Kamogawa Horumou


2009年4月26日(日)「鴨川ホルモー」

2009・松竹/ソニー・ミュージックエンタテインメントGDH/木下工務店/ガンホー・ワークス/衛星劇場/ポニーキャニオン・1時間53分

ビスタ・サイズ(デジタル、HDCAM)/ドルビーデジタル



公式サイト
http://www.horumo.jp/index.html
(音に注意。全国の劇場案内もあり)

二浪して京大に合格した安倍明(山田孝之)は、親友の帰国子女、高村(濱田岳)とともに「京大青竜会」というサークルに誘われる。安倍は美女の早良京子(芦名星)に惹かれて高村も道連れに入会するが、ただのお気軽なサークルではなかった。千年続くという、神々を慰めるためオニと呼ばれる式神を使って戦いを披露するという「ホルモー」という儀式を行うサークルだったのだ。

71点

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 楽しみながら作った3D-CG満載の青春コメディというところだが、くすくす笑いくらいで、どっと沸いたのは2〜3回のみ。そこそこおもしろいのだが、3D-CGをたっぷり使っていても、どうにもTVドラマ的な印象が強かった。映画としては、ちょっと恋あり、友情あり、部活(サークル)あり、ライバル対決あり、くらいのキャンパス・ライフでは物足りない感じ。3D-CGを縮小すれば、むしろTVドラマで連続ものとして適しているのではないだろうか。原作のマンガはもっと面白いんだろうなという気も……。

 本当に3D-CGはすごい。二頭身の頭でっかちのキャラクター、オニは愛嬌があっていい。そして、まるで本当にそこにいるような存在感。やられると魂のようになって昇天するというのは式神としてどうなんだろうと思うが、まっ、いいか。へんてこな言葉の命令で動くだけなのに、なぜ強さに差が出るのかも不明だが、これも、まっ、いいか。VFXを手がけたのはGONZO

 主人公の安倍明役は「電車男」(2005・日)でブレイクの山田孝之。最近映画に出まくりの感じ。「クローズZERO」(2007・日)では正反対の怖い役を演じていたが、怖さの片鱗が本作でも垣間見ることができる。「252生存者あり」(2008・日)でもキレていた。

 親友の高村を演じたのは濱田岳。ちょんまげはなかなか良かった。「ミッドナイトイーグル」(2007・日)にも出ていたようだが、印象が薄い。味のある良いキャラクターだと思う。

 安倍が一目惚れする性悪女、早良京子は芦名星。キーラ・ナイトレイの「シルク」(Silk・2007・加ほか)で主人公の気を惹く少女を演じた人。これから公開される「カムイ外伝」や「悪魔のエレベーター」にも出ているらしい。

 「京大青竜会」の第499代目会長の菅原を演じたのは荒川良々。独特のトボケた感じで、CMなどにも引っ張りだこ。「ピンポン」(2002・日)では高校の卓球部キャプテンを演じていたのに、「突入せよ!「あさま山荘」事件」(2002・日)では警察官を演じていた不思議なキャラ。

 密かに安倍にあこがれる女、楠を演じたのは栗山千明。「死国」(1999・日)はなかなかインパクトがあった。ハリウッド映画「キル・ビル」(Kill Bill: Vol.1・2003・米)が特に良かったのではないだろうか。最近はパッとしない感じだったが、ここにいたか。

 主人公の天敵、実に嫌なキャラ芦屋をリアルに演じたのは、石田卓也。2002年の「JUNON SUPERBOYコンテスト」でフォトジェニック賞を受賞したイケメン。しかし本作のような役が多いようで、また実にうまい。金城武の死に神映画「Sweet Rain死に神の精度」(2007・日)のチンピラ役は本物にしか見えなかった。他のキャラクターも見てみたい。

 監督は本木克英(1963年生まれ)。「ゲゲゲの鬼太郎」(2007・日)でも書いたが、「踊る大捜査線 THE MOVIE」(1998・日)の本広克行監督(1965年生まれ)と名前が似ていて、ギャグの傾向も似ている気がするが、別人。「ゲゲゲ……」は2作とも????だったなあ。「犬と私の10の約束」(2008・日)はそこそこ良かった気がするが。コメディー系は向かないのではないだろうか。

 脚本は経塚丸雄。「連弾」で城戸賞を受賞して、竹中直人が映画化。それを見ていないので何とも言えないが、コメディが向いている人なのかどうか。

 フィルムで撮影したのかどうかわからないが、特に屋外シーンは色が浅く、ビデオっぽい画質。

 公開9日目の2回目、新宿の劇場は前日に座席を確保しておいて、10分ほど前に着いたらちょうど開いたところ。床にドリンクがこぼれていて、ベトベトで困った。拭いておけよなあ。最終的には287席に9割くらいの入り。意外に多くて驚いた。8.5割くらいは若い人たちで、男女比はほぼ半々。まあ中高年はあまり見ないだろう。

 気になった予告編は……ほとんどなかった。ただ、タイトルが出るのが遅い。最後に1回だけでは覚えられない。一番効果的なのは最初から最後までずっと出しておくことだろう。最近は最初にタイトルを出して、最後にもう一度出すものも出てきた。ボクとしては最初に大きく出して、途中は小さくして表示し続けておいて、最後にもう一度大きくして出して欲しいなあ。


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