Passengers


2009年3月7日(土)「パッセンジャーズ」

PASSENGERS・2008・米/加・1時間33分

日本語字幕:手書き書体下、松浦美奈/シネスコ・サイズ(マスク、Super 35)/ドルビーデジタル、dts、SDDS

(米PG-13指定)

公式サイト
http://www.passengers.jp/
(音に注意。入ると画面極大化。全国の劇場案内もあり)

乗員乗客109名を乗せた航空機が墜落した。生存者はわずかに数名。セラピストのクレア(アン・ハサウェイ)は上司のペリー(アンドレ・ブラウアー)から、初めて単独で生存者の心のケアを任せられる。収容先の病院を回ってリストを作り、グループ・セラピーを始めたクレアだったが、墜落直前の状況が食い違い、爆発があったという者とない者とがいた。そして、怪しいコートの男が現れ、明らかに航空機会社は何かを隠しているようだった。やがて、生存者が1人ずつ減っていく。はたして何が起こっているのか、クレアは航空機会社に直接疑問をぶつけるが……。

73点

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 おもしろい。静かで、悲しく、ショックだ。ちょっとアレハンド・アメナバール監督の「アザーズ」(The Others・2001・米/西/仏)のような雰囲気。飛行機に乗るのが怖くなった。といっても、ただ暗くて悲しいだけではなく、どこかさわやかで救いがある。

 ただ、ほぼ全編、何も進展がなく、事件も起きず、93分なのに退屈な感じはある。ラストの解決パートでその謎が解け納得できるのだが、TVのミニ・ドラマにふさわしい展開で、長編映画にするにはもう1つひねりというか、航空機墜落の真相の謎解きとか、航空機会社との戦いみたいなものが欲しかった。もちろん、ストーリー上、無理というか話が成立しなくなってしまうかもしれないが……。

 「アイデンティティー」(Identity・2003・米)の雰囲気もあるが、あそこまでのヒネリはないし、ドラマもない。惜しい。それさえあれば大化けしていたかも。墜落現場の再現にお金はかかっただろうが、TVドラマの「LOST」でもかなり再現していたから、映画としてみると低予算映画なのだろう。

 伏線というか仕掛けが面白い。黒いコートの男たち、犬、近所のオバサン、そして雨……。惜しい。

 主演は「プリティ・プリンセス」(The Princess Diaries・2001・米)のアン・ハサウェイ。「プラダを着た悪魔」(The Devil wears Prada・2006・米)はいい出来で、一気にメジャーになった感じ。コメディ・アクションの「ゲットスマート」(Get Smart・2008・米ほか)でもなかなかがんばっていた。本作もよくはまっている気がした。

 共演の2枚目は、パトリック・ウィルソン。逆赤ずきんちゃん「ハードキャンディ」(Hard Candy・2005・米)でだまされる悪い男を演じていた人。感動作「いつか眠りにつく前に」(Evening・2007・米/独)では主人公の恋人役を演じていた。本作では良い役のはずなのに、ヒロインへのアプローチが強引でわがままで、あまり紳士的とは言えないため、共感を得られにくいのではないだろうか。しかし、ラストに明かされるように、実際には気さくでとても良い男。もう少しどうにかできたはず。ちゃんとラブ・ロマンスになっていれば……。

 航空会社の男を演じたのは、出番は少ないがベテランのデヴィッド・モース。ちょっと悪い役が多いので、観客は勝手にいろいろと想像してしまうかもしれない。たくさんの作品に出ているが、最近ではブルース・ウィリスの「16ブロック」(16 Blocks・2006・独/米)に悪徳警官役で出ていた。

 生存者の一人、何かと突っかかってくるシャノンを演じていたのは、クリア・デュヴァル。美人じゃないけれど、独特の存在感がある。TV「ヒーローズ」のシーズン1で、途中ちょとだけFBI捜査官として出ていたが、いつの間にかいなくなった。「アイデンティティー」にも出ていたが、「パラサイト」(The Faculty・1998・米)が良かった。

 近所の親切なオバサンはダイアン・ウィースト。ウッディ・アレンの作品に良く出ている人で、「モンタナの風に抱かれて」(The Horse Whisperer・1998・米)や「アイ・アム・サム」(I Am Sam・2001・米)にも出ている。最近ではアニメの「ロボッツ」(Robots・2005・米)で声優をやっていた。

 脚本はロニー・クリステンセンという人。これまではTVムービーの脚本を手がけていたようで、本作は初の劇場作品になるらしい。なるほど。なんとなく納得できる。

 監督はコロムビア生まれのロドリゴ・ガルシア。撮影監督からキャリアをスタートさせ、TVの監督をやるようになって、本作で劇場長編映画デビューとなったらしい。やっぱりTVの影がここにも。

 公開初日の初回、銀座の劇場は50分前くらいに着いたら、ちょうど窓口が開いたところで、14〜15人の行列。ほぼ中高年で、女性は5〜6人。当日券と換えて階段で地下に下りると、5分ほどで開場。初日プレゼントがあって、「キュービック バスフィズ」という入浴化粧品3個セットをもらった。

 スクリーンはシネスコであき。次第に女性客が増えてきて、若い人も2割ほどに。男女比はほぼ半々くらい。最終的に183席はほとんど埋まった。

 ビスタになって始まった予告編で気になったのは……どうにもTVドラマの映画化が多い感じ。なんだかなあ。「ドラゴンボール」はなんだか予告を見たら期待感が薄らいできた。

 上下マスクの「フロスト×ニクソン」は、予告を見る限りかなり面白そう。ただ劇場がちょっと……。大人っぽくなったダコタ・ファニングが出る上下マスクの「リリイ、はちみつ色の秘密」も悲しい話のようだが、暗くなく爽やかな予告の印象。辛くても暗く描かないのが良い。が、これも劇場が……。

 上下マスクの「デュプリシティ」はどうにも内容がわかりにくいが、産業スパイ同士の戦いということのようだ。犬の映画「マーリー 世界一おバカな犬が教えてくれたこと」は予告だけで泣ける感じだが、本編はどうか。

 スクリーンがシネスコになって、暗くなり、ドルビー・デジタルの星空のデモがあって左右マスクで、「愛を読む人」は、悲しい話を涙で描いたような作品。ちょっと重いなあ。ケイト・ウィンスレットがアカデミー主演女優賞を取ったようだけれど、元気な時に見た方が良いかもしれない。

 この後、本編の上映へ。


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