Dragonball Evolution


2009年3月15日(日)「DRAGONBALL EVOLUTION」

DRAGONBALL EVOLUTION・2009・米・1時間27分(IMDbでは米版100分)

日本語字幕:手書き風書体下、松崎広幸/シネスコ・サイズ(マスク、Super 35)/ドルビー、dts

(米PG指定)(日本語吹替版もあり)

公式サイト
http://movies.foxjapan.com/dragonball/
(音に注意。全国の劇場案内もあり)

孫悟空(ジャスティン・チャトウィン)は祖父の悟飯(ランダル・ダク・キム)によって育てられ、厳しいカンフーの修行を積んでいた。そして18歳の誕生日、両親の秘密を教えてもらうことになっていたが、ピッコロ大魔王(ジェームズ・マースターズ)の攻撃によって死亡してしまう。祖父が残したのは、7つ集めると希望が1つ叶うというドラゴンボールの1つ「四星球」と、パオズの街で亀仙人(チョウ・ユンファ)を探せという言葉だけ。旅に出た悟空は途中で「五星球」を持つ発明家の少女ブルマ(エミー・ロッサム)、美しいカンフー少女、チチ(ジェイミー・チャン)、金儲けに目がないヤムチャ(パク・ジュンヒョン)と出会い仲間になる。そんな彼らにピッコロ大魔王の部下マイ(田村絵里子、エリコ)が襲いかかってくる。

71点

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 可もなく不可もない。ただお金のかかったスーパーCGショーという感じ。ボクは原作の漫画を一部しか読んだことがないので、どの程度オリジナルに忠実なのかわからないが、一見普通なのに実は特別な存在で、試練が与えられて、それを乗り越え、恋をして、仲間を得て、ついには目的を達成するという、ハリウッド・アドベンチャーの王道をすべてキッチリと踏襲している。だから「ドラゴンボール」といいながら、普通のハリウッド冒険アクションものと何ら変わらない。

 SFコミカル・アクションということになるのだろうが、SFの部分も、コメディの部分も、アクションの部分も、すべてそこそこ。悪く言うと中途半端。SF的なバイクや4WD車、学校の机などはまあまあおもしろかったが、アクションもカットを細かく割って早く見せているだけで、とても普通。最終的な戦いは「気」をためて飛ばし合うのだから、銃撃と一緒。コミカルな部分も、最後まで笑い声は聞かれなかった。ギャグはほとんどダダ滑り。

 製作総指揮に原作者の鳥山明となっていて、上映フィルムにもクレジットされていたが、IMDbでは製作総指揮は「ハイウェイマン」(Highwaymen・2003・加)のティム・ヴァン・レリムになっていた。そういえば公式サイトのコメントなどは第三者的だったし……。プロデューサーはステファン・チョウで、チャウ・シンチーの別名だった。以前チャウ・シンチーが「西遊記」を作るというので話題になったことがあったが、確かに主役が孫悟空だから同じ。「ドラゴンボール」のことだったんだ。確かにCGを使ったSFコミカル・カンフー・アクションならチャウ・シンチーだなあ。

 それにしても、アメリカのドラマはTV・映画を問わず、学校には必ずいじめっ子がいて、だいたい主人公がいじめられる。いじめられてじめられて、ついに立ち上がってケンカで勝って事態を収める。力を力でねじ伏せる。これはアメリカの対イラクや対アフガン政策にも通じるものなのでは。しかし実際にはTV・映画のようには行かない。多勢に無勢だったり、体格や腕力に大きな差があったりする。そうするといじめられる方は戦うなら武器に頼るしかなくなる。こういう解決法を見ていると、学校での銃乱射事件にはこういう考え方も影響しているのではないだろうかと思ってしまう。

 確かに力による解決はわかりやすいしスッキリする。一方、力によらない解決は難しい。そういう脚本を書く人はほとんどいない。すぐ安直な力で解決する。たとえば「燃えよドラゴン」(Enter the Dragon・1973・香/米)のブルース・リーのように、戦わないで勝つ方法なんて頭が良くて、しかも痛快だった。脚本はマイケル・オーリンという人で、初の劇場作品だった模様。その後、パッとしていないのが気になるが。

 本作はベン・ラムジーという人が脚本を書いている。面白かったマーク・ウォールバーグのアクション「ビッグ・ヒット」(The Big Hit・1998・米)を書いた人。なぜあれが書けて、本作はこれなのか、理解に苦しむ。

 監督はTVの「Xファイル」や「ミレニアム」の監督や脚本、プロデューサーを務めたジェームズ・ウォン。劇場作品の監督としてはホラーの「ファイナル・デスティネーション」(Final Destination・2000・米)や、ジェット・リーのSFアクション「ザ・ワン」(The One・2001・米)を手がけている。どうして、こんなに普通の印象になってしまったのか理解しがたい。

