Panisher: War Zone


2009年4月26日(日)「パニッシャー:ウォー・ゾーン」

PUNISHER: WAR ZONE・2008・米/加/独・1時間43分

日本語字幕:手書き書体下、岸田恵子/シネスコ・サイズ(マスク、Super 35、Arri)/ドルビーデジタル、dts、SDDS

(米R指定、日R-15指定)

公式サイト
http://www.sonypictures.jp/movies/punisherwarzone/
(音に注意。入ると画面極大化。全国の劇場案内もあり)

マフィアの幹部の1人、美男のビリー(ドミニク・ウェスト)はボスすら敬わない過激な男。幹部が一同に揃うパーティの会場をパニッシャー(レイ・スティーヴンソン)が襲い、皆殺しにする。しかし美男のビリーが逃げ延びたため、隠れ家を襲いビリーをガラスの粉砕器に落としズタズタにする。その時、知らずにFBIの潜入捜査官ニッキー(ロマーノ・オルザリ)を射殺してしまう。からくも死を免れた美男のビリーは自慢の顔がズタズタになったことから、自らジグソウと名乗り、パニッシャーへの復讐を実行に移す。まず精神病院に収容されている凶暴な弟ルーニー(ダグ・ハッチンソン)を脱獄させると、組織の資金を預けていたニッキーの妻アンジェラ(ジュリー・ベンツ)に金のありかを聞き出しに行く。

75点

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 サブ・タイトル通りほとんどこれは戦争映画に等しい。余計な説明は省いて、思い切って戦いのみにフォーカスした。この割り切りが良い。そしてそれが成功している。ドラマ部分は戦いによって描いていく感じで、説明的でないところも素晴らしい。思いっきり憎たらしい悪役と、そいつをやっつける痛快さ。ちゃんとそこに悩みや戸惑い、悲しみ、愛などを盛り込んでいる。

 簡単なようだが、行動でドラマを感じさせるのは実は難しいのではないかと思う。セリフと名優の名演技で感情を伝える方が実は簡単だと思う。あえて難しい方に挑戦し成功した。これはなかなか、ない。たいていはただのドンパチで終わってしまう。

 主演は、日本ではあまりなじみのないレイ・スティーヴンソン。北アイルランド生まれということだが、確かにそんな雰囲気。いまひとつパっとしなかった「キング・アーサー」(King Arthur・2004・米/英/アイルランド)などに出演していたが、TVドラマの「ROME[ローマ]」(Rome・2005〜2007・英/米)での演技が認められ、本作の主演が決まったらしい。いままではTVの仕事が多かったようだが、以後変わるかも。

 憎たらしい上に、つぎはぎになった顔が恐ろしいジグソウを演じたのは、ドミニク・ウエスト。とくに引き連れたまぶたと充血した目が怖い。どこかで見たことがあるなあと思ったら、よくわからないSF「フォーガットン」(The Forgotten・2004・米)で、飛行機事故で娘を失った父親を演じていた人。ほかに「300〈スリー・ハンドレッド〉」(300・2006・米)の王妃をだますセロンや、「ハンニバル・ライジング」(Hannibal Rising・2007・英ほか)の捜査官を演じている。

 パニッシャーに誤って殺されるFBIの潜入捜査官ニッキーの妻アンジェラを演じていた美女はジュリー・ベンツ。つい最近「ソウ5」(Saw V・2008・米)で新たな美人犠牲者を演じていたし、「ランボー最後の戦場」(Rambo・2008・米/独)ではランボーに夫を助けてくれと頼んでくる女を演じていた。もっとガンガン出て欲しい。使っていたのはベレッタ9000。

 ジグソウの弟で、ほとんど異常者のルーニーを演じたのはダグ・ハッチンソン。あの傑作「グリーンマイル」(The Green Mile・1999・米)でいじわるでこすい看守パーシーを演じていた人。さすがにうまい。本作でも目がいってしまっていて、異常さが良く出ている。

 パニッシャーを追うFBI捜査官を演じたのは、コリン・サーモン。「007」シリーズでMI6の職員をずっと演じている人。最近ではSFアクションの「エイリアンVS.プレデター」(AV: Alien vs. Predator・2004・米ほか)、クライム・アクションの「バンク・ジョブ」(The Bank Job・2008・英)にも出ていた。使っていたのはグロックとセンチニアル系のリボルバー。

