Angels & Demons


2009年5月23日(土)「天使と悪魔」

ANGELS & DEMONS・2008・米・2時間18分

日本語字幕:丸ゴシック体下、戸田奈津子/吹替版翻訳:松崎弘幸/翻訳監修:越前敏弥/シネスコ・サイズ(Clairmont、マスク、Super 35)/ドルビーデジタル、dts、SDDS

(日本語吹替版もあり、DLP上映もあり)(米PG-13指定)

公式サイト
http://angel-demon.jp/
(音に注意。POPを可にして入ると画面極大化。全国の劇場案内もあり)

ヴァチカン市国で教皇が亡くなり、コンクラーベによって新たな教皇を選ぶことになった。ちょうどその頃、スイスのCERN(欧州原子核研究所)から実験中の反物質が盗み出される。そしてハーバード大学のロバート・ラングドン教授(トム・ハンクス)のもとにヴァチカンより使者が訪ねてきて、いにしえの科学者たちの秘密結社イルミナティから教皇候補の5人の枢機卿を1時間ごとに処刑するというメッセージが届いたため、その道の権威である教授に捜査に協力して欲しいというのだった。ヴァチカンに行くと、ヴァチカン警察とスイス衛兵が待っており、スイス衛兵の長官リヒターが捜査の指揮を取っていた。またCERNの反物質の研究者ヴィットリア博士(アイェレット・ゾラー)も招かれており、あと数時間で反物質を入れた容器のバッテリーが切れ大爆発が起きるという。ラングドン教授は手がかりの処刑メッセージを読み解くことから始めるが……。

74点

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 まあ、良くできたミステリーだと思うが、前作「ダ・ヴィンチ・コード」(The Da Vinci Code・2006・米)と同様、どうにも犯人の動機と犯行手段が不自然。主眼は謎解きの面白さにあるため、その謎が説得力あるかどうかは問題になっていない。ここが気になるとたぶん楽しめない。

 さらに、2時間ちょっとで事件を起こして、5人を処刑して、しかも事件を終わらせ、どんでん返しまでやって終わらせなければならないから、もの凄い駆け足。ジェットコースター・ムービー状態。それでいて、謎はかつての彫刻家の作品などが絡んでいて、かなり複雑。本で読むならいいとしても映画ではどんどん流れて行ってしまうから、どうしても理解するのに時間がかかってしまう。だから日本語吹替版が作られたのかもしれない。それでもわかりにくいかも。やはりDVDなどで巻き戻してじっくり見ないと分かりづらいのかも。

 結局、謎解きのための謎という感じ。犯人がこの犯行によってどんなメリットがあるのか。しかも、なぜ昔のイルミナティの「啓示の道」なんてものに則って犯行を重ねるのか。1時間に1人ずつでは、警察サイドに解決のための時間を与えているようなものではないか。本当に殺すのが目的なら、すぐに全員を殺せばいいはずだ。そして、なぜ爆弾を盗む必要があったのか。さらには、なぜ盗むのが難しいはずの反物質なんていうものを選んだのか。普通の爆弾でも良いではないか。つまりは謎解きのための謎解き。

 前作から引き続きトム・ハンクスがロバート・ラングドン教授を演じている。最近の出演作で良かったのは「チャーリー・ウィルソンズ・ウォー」(Charlie Wilson's War・2007・米)だろうか。プロデュース業にも積極的で、特にTVの戦争ドラマ「バンド・オブ・ブラザース」(Band of Brothers・2001・英/米)や「フロム・ジ・アース」(From the Warth to the Moon・1998・米)は有名。最近では意外なことに「マンマ・ミーア!」(Mamma Mia!・2008・英/米/独)の製作総指揮を手がけている。

 亡くなった教皇の侍従、カメルレンゴを演じたのはユアン・マクレガー。ダニー・ボイル監督の「トレインスポッティング」(Trainspotting・1996・英)のヒットでメジャーになり、ハリウッド作品にも出るようになった。個人的にはいずれもマイナーな「悪魔のくちづけ」(The Serpent's Kiss・1997・仏/独/英)や、ラブコメ「恋は邪魔者」(Down with Love・2003・米/独)、映像がすごいミステリー「ステイ」(Stay・2005・米)、「彼が二度愛したS」(Deception・2008・米)なんかがいいなあと思うのだが……。

 物理学者を演じたアイェレト・ゾラーはイスラエルの女優。スピルバーグの「ミュンヘン」(Munich・2005・米)で、主人公のエリック・バナの奥さんを演じていた人。「バンテージ・ポイント」(Vantsge Point・2008・米)ではテロリストの1人を演じていた。