 主演はシャスティン・チャットウィン。スピルバーグ監督作品とは思えないSF「宇宙戦争」(War of the Worlds・2005・米)で、トム・クルーズの長男を演じていた。ほかに、他人の人生を乗っ取るアンジェリーナ・ジョリーのスリラー「テイキング・ライブス」(Taking Livrs・2004・米/加)や、スピルバーグ・プレゼンツの壮大なUFOクロニクルTV番組「テイクン」(Taken・2002・米)に、超能力を持って悩む少年役で出ていた。本作は特に印象に残らない役だったので、何とも……。

 ブルマ・ブリーフは「オペラ座の怪人」(The Phantom of the Opera・2004・米/英)の美女、エミー・ロッサム。「オペラ座の怪人」ではもっと大人に見えたが、本作のような格好をするととても若く見える。とにかくカワイイ。

 ロッシ(老師)こと亀仙人はチョウ・ユンファ。イメージ的には痩せたハゲ、ヒゲのエロ老人という感じだが、さすがに実写では現実性がないということだろう。単に武術の名人という設定。この前に見たのは「パイレーツ・オブ・カレリビアン/ワールド・エンド」(Pirates of the Caribbean: At World's End・2007・米)の中国海賊の船長。なんだかハリウッド進出してからパッとしない感じが……。

 敵の手先の悪女マイは田村絵里子。クレジットは単にエリコだった。2006年からアメリカに活動の舞台を移している。つい最近TVドラマの「HEROES」シーズン2(2007)にマシ・オカの相手役として数回出演していた。狙いなのだろうが、本作はとてもブサイクに写っていた気がする。

 ヤムチャはパク・ジュンヒョン。「スピード・レーサー」(Speed Racer・2008・米)でヤクザのドライバーを演じていたらしい。眉毛のところが妙に出っ張っているのがこの人の特徴。

 おじいちゃんの悟飯を演じていたのはランダル・ダク・キム。「マトリックス・リローデッド」(The Matrix Reloaded・2003・米)に、キー・メーカー役で出ていた人。「SAYURI」(Memories of a Geisha・2005・米)にも出ていたらしい。

 エンド・クレジットの後で映像がちょっとあるので、本編が終わったからといってすぐ席を立たないように。それと、コピー防止ためなのか、奇妙なドットが出るのがちょっと気になった。

 公開4日目の初回、新宿の劇場は50分前に着いたらオジサンが1人。あと並んでいるのか、たむろっている若いヤツが3人。35分前くらいに開場した時で、10人くらい。オジサンは並ぶが、若いヤツは並ぶ気なしらしい。しかし若い人だけでなく、後から来た子連れのオヤジなど、列を無視して先頭の横に並んだ。こういう親の子は確実に並ばない子になるだろう。恐ろしい。10人くらいだったので、劇場も整列に来なかった。

 全席自由で、最終的に420席に60人くらいの入り。これはどうなんだろう。中高年は1/4くらいで、大学生くらいの若い人が3/4ほど。下は小学生くらいから強い。女性は7〜8人。やっぱりアニメ系のオタクなのか、待っている間、妙に裏情報的な話に詳しいような感じだったが……。

 ブザーが鳴ってカーテンが左右に開き、暗くなって始まった予告編は……またまたノーCGとかノー・ワイヤーとか言ってるタイ映画「チョコレート・ファイター」は、予告を見るとワイヤーを使っている感じだったけど、気のせいか。まっ、そんなことはどうでもいいこと。CG使おうがワイヤー使おうが、アクションにキレがあってしっかりしていればいいんじゃないかと。

 ニコラス・ケイジの新作、上下マスクの「ノウイング」は飛行機が墜落してくる場面から。スゴイ迫力。内容はさっぱりわからないが興味を引かれた。日本語のサイトはまだない模様。監督は「クロウ 飛翔伝説」(The Crow・1994・米)のアレックス・プロヤス。期待してしまう。

 上下マスクの「消されたヘッドライン」はラッセル・クロウとベン・アフレックが共演するアクションのようで、内容はよくわからなかったが、「クィーン」(The Queen・2006・英ほか)のヘレン・ミレンも出ている模様。アメリカでも完成したばかりでまだ未公開。

 プロダクションI.G.のアニメ「BLOOD THE LAST VAMPIRE」(2000・日)を実写化する香港とフランス合作の上下マスク「ラスト・ブラッド」は、なかなか面白そう。「猟奇的な彼女」(My Sassy Girl・2001・韓)のチョン・ジヒョンが、日本のセーラー服を着て日本刀を振り回す。カッコいいが、なぜ日本女優ではないのか。なんで、日本で企画されないんだろう。日本じゃアクションを演じられる女優がいないんだろうなあ。

 上下マスクの「新宿インシデント」はジャッキー・チェンが手がける、アジア各国が協力して作るアジア発の国際映画プロジェクトの第1弾だとか。ジャッキーはヤクザを演じるらしい。かなり期待できそうだ。

 画面がシネスコになってから、左右マスクでベン・スティーラーの「ナイト ミュージアム2」の予告。さらに左右マスクでCGアニメの「アイス・エイジ3」> え、まだ作るの? 「2」が酷かったのに。今度は同じキャラを恐竜の世界に持って行くらしい。


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