日本語字幕:手書き風書体下、林 完治/シネスコ・サイズ(Panavision Genesis、HDCAM SR)/ドルビーデジタル、dts、SDDS
(米PG-13指定)
セントラル・シティの治安を守るヒーロー、スピリット(ガブリエル・マクト)に、ウォーター・フロントで凶悪な犯罪者のオクトパス(サミュエル・L・ジャクソン)一味が沈没した貨物船にからんで何か企んでいると連絡が入る。現場に到着すると、先に張り込んでいた刑事が重傷を負っており、女がいてスゴイ美人だったと、彼女から奪ったペンダントを渡す。それはスピリットが昔サンド・サレフ(エヴァ・メンデス)という女の子にプレゼントしたものだった。オクトパス一味の戦いで重傷を負ったスピリットは女医で恋人のエレン(サラ・ポールソン)の治療ですぐにもどることができた。そしてサンド・サレフを追うが、オクトパスもまたサンド・サレフを追っていた。
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動くアメコミ、といった感じ。絵は抜群に素晴らしい。ほとんどモノクロに近い浅い色で、コントラストが強く、まさに絵のような構成。ほとんど色はウォッシュ・アウトされ、白、黒、赤のみ。そしてエロと暴力、ありえないアクション、ちょっとしたユーモアというよりはギャグ。これでドラマがしっかりしていて、観客に訴えてくるものがあれば良かったのだが、肝心のドラマが希薄。監督やプロデューサーが目指したものはドラマではなく、グラフィック・ノベルのようなものだったのかもしれないが。だとしたら成功ということだろう。 赤を引き立たせて使っているが、血は赤ではなく白で表現され、生々しさや残酷さが出ないようにされている。ネクタイや唇などが真っ赤。一方、靴底がなぜか真っ白。光り輝いているように見える。なぜなんだろう。 そして原作通りなのかもしれないが、なぜか猫。主人公が飼っているらしい。なぜこんなにフィーチャーされているのか説明がなく、観客にはわからない。夢に出てくるローレライだかなんだかも、よくわからない。日本と中国のちゃんぽんもあったし、セップクしろとか、大きな旭日旗とか。まあ、非常にアメコミのヒーローっぽい感じはする。頭脳よりは筋肉。話し合うよりはぶっ飛ばす。でもペットを飼っていて大切にしているみたいな。 主人公のスピリットを演じたのは、ほとんど素顔がわからないガブリエル・マクト。当然二枚目なのだが、どこかで見たなあと思ったら、アル・パチーノとコリン・ファレルのCIA就職アクション「リクルート」(The Recruit・2003・米)や、核兵器流出を追うCにちの活躍を描いた「9デイズ」(Bad Company・2002・米)、オーウェン・ウィルソンのパイロットの敵地脱出アクション「エネミー・ライン」(Behind Enemy Lines・2001・米)に出ていた人。ただ、ちょっと印象が薄いかも。とはいえ、公開を控えている作品が3本もある。これから大活躍か。 敵役オクトパスを、実に憎らしくふてぶてしく演じていたのはサミュエル・L・ジャクソン。この人はうまい。良い作品にもたくさん出ているが、積極的に新人監督の作品にも出ているようで、ハズレもままある。最近は「ジャンパー」(Jumper・2008・米)や「1408号室」(1408・2007・米)などちょっと残念な作品が続いた。しかし自身が製作したB級アクションの「スネーク・フライト」(Snakes on a Plane・2006・独/米/加)はなかなか面白かった。使っていた銃は2挺のデザート・イーグル、そして2挺のS&WのM500マグナム、2挺の水平二連ではなく上下二連のショットガンを切り詰めたもの、2挺の見たこともない4連銃身のショットガンを切り詰めたもの、そして2挺のいろんな銃をくっつけたマシンガン。 オクトパスの片腕なのか愛人なのか、長所のようなつけまつげを付けた美人のシルケン・フロスにスカーレット・ヨハンソン。ヘンなまつげを付けても美人はそれをものともしない。