Bedtime Stories


2009年3月21日(土)「ベットタイム・ストーリー」

BEDTIME STORIES・2008・米・1時間40分(IMDbでは99分)

日本語字幕:手書き書体下、森本 努/シネスコ・サイズ(マスク、Super 35、Panavision Genesis)/ドルビー、dts、SDDS

(米PG指定)(日本語吹替版もあり)

公式サイト
http://www.disney.co.jp/movies/bedtimestory/
(音に注意。全国の劇場案内もあり)

1974年、マーティ・ブロンソン(ジョナサン・プライス)は、娘のウェンディ(コートニー・コックス)と息子のスキーター(アダム・サンドラー)の3人でロサンゼルスで小さなモーテルを始めた。子供たちにも手伝ってもらい忙しい毎日だったが、寝る時にはいつもマーティは子供たちにいろんなお話をした。しかしマーティは経営の才能がなく、赤字となってバリー・ノッティンガム(リチャード・グリフィス)に売り渡すことになる。バリーはLAイチのホテルにし、息子を雇ってやると約束する。そして現在、バリーは世界に23のホテルを持つホテル王になり、マーティは設備係として毎日雑用をこなしていた。そんなある日、姉のウェンディが校長を務める学校が廃校となり、新しい職の面接を受けるため、1週間だけ彼女の息子のパトリック(ジョナサン・モーガン・ハイト)と娘のボビー(ローラ・アン・ケスリング)を預かることに。昼間は夜学に通う隣家のジル(ケリー・ラッセル)が面倒を見て、夜はマーティのところに泊まる。マーティは2人と仲良くなるため、寝る前に父のようにお話をして聞かせることにするが……。

71点

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 よくできたファンタジーだと思う。まさにおとぎ話。ちゃんと大人も楽しめる。子供も、まあ楽しめるのではないだろうか。少しヒネリはあるが、王道ファンタジー。ちゃんとキスで終わり、2人はいつまでも仲良く暮らしました(forever and ever)とさ。だから最近には珍しく、最後にThe Endと出る。

 子供たちもタダ腕白なだけでなく、愛嬌があってカワイイし、登場人物も多彩。結構有名な人が出ている。ただ、やっぱりアダム・サンドラーがやり過ぎの感はあった。もうちょっと抑えればいいのに、甲高い声で叫んでばかり。嫌われるためにやっているようなもの。確かに抑えてはいて、かわりにはじける役をホテルの同僚のミッキー(ラッセル・ブランド)が引き受けてはいるが……。

 ちゃんとテーマはあって、いつでも希望を持てということなのだと思う。姉は弟に、なんで子供に聞かせるお話をハッピー・エンドにしなかったのかと非難する。弟は現実を話したんだというが、基本的にアメリカ人はみなハッピー・エンドが好き。ずっと、なぜなんだろうと思っていたが、謎が解けた。姉が言うには、子供にはいつでも希望を持って欲しいのだと。つまり希望があれば、諦めずにがんばれるというわけだ。ボクなどはガッカリしないために、過大な希望を持つなと言われて育てられた。だから諦めが良い。いつまでもグズグズいっているとぶん殴られた。しかし今は「決して諦めるな」という時代だ。アメリカらしさがよく出ている。

 主演のアダム・サンドラーは日本でウケないスターの一人。ジム・キャリーのように二枚目なのにおふざけをやる。ただ、やり過ぎというか、おバカが過ぎて嫌われる。アメリカでは受けるのだろう、脚本も書きプロデューサーもやっている。1990年代からずっと年に2作くらいずつ作品が途切れることなく作られているのだからスゴイ。ただ日本でウケた作品があるかというと、?が並ぶ。酷かった作品なら何本も上げられるのだが。つい最近、コメディではないドン・チードル共演の映画「再会の街で」(Reign Over Me・2007・米)に出ていたようだが、どうだったのだろうか。ちょっとジム・キャリーが暗いロマンス「エターナル・サンシャイン」(Eternal Sunshine of the Spotless Mind・2004・米)に出たような感じか。

 相手役はケリー・ラッセル。トム・クルーズの「M:i:III」(Mission: Impossible III・2006・米)でトムの教え子のエージェントを演じていた人。その後、フレディ・ハイモア少年の「奇跡のシンフォニー」(August Rush・2007・米)で生き別れになった母を演じていた。恐ろしかったスリラーの「デッドマンズ・カーブ」(Dead Man's Curve・1998・米)には大学生役で出ていたっけ。本作は、化粧の感じもあるのだろうが、なんか急に老けたような感じ。西洋人独特のものかもしれないが。

 敵役はガイ・ピアース。傑作ミステリーの「L.A.コンフィデンシャル」(L.A. Confidential・1997・米)や恐ろしい人食いホラー西部劇「ラビナス」(Ravenous・1999・米)に主演し、時間逆転ミステリー「メメント」(Memento・2000・米)、フレディ・ハイモアがかわいかった動物映画「トゥー・ブラザーズ」(Two Brothers・2004・英/仏)のあたあたりからどうしたんだろうと思っていたら、コメディだったか。神経質な感じなのでシリアス向きだが。コメディも意外と行ける。逆手にとってイヤらしさとトボケた感じがいい。行きすぎていないところが良い。