 怪しげなスイス・ガードのリヒター隊長を演じていたのは、スウェーデン出身のステラン・スカルスガルド。最近よくスクリーンで見かける。ヒット作では、ミュージカル「マンマ・ミーア!」の3人のお父さんの1人や、「パイレーツ・オブ・カリビアン/」(Pirates of the Caribbean: Dead Man's Chest・2006・米)のブーツストラップ・ビル役が有名。「宮廷画家ゴヤは見た」(Goya's Ghosts・2006・米/西)はなかなかショッキングだった。

 シュトラウス枢機卿はドイツ生まれのアーミン・ミューラー=スタール。ジェフリー・ラッシュがアカデミー主演男優賞を受賞した「シャイン」(Shine・1995・豪)で主人公のお父さんを演じていた。たくさんの作品に出ていて、最近では「イースタン・プロミス」(Eastern Promises・2007・英/加/米)や「ザ・バンク 墜ちた虚像」(The International・2009・米/独/英)で怖い役を演じていた。

 怖い殺人者を演じたのはニコライ・リー・コスという人。デンマーク出身で、あまり日本公開された作品はない模様。ヨーロッパ作品ということで公開された作品もアート系小劇場で……。

 原作は製作総指揮も兼ねるダン・ブラウン。前作は世界的な大ヒットとなった。1964年生まれというからまだ45歳という若さ。

 脚本にまとめたのはデヴィッド・コープとアキヴァ・ゴールズマンの2人。デヴィッド・コープは初期からロブ・ロウの悪人映画「バッド・インフルエンス/悪影響」(Bad Influence・1990・米)や、テロリストと戦う学生を描いた「トイ・ソルジャー」(Toy Sildiers・1991・米)、「ジュラシック・パーク」(Jurassic Park・1993・米)シリーズなど、派手な作品からドラマまで、多くの話題作を多く手がけている。監督もやったホラーの「エコーズ」(Stir of Echoes・1999・米)なんかも、なかなか良かったが、最近は「宇宙戦争」(War of the Worlds・2005・米)とか「ザスーラ」(Zathura: A Space Adventure・2005・米)とか、ちょっと残念な作品が続いているようだが。

 アキヴァ・ゴールズマンは製作も手がける脚本家で、スーザン・サランドンの「依頼人」(The Client・1994・米)とか、「評決のとき」(A Time to Kill・1996・米)、ロン・ハワード監督と組んだアカデミー受賞作「ビューティフル・マインド」(A Beautiful Mind・2001・米)、「シンデレラマン」(Cinderella Man・2005・米)など感動作を多く手がけている。

 監督は俳優出身で、いまやプロデューサーも兼ねるロン・ハワード。前作から引き続きの登板。つい最近「フロスト×ニクソン」(Frost/Nixon・2008・米/英/仏)が公開されたばかり。「ビューティフル・マインド」でアカデミー監督賞を受賞している。監督作品では「コクーン」(Cocoon・1985・米)が好きだが、TVの人気シリーズ「24」(24・2001・米)はこの人のプロデュース作品。

 イタリアの名所は撮影許可が下りなかったところが多いそうで、それらはCGで再現されたということだが、スクリーンでもそれとわかる箇所が多々あった。昔なら気付かなかったのだろうが、最近は目が肥えてきたせいか気になることがある。

 刑事が使っていたのはSIGのP226のようで、書類保管庫脱出に使われたのはP229のようにも見えた。暗殺者はサイレンサーを付けたグロック。スイス・ガードはMP5。スナイパーが使っていたのはG3のようだった。

 公開2日目の初回、前日に座席を確保しておいて、20分前くらいに新宿の劇場に到着。12〜13分前に開場となり、エレベーターで上がって全席指定の場内へ。年齢層は若い人から中高年までまんべんなくいる感じで、男女比は4対6くらいで女性の方が多かった。最終的には607席に3.5割くらいの入り。これは妥当なのか少ないのかよくわからない。

 ほぼ暗くなって始まった予告は……だいたい同じものだったが。「トランスフォーマー リベンジ」は新バージョン。まあ、絵はスゴイ。IMAX版もあるというから、そちらのほうが楽しめるかもしれない。ただマイケル・ベイだからなあ。リメンバー「パール・ハーバー」。

 画面が左右に広がってシネスコになってジョン・トラボルタとデンゼル・ワシントンの新作。なかなかタイトルが出ずよくわからなかったが、どうやらリメイク版の「サブウェイ・パニック」らしい。1974年版ではたしかS&WのM76SMGが使われていたが、新作では何になるんだろうか。ピストルはP229のようだった。監督はトニー・スコット。まだ日本語のサイトはない模様。面白そうな感じ。


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