Knowing


2009年7月12日(日)「ノウイング」

KNOWING・2009・米/英・2時間02分(IMDbでは121分)

日本語字幕:手書き書体下、林完治/シネスコ・サイズ(デジタル、Red One Camera)/ドルビーデジタル、dts

(米PG-13指定)

公式サイト
http://knowing.jp/
(入ると画面極大化。音に注意、全国の劇場案内もあるが面倒)

1959年、マサチューセッツのある小学校で創立記念として、タイム・カプセルを埋める式典が行われた。生徒の描いた50年後の絵を入れることになっていたが、1人の少女ルシンダ(ララ・ロビンソン)だけが、何かに取り憑かれたように画用紙の両面にびっしりと数字を書き連ねていた。50年後の2009年、シングル・ファーザーのマサチューセッツ工科大学ケストラー教授(ニコラス・ケイジ)の1人息子ケイレブ(チャンドラー・カンタベリー)が通う小学校で、創立記念のタイム・カプセル掘り起こし式典が行われた。ケレイブはタイム・カプセルの中から、気になったルシンダの数字のメモを持ち帰ってしまう。それを見つけたケストラーは学校へもどすように注意するが、ある数字が気になり、インターネットで調べてみると、テロ攻撃のあった9・11の日付と犠牲者数が記されていた。さらに調べると、数字群は過去50年間の大災害や事故の死者数と日付を記したものだった。

74点

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 うーむ、バッド・エンディングとまでは行かないが、決して楽しい終わり方ではないところで、評価は割れそうだ。たぶんアメリカでは受けないのではないだろうか。そう思ってIMDbを見ると6.6点という平均的評価。

 前半はかなり怖い謎解きミステリーになっていて、この部分は、なぜ未来のことがわかったのかという謎解きはないものの、面白くてぐいぐいと引き込まれていく。そして後半というか、ラスト1/3か1/4くらいはパニックものの様相を呈し、驚異の破壊スペクタクルを見せてくれるが、パニック映画はそのディザスターからいかにして逃れ生還するかが主眼となるわけで、そうでないとなるとただ圧倒的な力による殺戮ショーを見せられることになってしまう。そこのみが残念だった。もちろん、安直な終わり方にしなかったのだろう。観客に大きな衝撃を与えるには、こうするしかなかったのだろう。

 前半のミスリー・パート部分は実にうまい。数字の謎が次第に明らかになっていく過程、謎の怪しい人物、息子だけに聞こえるささやきのような声、予言をした不気味な少女……ホラー映画のような怖さがある。そして旅客機墜落の衝撃的シーン。本当にリアルでゾッとする。予告編でさわりの部分だけ何回も見たが、本編でじっくり見ると震えるような怖さだ。

 後半のスペクタクルはリアルで、圧倒的な迫力だが、予想どおりの結末で驚きがない。絵自体は驚きなのだが、描かれていることが……。

 主演はニコラス・ケイジ。なかなかこの役にははまっている。このところ「バンコック・デンジャラス」(Bangkok Dangerous・2008・米)や「ゴーストライダー」(Ghost Rider・2007・米/豪)などパッとしない作品が続いている。ボク的にはSFアクションの「ネクスト」(Next・2007・米)は良かったけど。大ベテランなのに何にでもチャレンジする人だ。家で使っていたパソコンはMac。

 チャーミングな息子を演じたのは、チャンドラー・カンタベリー。ブラッド・ピットの「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」(The Curious Case of Benjamin Button・2008・米)で、8歳の時を演じていたらしい。

 ある種の能力を持った母を信じることができず、それを悔いるが結局ケストラーも信じることができず悲劇的な最後を迎えるダイアナを演じたのはローズ・バーン。オーストラリア出身で、「スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃」(Star Wars: Episode II - Attack of the Clones・2002・米)にドルメ役で出ていた。最近では真田広之が出たSFスリラーの「サンシャイン2057」(Sunshine・2007・英/米)や、ゾンビ映画「28週後...」(28 Week Later・2007・英/西)で事件の発端となるアホガキを演じていた。

 その娘アビーを演じたのはララ・ロビンソン。かわいい少女で、ルシンダ役と二役。母役のローズ・バーンにかなり似ているところがスゴイ。まだ10歳というが、子役のほかにピアノとクラリネットを演奏し、ジャズとバレーとタップのレッスンも受けているらしい。早い内につぶれてしまわなければいいが。CM・TVなどで活躍中。

 ストーリーと脚本はダイン・ダグラス・ピアソン。ブルース・ウィリスのアクション「マーキュリー・ライジング」(Murcury Rising・1998・米)のストーリーも手がけているらしい。なるほど。ただ結末がねえ……プロデューサーでもあるからなあ。プロダクションの名がバッド・エンディングとか言うようだが、タイトルに偽りなしか。

 脚本はほかに2人がクレジットされている。ジュリエット・スノードンは残念なホラー「ブギーマン」(Boogeyman・2005・米ほか)を手がけた人で、あのガッスリ感を考えると当然という気もする。もう1人のスタイルズ・ホワイトも「ブギーマン」を手がけているが、こちらは、以前はスタン・ウィンストン社で特殊効果を手がけていたらしい。

 監督はエジプト出身のアレックス・プロヤス。ちょっと太めの強面の人だ。面白かったダーク・ファンタジー「クロウ/飛翔伝説」(The Crow・1994・米)で、主演のブランドン・リーが撮影中に事故で死亡し話題となった。その後やはりダーク・ファンタジーの「ダークシティ」(Dark City・1998・米)も独特の世界観を作り上げ楽しませてくれた。最近作はウィル・スミスのハードSF「アイ、ロボット」(I, Robot・2004・米/独)。SFアクション系が多い人で、実際うまい。

 黒バックに数字が現れ、回転しながらアルファベットに変わっていくタイトルは、ほかにもあるが良くできていた。クレジットは見あたらなかったが……。

 銃は、ケストラー教授が家族を守るために手にするのが、S&Wのたぶん.357マグナムM27のステンレス版2.5インチ。地下鉄で警察官が使っていたのはベレッタM92のステンレス。NYPDはM92が制式拳銃なので従ったのだろう。

 公開3日目の初回、前日に座席を確保しておいて、20分前くらいに着いたら新宿の劇場は5分ほどで開場。初回のせいかまだエアコンが利いておらず場内が熱かった。最終的に全席指定の301席に4割ほどの入り。男女比はほぼ半々くらいで、若い人から中高年まで、わりと幅広くいる感じ。ただ若い人は1/4くらいか。

 ほぼ暗くなって始まった予告編は……「ナイト・ミュージアム2」は新しい予告。面白いのかどうかよくわからない。見た感じは「1」とほとんど変わらない感じ。


 久々の西部劇「3時10分、決断の時」はなかなかタイトルが出なかった。早く出してくれないと覚えられない。

 ヴィン・ディーゼルとポール・ウォーカー、ミシェル・ロドリゲス、ジョーダナ・ブリュースターという「1」のオリジナル・メンバーがそろった最新作「ワールド・スピードMAX」が公開されるらしい。よく出てくれたものだ。面白いかも。とにかくカッコいい。

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