「モンタナの風に抱かれて」(The Horse Whisperer・1998・米)の落馬する少女を演じた時から光っていた。最近では「私がクマにキレた理由」(The Nanny Daiaries・2007・米)はなかなか面白かった。使っていた銃はS&Wのチーフか。 スピリットの元恋人サンド・サレフを演じたのはエヴァ・メンデス。この色気たるや当代随一という感じか。35歳にはとても見えない。つい最近「アンダーカヴァー」(We own the Night・2007・米)でホアキン・フェニックスと際どいラブ・シーンを演じていたが、本作ではスッポンポンになっている模様。コピー機の上に座り、「パーフェクト・アス」と言いながらスカートの上からではあるがおしりのコピーを取るシーンにはビックリ。しかもそれをスピリットが持ち帰ると。変態的ストーカー行為ではないか。彼女が自殺しろと古代遺物の専門家に渡すリボルバーはコルト・オフィシャル・ポリスのように見えたが……冒頭に使うポケット・ピストルは、ちょっとしか写らずわからなかった。 そのサンド・サレフの少女時代を演じた少女もまた美人。セイチェル・ガブリエル。映画初出演のようだが、きっと人気が出るのではないだろうか。最新作を現在撮影中。 サンド・サレフの夫はエリック・バルフォー。人気TVドラマ「24」のシーズン6で、CTUの新スタッフ、マイロを演じていた人。つい最近「ヘルライド」(Hell Ride・2008・米)に出ていたらしいが、上映劇場がひどかったので見ていない。 女医エレンを演じたのはサラ・ポールソン。面白かったコテコテの60年代ラブ・コメディ「恋は邪魔者」(Down with Love・2003・米)でレニー・ゼルウィガー演じる新人作家の編集者を演じていた人。 新人警官でナチスのような軍服を着た女スナイパー、モルゲンスターを演じたのは、カナダ人女優スタナ・カティック。クールな感じが凄い。TVメインで活躍している人のようで、「24」のシーズン5のほか、「HEROES/ヒーローズ」のシーズン1にも出ていたらしい。映画では「007/慰めの報酬」(Quantum of Solace・2008・英/米)に出ていたらしいが気付かなかった。 オクトパスが作ったクローンで、名前の書かれたTシャツを着て登場する男を演じたのは、ちょっと太めのルイス・ロンバルディ。この人も「24」のシーズン5でCTU職員スタイルズを演じていた。使っていたのは折りたたみストックのAK。 監督・脚本はコミック・ライター/アーティストのフランク・ミラー。コミックでは「スパイダーマン」、「デアデビル」、「バットマン」、「シン・シティ」などを手がける。グラフィック・ノベルの「300〈スリー・ハンドレッド〉」も彼の作品。監督としては「シン・シティ」(Sin City・2005・米)の共同監督に次ぐ2作目だが、すでに3作目が進行中。脚本としては「ロボコップ2」(RoboCop 2・1990・米)あたりから映画に関わっている。 ほかに登場する銃は、KG-9(TEC-9)、MP5、アパッチ・ヘリのチェインガン、M1ガーランドなど。 公開初日の初回、初回、新宿の劇場は40分前くらいに着いたら4人ほど。中高年のみで、1人オバサン。30分前くらいに1Fのドアが開いて階段下へ。この時点で10人くらい。数分して開場になり、全席自由の場内へ。この時20人くらいで、最終的には588席の3.5割くらいが埋まった。 古い劇場のせいか、照明に問題があるらしく、本も読みにくいくらいの暗さ。5分前くらいから明るくなったり暗くなったりを繰り返し、暗くなってCM予告に突入した。うーむ。カーテンが左右に開いて始まった予告編は、新しいものがなかった。 スクリーンが左右に広がってシネスコになり、本編になったら中央部分がピンあまに。そしてそのまま本編へ。映写設備が古いのか、映写技師に問題があるのか、こんなことでは観客が減ってしまうと思うが……。 コピー防止のドットがあったような気がしたが、まだ必要なんだろうか。 |