Sunshine Cleaning


2009年7月11日(土)「サンシャシン・クリーニング」

SUNSHINE CLEANING・2009・米・1時間32分(IMDbでは欧州版102分、米版91分)

日本語字幕:手書き書体下、松浦美奈/シネスコ・サイズ(マスク、Arri、Super 35)/ドルビーデジタル(IMDbではdtsとSDDSも)

(米R指定、日PG12指定)

公式サイト
http://www.sunshine-cleaning.jp/
(音に注意、全国の劇場案内もあり)

高校時代チアリーダーで、アメフト部のスターとつきあい人気者だったローズ(エイミー・アダムス)は、今は7歳の男の子を持つシングル・マザーで、ハウス・クリーニングをやって生計を支えていた。一方、妹のノラ(エミリー・ブラント)は何をやっても長続きせず、父親のジョー(アラン・アーキン)と一緒に暮らしていた。ある日、お金に困っているローズに、不倫相手の妻子持ちの刑事マック(スティーヴ・ザーン)は事件現場のクリーニングが儲かるからやってはどうかと勧める。2人はサンシャイン・クリーニングという会社名で早速仕事を始めるが……。

72点

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 悪くはないし、後味も悪くはないが、非常にこぢんまりとしたお話。あえて映画にする必要があったのか。しかもシネスコなんて言ういかにも映画っぽいスクリー・サイズを使ってまで。ほとんど何も解決しないし、ほとんど何もかわらない。敢えて言えば、三歩進んで二歩半下がるくらいの変化か。たぶんTVドラマだったら、何の不満もないし、上質なドラマのような感じがしたに違いないと思う。

 監督としては、普通の人の、ありふれた日常を描いたと言うことなんだろうが、意味のない登場人物も多すぎ。仮に連続ドラマならそれらの人たちが後で生きてくるから良いと思うけれど……まさかTVドラマのパイロット版ってことはないよなあ。ビスタかスタンダードでも良かったのでは。しかもこんな有名俳優を使わず、もっと低予算にすれば。毎回色んな事件現場の掃除を担当し、そこから色々なドラマが見えてくるという話なら良いと思う。そして何回も連続する内、亡くなった母親のことや、姉妹の関係、別居している父との関係などが次第にわかってくると言うのならOK。90分ほどの映画に詰め込みすぎ。

 姉のローズを演じたのはエイミー・アダムス。暗くなりがちな役を、持ち前のキュートで明るい魅力によって悲惨な感じにならないよう抑えている。彼女が美人だからこそ高校時代人気者だったというのも納得できるし、幸せを手にしていないというギャップが生きてくる。見ていないが「ダウト〜あるカトリック学校で」(Doubt・2008・米)ではアカデミー賞助演女優賞にノミネートされたという。ボク的には「魔法にかけられて」(Enchanted・2007・米)が抜群に良かった。ホントにお姫様に見えたし。他に「チャーリー・ウィルソンズ・ウォー」(Charlie Wilson's War・2007・米)などにも出ている。最新作は「ナイト・ミュージアム2」らしい。さらに新作が3本も待機中。

 妹のノラはエミリー・ブラント。役柄だがとてもダメな感じが良く出ている。「プラダを着た悪魔」(The Devil Wears Prada・2006・米)で、主人公のアン・ハサウェイの先輩役を演じていた人。「チャーリー・ウィルソンズ・ウォー」ではエイミー・アダムスと共演している。

 2人の姉妹の商才なし父親ジョーはアラン・アーキン。1934年生まれというから、すでに75歳。1960年代から活躍し、だいたいコミカルな役が多いが、本人はほとんど笑わない。座礁したロシアの潜水艦の乗組員を侵略と勘違いするという「アメリカ上陸作戦」(The Russians Are Coming the Russians Are Coming・1966・米)や、オートリー・ヘップバーンの傑作の1本「暗くなるまで待って」(Wait Until Dark・1967・米)で存在感を一気に印象づけた。独特の戦争映画「キャッチ22」(Catch-22・1970・米)、ジェームズ・カーンと共演したコミカル・アクションの「フリービーとビーン/大作戦」(Freebie and the Bean・1974・米)、ピーター・フォークと共演したドタバタ・アクションの「あきれたあきれた大作戦」(The In-Laws・1979・米)、本作の前に同じスタッフで「リトル・ミス・サンシャイン」(Little Miss Sunshine・2006・米)に出ている。

 ローズの幼いカワイイ息子を演じたのは、ジェイソン・スペヴァック。見ていないがドリュー・バリモアが出た「二番目のキス」(Fever Pitch・2005・米/独)に出ていたらしい。主にTVで活躍しているようだ。

