The Strangers


2009年4月4日(土)「ストレンジャーズ 戦慄の訪問者」

THE STRANGERS・2008・米・1時間25分

日本語字幕:手書き書体下、川又勝利/シネスコ・サイズ(マスク、Super 35、with Panavision)/ドルビーデジタル、dts

(米R指定、日PG-12指定)

公式サイト
http://www.strangers.jp/
(音に注意。入ると画面極大化。全国の劇場案内もあり)

2005年2月11日、クラークロードの別荘地で起きた事件は未解決のまま。結構式の後のパーティーで気まずい雰囲気となってしまったクリスティン・マッケイ(リヴ・タイラー)とジェームズ・ホイト(スコット・スピードマン)は、車でホイト家の別荘にもどった。ジェームズはその日、クリスティンに結婚を申し込むつもりだったが、とてもその雰囲気ではなかった。気分を変えるためジェームズは車でちょっとたばこを買いに出る。その間に、マスクの男が別荘に侵入。電話線を切られ、携帯も壊されてしまう。そこへジェームズがもどり……。

70点

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 実話の映画化。だからとは言え、この結末で良いんだろうか。未解決事件で、全米各地で似たような事件が140万件も起こっているとしても。映画であって、ドキュメンタリーじゃないんだからなあ。

 ただ、怖い。単に脅かす大きな音ではなく、現実にある大きな音、「ノック」や「叩く音」をうまく使って、怖がらせるのが実に巧妙。サラウンドが効果的に使われている。犯人たちがスケアクローのような袋をかぶっていたり、お面をかぶっているのもより恐怖をあおり立てる。実にうまい。今時なぜかあるアナログのレコードの使い方も巧妙。たぶん針が飛ぶのを使いたかったのだろう。包丁よりも、ものを叩く音のほうが怖いくらい。

 つじつまが合わないところもあって、それがのめり込むための妨げとなって、怖いのにちょっと退屈な部分はある。感じとしては、良くできていたケイト・ベッキンセイルの「モーテル」(Vacancy・2007・米)に似ている。ただ、あちらほど事件は起きない。あらためて「モーテル」が良くできていたことがわかる。ドイツ版をリメイクしたナオミ・ワッツ製作の「ファニーゲームU.S.A.」(Funny Games U.S.・2007・米)とはほとんど同じネタ。後味も似ている。

 実話どおりなのか、なぜ気まずい男女という設定にしたのだろう。この恐怖の事件を2人で乗り越えることで関係が改善するというのなら意味もあるが、冒頭で未解決だと言ってしまうこの話では……悲しみにさらに追い打ちをかけたかったのだろうか。

 主演のリヴ・タイラーはとても1児の母とは思えない若さと美しさ。全編ほとんど泣き叫んでいるが、気まずい雰囲気はとても良く出ていた。ボク的には「ジュエルに気をつけろ!」(One Night at McCool's・2001・米)の悪女役が抜群に良かった気がする。最近ではエドワード・ノートンの「インクレディブル・ハルク」(The Incredible Hulk・2008・米)で、ハルクの恋人役を演じていた。

 ジェームズ・ホイト訳のスコット・スピードマンは、「アンダーワールド」(Underworld・2003・米ほか)でケイト・ベッキンセイルと共演している二枚目。日本ではなぜか日本公開されなかった痛快アクション、リー・タマホリ監督の「トリプルX ネクスト・レベル」(xXx:State of the Union・2005・米)で組織のエイジェントを演じていた。あまり日本公開作がないので、知られていないかも。

 登場人物は2人の他に男の友人のマイケルと、謎の殺人者3人。顔は出ない。たぶん低予算映画なのだろう。かろうじて「タマラはいる?」と最初に仮面を付けずに訪ねてくるドールフェイス役の少女役が見たことあるなあと思ったら、スーパー・モデルで、日本のCMにも出ていたオーストラリア出身のジェマ・ワード。

 監督と脚本はブライアン・ベルチノ。映画芸術科学アカデミーの脚本家に対する助成金制度に応募し、本作が準々決勝まで残り、それをユニバーサルが買い取って監督デビューすることになったらしい。監督としては良いと思うが、脚本家としてはどうだろう。次作を見ないと何とも言えないか。

 こういう状況では銃が欲しくなるものだが、男は銃の使い方がよくわからない。そのため悲惨な事故も起きてしまう。出てきたのはポンプ・タイプのショットガン。

 公開初日の初回、新宿の劇場は予想と違って小劇場での公開。がっかり。まあ、この内容ではしようがないかも。50分前に着いたら誰もいなかった。劇場の電気も消えていた。ちょっとして灯りが点き、35分前くらいからボツボツと人が来だしたが、15分前に会場の文字を見て帰っていく人も。20分前ちょっと過ぎくらいに開場になった時点で、10人くらいの行列。全席自由。

 最終的には209席の4割くらいが埋まった。老若比は半々くらいで、女性は数人。関係者らしい若い男女が6人ほど。

 スクリーンはシネスコで開いていて、チャイムが鳴って暗くなりビスタになってCM予告。気になったのは……絵のクォリティが素晴らしいアニメ「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」は宇多田ヒカルの主題歌で、他の音も説明も一切なし。電柱にたくさんの電線があるカットは、なんだか庵野秀明監督の実写映画「ラブ&ポップ」(1998・日)のイメージと似ている気がしたが。

 「シン・シティ」(Sin City・2005・米)のフランク・ミラー監督の最新作「ザ・スピリット」はスカーフだかネクタイだかのみ真っ赤で、あとは浅い色という絵画的な絵作りのアクションらしい。期待できそう。

 ニコラス・ケイジの「バンコック・デンジャラス」は新予告に。オキサイド・パンとダニー・パンの監督はどうだろう。ニコラス・ケイジが製作というのも興味を引く。

 上下マスクの「スター・トレック」は凄い迫力。カッコいい。絵がいかにも映画らしいし、役者たちもオリジナル版の若い頃と言われて違和感ないし。こりゃハンパない。見たい。

 ジェット・リー、アンディ・ラウ、金城武共演というちょっと上下マスクの「ウォーロード」は何だか面白そう。監督は感動作「月夜の願い 新難兄難弟」(新難兄難弟・1993・香)のピーター・チャン。はたして……。


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