 パニッシャーの武器屋、マイクロはウェイン・ナイト。スピルバーグの傑作恐竜映画「ジュラシック・パーク」(Jurassic Park・1993・米)で遺伝子を盗み出す太ったコンピューター技師を演じていた人。最近はTVの仕事が多かったようだ。

 警察のパニッシャー専従班のソープはダッシュ・ミホク。上質なミステリー「閉ざされた森」(Basic・2003・米/独)や、異常気象パニック映画「デイ・アフター・トゥモロー」(The Day After Tomorrow・2004・米)などに出ていた。ウィル・スミスのホラーSF「アイ・アム・レジェンド」(I Am Legend・2007・米/豪)では異形のモンスターを演じていたらしい。

 監督はなんと女性のレクシー・アレクサンダー。ドイツ生まれで、女子の空手とキックボクシングで世界チャンピオンになっているという。ハリウッドに行きたくて19歳でアメリカで行われた世界空手選手権に出場してチャンピオンになったらしい。その後マーシャルアーツを教えたりスタント・ウーマンをやりながらUCLAで映画を学び、2003年に短編でアカデミー賞にノミネートされ、「フーリガン」(Hooligans・2005・米/英)で長編映画デビュー、本作に至るらしい。今後も期待の新人監督だ。

 脚本はニック・サントーラ、アート・マーカム、マット・ハロウェイの3人。ニックはTVの「プリズン・ブレイク」(2005〜2008)を手がけた人で、シーズン1以外はどうかと思うがシーズン1も手がけているならなるほどというところか。アートとマットの2人は共に「アイアンマン」(Iron Man・2008・米)を手がけた人。これまた納得。

 プロデューサーはゲイル・アン・ハード。ロジャー・コーマンの秘書から経歴をスタートさせた人で、その後プロデューサーとなり「ターミネーター」(The Terminator・1984・米)や「エイリアン2」(Aliens・1986・米)、「アビス」(The Abyss・1989・米)、「ターミネーター2」(Terminator 2: The Judgement Day・1991・米)などのジェームズ・キャメロン作品を手がけ大ヒットさせた。SFアクション系の作品が多く、最近はエドワード・ノートンの「インクレディブル・ハルク」(The Incredible Hulk・2008・米)。

 登場する銃器は……えりの高い防弾チョッキに身を固めたパニッシャーがフルオート仕様のベレッタM92のシルバーの2挺拳銃。メインはM4A1カービン、MP5K、H&KのSL8ライフル。ほかにS&WのM500マグナム、USPも使う。マフィアたちが使うのは、AKMS、AKS74U、G36C、ブルッガー&トーメ社のMP-9などで、幹部の息子が持っているのはソード・オフしたポンプ・ショットガンとP230。ロシア・マフィアはマカロフを使っている。FBIのSWATはSG552……などなと。冒頭アップになる弾薬はハイドラショック系(シルバーチップ系?)の、ホロー・ポイントの弾丸頭部に刻みの入ったものだった。

 公開9日目の初回、新宿の劇場は前日に座席を確保しておいて、20分前くらいに到着。クロワッサンを食べようかと思ったら、1コ290円と高いのでパス。15分前くらいに入場となった。10分前くらいから半暗になってCM予告。最終的にはスクリーン大きめの127席に4割くらいの入り。ほぼ男性で老若比は半々くらい。女性は若い子が5人くらい。もうちょっと入っても良い映画だと思うが。

 気になった予告編は……大学のレスリング部が乗り込んだ列車で殺戮が始まるという「テラートレイン」は、なかなか怖そうな雰囲気。大学のレスリング部だから、若くて突っ張ったヤツら多く、まさに事件に巻き込まれるには最適。R-15指定。ただ、劇場が……。

 上下マスクの「ターミネーター4」はマシンと人間の戦争映画で、わくわくさせるようなうまい構成。スゴイ迫力で、いかにも映画的。楽しみだ。

 チョン・ジヒョンの上下マスク「ラストブラッド」は新バージョンに。全編英語で、舞台は日本のような感じ。はっきり「オニゲン」と言っている。セーラー服で日本刀か、見たい。

 少し上下マスクの「天使と悪魔」は新予告に。だいぶ内容がわかるものになった。地球誕生の秘密、暗号、ガリレオ……面白そう。

 スクリーンが左右に広がって本編の上映。コピー防止のドットがあったような気がしたが、気のせいか?


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