器はRPG-7ではなく、奇妙な形をしていたが……。四駆のハンヴィーも多数登場。刑事たちがちゃんとロウ・レディに構えていたのはなかなかリアル。

 公開2日目の2回目、字幕版の1回目、新宿の劇場は30分前くらいに着いたら、映画の日で一律1,000円だったからか、ロビーには14〜15人の人。入れ替えの5分前くらいに整列の案内があった。15分前くらいに入場となった時には、片側の入り口で30人くらい。

 最終的に全席自由の588席の6.5割くらいが埋まった。中高年は1/4くらいで、3/4は20代くらいの若い人。ゲーム・ファンなのだろうか、若干普通の観客とは違う雰囲気。女性は1割いただろうか。

 チャイムが鳴って案内があり、ドアが閉まり、カーテンが左右に開いて暗くなってCM・予告。「マッハ!」の監督が作ったという「チョコレート・ファイター」は女性版「マッハ!」のようだ。画質はかなり良かったし、アクションもすごい。おもしろいのか? 実話に基づくホラー、上下マスクの「ストレンジャーズ」はリヴ・タイラーが主演で、かなり怖そうな感じ。インド映画とは思えなほど画質の良かった上下マスクの「チャンドニー・チョーク・トゥ・チャイナ」は、「少林寺三十六房」のリュー・チャーフィも出ていて、本格的なカンフー映画っぽいが、お約束の歌とダンスもあるという紛れもないインド映画。日本語サイトがないのが気になるが……。

 上下マスクの「MWムウ」はいまだ内容がよくわからないし、映像もほとんどなく文字ばかり。


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