 おバカなはじけ役の同僚のミッキーを演じたラッセル・ブランドは、TVメインで活躍してきたイギリス生まれのコメディアンで、日本では「寝取られ男のラブ♂バカンス」(Forgetting Sarah Marshal・2008・米)くらいしかない。それも限定公開のような形だったので、たぶんほとんど知られていないのでは。

 ホテル王バリー・ノッティンガムはリチャード・グリフィス。「ハリー・ポッターと賢者の石」(Harry Potter and the Sorcerer's Stone・2001・米)シリーズでハリーの意地悪なオジサンを演じていた人。イヤらしさは折り紙付き。

 その娘バイオレットを演じた美女は、テリーサ・パーマー。パリス・ヒルトン的なイケイケ感が良く出ていた。オーストラリア出身で、日本生まれホラーの続編「呪怨パンデミック」(The Grudge 2・2006・米)で日本のインターナショナル・スクールに通ういじめっ子の女子高生を演じていた。美人だし演技も自然。今後活躍しそうだ。

 姉のウェンディはコートニー・コックス。古くはドルフ・ラングレンのSFアクション「マスターズ/宇宙の覇者」(Masters of Universe・1987・米)に出ていて、人生やり直しドラマ「Mr.デスティニー」(Mr. Destiny・1990・米)や、ジム・キャリーの出世作ペット探偵の「エース・ベンチュラ」(Ace Ventura: Pet Detective・1994・米)にも出ていた。ただ有名なのは「スクリーム」(Scream・1996・米)シリーズのTVリポーター役だろう。そこで共演したデヴィッド・アークエットと結婚した。

 冒頭に父役でちょっと出て、あとはナレーションをやっているのは、ジョナサン・プライス。最近では「パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち」(Pirates of the Caribeen: The Curse of the Black Pearl・2003・米)以降スワン提督を演じているが、古くはTVで活躍していて、テリー・ギリアムのSF「未来世紀ブラジル」(Brazil・1985・英)あたりからメジャーになり、「007/トゥモロー・ネバー・ダイ」(Tomorrow Never Dies・1997・英/米)の敵のボス役もなかなか良かった。

 脚本はマット・ロペスとティム・ハーリヒー。マット・ロペスは公式サイトによるともともと弁護士で、ディズニー・アニメ「ライアンを探せ!」(The Wild・2006・米)の追加ストーリーで参加して、その後、本作を担当することになったらしい。今アメリカで話題になっている「Race to Witch Mountain」の脚本や、撮影中の「The Sorcerer's Apperentice」の脚本も手がけているらしい。ファンタジー系の作品が多いようだ。

 ティム・ハーリヒーはアダム・サンドラーと一緒に彼の映画の脚本を担当してきた人。日本人にはあまり受けない人かも。

 監督はアダム・シャンクマン。ジェニファー・ロペスとマシュー・マコノヒーの「ウェディング・プランナー」(The Wedding Planner・2001・米)、ヴィン・ディーゼルのアクション・コメディ「キャプテン・ウルフ」(The Pacifier・2005・米)、ミュージカルの「ヘアスプレー」(Hairspray・2007・米)などを手がけた人。本作はアダム・サンドラー主演作と言うこともあって、アダム・サンドラー色が強くあまり才能が発揮できなかったのかも。

 公開2日目の2回目、字幕版の初回、新宿の劇場で1時間前ほどに座席予約をして、10分前くらいにもどってきたらちょうど開場したところ。すでに案内が上映されていたが、10分は短い。席を見つけて上着を置いてトイレに行ってくるくらいの時間しかない。そのためか予告編が始まってから入ってくる人が非常に多い。15分か20分は欲しいなあ。

 最終的には全席指定の157席に2.5〜3割くらいの入り。3/4は若いカップルで、中高年が1/4ほど。男女比はほぼ半々くらい。まあアダム・サンドラーだとこんなものではないだろうか。

 ほぼ暗くなって始まった予告は……音がスゴイ迫力の上下マスク「カムイ外伝」はまだ同じものでよくわからない。とにかく音はスゴイ。上下マスクの「お買い物中毒な私!」はコメディのようだが、ストレス発散にカードで買い物をしてしまって払えなくなるというような内容で、それが逆にビジネスで役立って……というお話のようだが、どうにも現実味があって怖いというか、笑って見ていられない感じが。こういう人、実際に多いのでは。ピンクのパワーブックか。

 バンパイア映画「トワイライト―初恋―」は映画会社がラブ・ストーリーとして売り対らしく、印象が薄い。もっとバンパイアの部分に力を入れればいいのに。ゲテモノにしたくないのはわかるが、ちょっとなあ……。

 スクリーンの上下が下がってシネスコになり、ピクサーの新作3Dアニメ「カールじいさんの空飛ぶ家」。相変わらずきれいでクォリティの高い絵。たくさんの風船を付けて家ごと飛んでいくなんて……昔話題になった風船オジサンか。しかもタイトルは宮崎アニメの「ハウルの動く城」みたいだし、どうなんだろう。なんだか3Dがどうとか出ていた気がするが、立体映画なのだろうか。

 続いての予告も3D-CGアニメで小犬が主人公らしい「ボルト」。俳優犬が現実を知って冒険に出かけるというストーリーらしく、飼い主を追って遠い距離を歩いていくという、実際にあったお話ともつながるようで、泣けそう。これも立体映画のようだった。


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