Goemon


2009年5月10日(日)「GOEMON」

2009・松竹/ワーナー・エンターテイメント・ジャパン/大一商会/木下工務店/衛星劇場/KIRIYA PICTURES/CELL/テレビ朝日/電通/吉本興業/ドリームキッド/ホットトイズ/エイベックス・エンタテインメント・2時間08分

シネスコ・サイズ(デジタル、HDCAM)/ドルビーデジタル



公式サイト
http://www.goemonmovie.com/index.html
(入ったら音に注意。全国の劇場案内もあり)

ある国の城主の息子として生まれたGOEMON(江口洋介)は、父が自害し落城する時、母(りょう)によって密かに逃がされ、NOBUNAGA(中村橋之助)に拾われ、SAIZO(大沢たかお)と共にHANZO(寺島進)に忍びとして育てられた。やがてNOBUNAGAが暗殺されHIDEYOSHI(奥田瑛二)が天下を取ると、SAIZOはサムライになることを目指しHIDEYOSHIの家臣MITSUNARI(要潤)に仕える忍びとなり、GOEMONは自由を求めて義賊として知られる天下の大泥棒になっていた。そんなGOEMONが豪商のBUNZAEMON(六平直政)から盗んだものの中に、HIDEYOSHIの陰謀を証明するものがあったことから、それを手に入れようとするMITSUNARIから命を狙われることになる。

70点

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 やっぱりデジタル紙芝居というか、CGショーだった。突っ込み所も満載。マンガなのかもしれない。絵はきれい。衣装もユニーク。前作「CASSHERN」(Casshern・2004・日)と同じ。MTV的に短い尺のクリップなら見ていてもきれいなだけで疲れないが、長編映画として見せられるとかなり疲れる。多分にデジタル化した後の「スター・ウォーズ エピソード1」(Star Wars: Epsode 1 The Phantom Menace・1999・米)シリーズや、チャン・イーモーの「LOVERS」(Lovers・2004・中)や、「HERO」(Hero・2002・香/中)、チェン・カイコーの「PROMISE」(The Promise・2005・中ほか)の影響というか、似たようなカットがあった気がする。違うのは、画質的に良くないこと、合成のエッジが気になったこと、真似という感じがしたこと。

 「300〈スリーハンドレッド〉」(300・2007・米)や「シン・シティ」(Sin City・2005・米)とは似て非なるもの。ファンの人には申し訳ないが、残念ながらレベルが違うような印象を受けた。

 しかも石川五右衛門をモチーフとしながら「GOEMON」とローマ字にしただけあって、時代劇にはなっていないというか、しようとしていない。衣装も舞台も和洋折衷を越えて無国籍、時代さえ無視のやりたい放題。ちょんまげがいない。セリフも現代語。感動的な話ではあるけれど、織田信長、明智光秀、石田三成、徳川家康といった実在の歴史上の人物を使いながら、これだけめちゃくちゃに作ってしまえば、何でもあり。ようするに現代劇でも良かったわけで、あえて五右衛門にした理由がわからない。だからあまり感動できない。五右衛門を知らないとか時代劇的素地のない海外では受けるかもしれない。

 贅沢な感じはして、ビジュアルはCGも衣装も含めて豪華だった。そして出演者も豪華。ここまでオール・スター・キャストにする必要もなかろうにと思うほど。このあたりに見る価値がある。

 華麗な衣装を手がけたのはオーストラリア出身のヴォーン・アレキサンダーとティナ・カリバス。時代劇ではないのでこの辺も問題ないのだろう。実際、時代劇として見なければ、絢爛豪華で素晴らしい衣装。ちょっと「落下の王国」(The Fall・2006・印ほか)の石岡瑛子のデザインに通じるものも感じる。

 ビジュアル・コンセプトと美術監督は林田裕至。これも時代劇と見なければ素晴らしいデザイン。感動的でさえある。「CASSHERN」も手がけており、ガラリと違う「ヤッターマン」(2008・日)、正当派の「阿修羅城の瞳」(2005・日)や「あずみ」(2003・米)も彼の手になる。

 劇中登場するガトリング砲は自動で動くし、なぜか全銃身から同時に火を噴いていることがあり、大砲も含め、いかにも絵のようで迫力も存在感なく、とても軽そうな感じ。もっと強烈な反動も欲しかったなあ。ボディ・ガードのようなチェ・ホンマンも多銃身銃のようなものを持っているが、どんな設定なのかよくわからなかった。ほかにフリンク・ロックらしい短筒も出ていたが、連射するので何とも……。信長から五右衛門がもらう天下布武の刀は、「ファントム・メナス」でダース・モールが使っていたライトセーバーのように見えたのだが……。そういえば広末涼子が演じた茶々は、出てくるたびに違う奇抜な衣装で、アミダラ王女のように見えたし……。蛍のいる滝でのデートも「スター・アォーズ」だよなあ……。

 ところどころコピー防止のドットが見えたような気も。

 公開10日目の初回、銀座の劇場は前日に座席を確保しておいて、25分前に着いたらまだ開場していなかった。20分前に開場になり全席指定の場内へ。TV・CMでは満員御礼といっていたが、最終的に802席のうちの2F席はわずかに25人くらい。ガラガラじゃないか。「グラン・トリノ」のような混んでいる作品を小さい方の劇場に押し込んでおいて、ガラガラの作品を一番大きな劇場で掛けているなんて。

 観客層は、下は小学生くらいからいたが、だいたい老若比は半々くらいで、女性は3〜4人。まあとにかく入っていない。こんなの久々に見た。

 5分前くらいから案内が上映され、チャイムの後アナウンスがあってCM予告へ。気になった予告は……少し上下マスクの「ココ・アヴァン・シャネル」はシャネルの若き日々を描いたものらしい。主演はオドレイ・トトゥ。ちょっと暗い感じだったのが気になる。「ハチ」は古い予告のまま。前売り券には“おかえりストラップ”が付いているらしい。上下マスクの「ハリー・ポッターと謎のプリンス」はかなりダークな感じ。ここからクライマックス3部作となるらしい。

 スクリーンが左右に広がって、シネスコになってニコラス・ケイジの「ノウイング」。面白そうだが、そろそろ同じパターンは飽きてきた。左右マスクのアニメ「サマーウォーズ」は「時をかける少女」の監督最新作だそうで、絵の爽やかな感じが良い。ただ内容はさっぱりわからなかった。


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