Harry Potter and the Half-Blood Prince


2009年7月18日(土)「ハリー・ポッターと謎のプリンス」

HARRY POTTER AND THE HALF-BLOOD PRINCE・2009・英/米・2時間34分(IMDbでは153分)

日本語字幕:手書き書体下、岸田恵子/字幕監修:松岡佑子/シネスコ・サイズ(マスク、by Panavision、Super 35)/ドルビーデジタル、dts、SDDS

(米PG-13指定)(日本語吹替版、IMAX 3D版もあり)

公式サイト
http://harrypotter.warnerbros.co.jp/
(音に注意、全国の劇場案内もあるが面倒)

マグル(人間)の世界にいたハリー・ポッター(ダニエル・ラドクリフ)の元へ、ホグワーツ魔法学校の校長ダンブルドア(マイケル・ガンボン)が現れ、一緒に来てくれという。2人が行った場所はマグルの世界の古い町に隠れ住んでいた元教師のホラス・スラグホーン(ジム・ブロードベント)の家。かつてヴォルデモートがトム・リドルといっていた頃、教えており、しかも親しかったことからヴォルデモートを倒すヒントを持っているかもしれなかったからだ。ダンブルドアは彼を復職させ、ハリーに取り入って探りを入れろという。ダンブルドアの読みどおり、実力を持つ変わった生徒に興味があるホラスは復職を決心する。同じ頃、ダンブルドアが最も信頼するホグワーツの教師セブルス・スネイプ(アラン・リックマン)は、ハリーの同級生ドラコ・マルフォイ(トム・フェルトン)の母や、シリウス・ブラックの従姉妹ベラトリックス(ヘレナ・ボナム=カーター)らと、ドラコをヴォルデモートの手先として見守り、失敗したら代わりにやることを誓っていた。

72点

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 うーむ、多少ダークな感じの仕上がりだが、やっぱり従来のシリーズを踏襲した雰囲気。完成度は高いが、どこか感動が希薄で、サラーっと見てしまう。そして長い。やっぱりクライマックスで眠くなり、ちょっと気を失った。ボクはこのシリーズ、毎回クライマックスで気を失っている。SFXはすごいし、見所は満載、特に悪いところはないのだが。

 そして、ラストへと向かう最後の何作かの1作ということで、橋渡し的な作品になっているのは残念。本のタイトルに合わせたのだろうが、ハーフ・ブラッドが謎のプリンスで良いのか、それも気になった。

 メインは2つで、そろそろ年齢的に恋を語る年頃になったことから、そんな恋愛コメディ的な部分と、ヴォルデモートとの戦いが組み合わされている。これが良かったのかは賛美両論あるだろう。原作もこうなのだろうか。

 原作を読んでいて、どう映像化されるか見たい人や、IMAX 3D版的なアトラクションとして楽しむには最高ではないだろうか。IMDbでは8.2点という高得点。イギリスが舞台なので、ベッカムのようにイギリス英語というのもアメリカでは受ける要因なのかもしれない。ラストじゃ、ぐしゅぐしゅやっている人もいたから、感動は人によって様々ということ。

 出演者はほとんど前作「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」(Harry Potter amd ・・)と同じ。生徒役の主要メンバーはほとんど全員が大人になって、役柄が似合わなくなってきた感じはある。ポッター役のダニエル・ラドクリフはすでに20歳。大学生だもんなあ。まあ日本の「ROOKIES -卒業-」(2009・日)も高校生を演じているのは、22〜29歳くらいだから、まだマシか。そのせいか、終わりには「もう学校には戻らない」なんてセリフも。

 フシギちゃんのプラチナ・ブロンドの美少女ルーナ・ラブグッド役のイバンナ・リンチはまだ本当に17歳で等身大。あどけなさが微妙に残っている。舞台の「ライオンキング」のような被り物には笑わされた。

 ロンの母親、ウィーズリー夫人を演じていたのも、ずっとその役を演じているジュリー・ウォルターズ。あの陽気なミュージカル「マンマ・ミーア!」(Mamma Mia!・2008・英/米/独)で3人の幼なじみの1人、料理本ライターを演じていた人。感じが全く違う。

 まあダンブルドア校長にしても、マイケル・ガンボンは本作では好々爺といった印象だが、結構、悪役を演じると怖い。ダニエル・クレイグのギャング映画「レイヤー・ケーキ」(Layer Cake・2004・英)や、久々の西部劇「ワイルド・レンジ 最後の銃撃」(Open Range・2003・米)でもかなり怖く憎たらしかった。

 新しい先生ホラス・スラグホーンを演じていたのはジム・ブロードベント。60歳のベテランで、もっと老けてる気はするが、素晴らしいお爺ちゃん俳優。古くはテリー・ギリアムの「未来世紀ブラジル」(Brazil・1985・英)などに出ており、最近では「ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女」(The Chronicles of Narnia: The Lion, the Witch and the Wardrobe・2005・米/英)で子供たちが預けられる田舎の家の教授や、アクシヨン・コメディの「ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!」(Hot Fuzz・2007・英/仏)の警官、「インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国」(Indiane Jones and the Kingdom of the Crystal Skull・2008・米)にも出ていた。

 バカにされる二枚目は、フレディ・ストローマ。イギリスのTVには出ていたようだが、大作映画の出演は初めての模様。注目かもしれない。

 原作はもちろんJ・K・ローリング。それを脚本にしたのはスティーヴン・クローヴス。第1作からずっと脚本を担当している。長い原作を2時間半にまとめるのは大変な作業だと思う。賛否も両論だろう。

 監督は前作から担当しているデヴィッド・イェーツ。1963年生まれの若いイギリス人監督だ。それまでは主にTVを手がけていたらしい。クライマックスではぐしゅぐしゅやっていた人もいたから、なかなかうまいのではないだろうか。

 サラウンドは当然ながら効果的に使われており、とてもリアルで音質も素晴らしい。それより印象に残ったのは墨が水の中に落ちてきてそれが文字になるというタイトル。タイトル・デザイナーのクレジットは見あたらなかったが、グラフィック・デザイナーかアート・ディレクターか。劇中では記憶の再現で、墨が水の中に落ちてきてそれが人や風景になっていった。

 公開4日目の2回目、新宿の劇場は全席指定で、前日に座席を確保しておいて、20分前くらいに着いたら、15分前くらいに開場。下は小学生低学年くらいから、上は白髪の高齢者まで幅広い客層。男女比もほぼ半々。最終的には607席に6割強くらいの入り。予告が始まってからも続々と入ってきた。全席指定なので安心しているのか。

 ほぼ暗くなって始まった予告できになったのは……オドレイ・トトゥが主演する「ココ・アヴァン・シャネル」が公開されるらしい。シャーリー・マクレーンの「ココ・シャネル」(伊/仏/米 ・2008)もある。もとはスタンダード・サイズのTVドラマらしいが、劇場公開。こちらは2009年のフランス映画でシネスコ。IMDbでの評価はシャーリー・マクレーン7.3点のオドレイ・トトゥ版6.8点。興味ある対決となりそうだ。時代を反映して、スパスパとたばこを吸っている。

 ドリュー・バリモアが製作する「そんな彼なら捨てちゃえば」は、なかなかタイトルが出ずにイライラしたが、ベン・アフレック、スカーレット・ヨハンソン、ジェニファー・コネリー、ジェニファー・アニストンといった豪華な顔ぶれ。でも、男が見ても楽しくなさそうな感じ。

 スクリーンが左右に広がって、暗くなり本編へ。


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