 ローズの不倫相手の刑事マックを演じたのは、コミカルな役が多いスティーヴ・ザーン。ポール・ウォーカーのアホな兄役を演じた「ロード・キラー」(Joy Ride・2001・米)が、作品はともかく印象に残った。バカさ加減がハンパなかった。最近では「サハラ 死の砂漠を脱出せよ」(Sahara・2005・米/西)でマシュー・マコノヒーと弥次喜多のような名コンビで笑わせてくれた。本作はそういう意味では中途半端だったかも。

 クリーニング用品の気の良い店員ウインストンを演じたのは、クリフトン・コリンズJr.。片腕のない役だったが、デジタル技術のおかげか、本当に腕がないように見えた。絵が汚かったコリン・ファレルの軍隊映画「タイガーランド」(Tigerland・2000・米)や、ロバート・レッドフォードの感動刑務所映画「ラスト・キャッスル」(The Last Castle・2001・米)、レニー・ハーリンの密室殺人ホラー「マインドハンター」(Mindhunters・2004・米/蘭/英/フィンランド)、そして話題になった「バベル」(Babel・2006・仏/米/メキシコ)にチラリと、最近では面白かったSFアクションの「スター・トレック」(Star Trek・2009・米)にも出ていた。

 物語上は居なくても何ら変わらなかった半端な存在のリンを演じていたのは、メアリー・リン・ライスカブ。人気TVドラマ「24 Twenty Four」のクロエ・オブライエンを演じている人。もともとはコメディエンヌだそうで、「メラニーは行く!」(Sweet Home Alabama・2002・米)やその続編の「キューティ・ブロンド/ハッピィMAX」(Legally Blonde 2 Red, White & Blond・2003・米)でその一端がわかる。「リトル・ミス・サンシャイン」にも出ているらしい。それでか。ハリソン・フォードの「ファイヤーウォール」(Firewall・2006・米/豪)にはアラン・アーキンと一緒に出演していた。

 脚本はミーガン・ホリーという女性。2002年に監督と編集を、2004年に編集を担当した作品があるが、日本公開はされていない。脚本は初めての模様。

 監督も女性のクリスティン・ジェフズ。ニュージーランド出身で、2001年から長編劇場映画を監督しているようだが、日本公開されたのは「シルヴィア」(Sylvia・2003・英)だけの模様。

 うむむ、2人共あまり経験はなしということか。

 一部のプロデューサーが「リトル・ミス・サンシャイン」に関わっていたことから、スタッフ再集結という広告になったらしい。

 それにしても、事件現場のクリーニングをやるには、バイオハザードの知識や資格が必要とは興味深かった。誰でも気軽にできるわけじゃないんだ。アメリカって大ざっぱなようで、その辺はしっかりとしている。日本はどうなんだろう。かえって大ざっぱだったりして?!

 冒頭の事件で使われたのは、20番口径の水平二連ショットガン。ただショットガンの中では水平二連は高いと聞いたが、なぜそれを選んだのか。

 公開初日の初回、銀座の劇場は初回のみ全席自由なので、55分前くらいに着いたら誰も居なかった。45分前くらいに7〜8人になり、ほとんど中高年で、男女は半々。35分前に開場になった時点で12〜13人。3回共通の窓口で2日先まで予約できるのでなんとも言えない。

 劇場はスクリーがシネスコで開いており、10分前くらいにやや暗くなって案内の上映。スクリーンが暗いので見にくい。関係者が5〜6人ロビーにいてのぞきに来ていたが、最終的に224席に5.5割くらいの入り。男女比は半々くらいで、20代までの若い人は1/3くらい。あとは中高年。鷹の爪系のアニメの案内はナンセンスで、どうにも……。

 半暗になってCM・予告。半暗でも見にくい。気になったのは……BBC ドキュメンタリーk 「宇宙へ。」は8/21と22がワン・コイン(500円)で見られるらしい。

 ハリソン・フォードがFBI捜査官を演じる「正義の行方/I.C.E.特別捜査官」はグリーン・カード取得に絡む事件らしい。公式ページはまだないようだ。使っていたのはP229か。それにしてもお爺ちゃんになったなあ。

 韓国映画の上下マスク「グッド・バッド・ウィアード」はまさに西部劇。こういう要素は韓国にはないと思うのだが、あえてそれを作るところがスゴイ。イ・ビョンホンが「レッド・サン」(Soleil Rouge・1971・仏/伊/西)のアラン・ドロンのように見えた。

 シャーリー・マクレーンの上下マスク「ココ・シャネル」は、ファッション・デザイナー、ココ・シャネルの半生を描いたものしい。ちょっと面白そうだが、やっぱり女性が多いんだろうなあ。

 上下マスクの「セントアンナの奇跡」は新予告に。いきなり駅で切符を買いに来た男を係員がルガーらしい銃で撃ち殺すところから始まる。一体何があったんだ。気になるぞ。

 ドルビー・デジタルの水のデモがあってから本編の上映。


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