G.I. Joe: The Rise of Cobra


2009年8月12日(水)「G.I.ジョー」

G.I. JOE: THE RISE OF COBRA・2009・米・1時間58分

日本語字幕:丸ゴシック体下、松崎広幸/シネスコ・サイズ(レンズ、in Panavision、Red One Camera)/ドルビーデジタル(新マーク)、dts、SDDS

(米PG-13指定)(日本語吹替版もあり)

公式サイト
http://www.gi-j.jp/
(音に注意。全国の劇場案内もあリ)

そう遠くない未来。NATOに所属する特殊部隊のデューク(チャニング・テイタム)とリップコード(マーロン・ウェイアンズ)はマーブ産業が開発した鉄を食い尽くすナノマイトを搭載した弾頭の警護を命令されるが、黒髪の美女バロネス(シエナ・ミラー)率いるマスクの一団襲われ奪われてしまう。そして危ないところを超人的な一団に救われる。彼らは特殊スーツを身につけた国際機密部隊G.I.ジョーだった。デュークとリップコードはG.I.ジョーに加わることを決心し、ナノマイトの行方を追う。

71点

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 うーむ、一言でいうとC.G.ショー。あり得ないような絵の連続で、すごいけれど、そこに人が描かれておらず、ドラマも説得力がなくうわべだけで、感情が全く伝わってこない。そのためゲームの戦闘画面を見ているような感じ。しかも他人のゲームを見ているようで、ドキドキもハラハラもしない。生身の人間が演じているというより、描いた絵のようだった。せっかくの超絶アクションも、おかげで凄く見えない。残念。

 ベースとなっているのが、ハスブローのフィギュア、G.I.ジョーから作られた子供向けのアニメ。大予算の映画で実写化しても、そのレベルを出なかったということか。

 G.I.ジョーの司令官ホークを演じたのは、あまり活躍しないが、デニス・ウエイド。ちょっとヘビーな西部劇の「ロング・ライダーズ」(The Long Riders・1980・米)のギャング役あたりから活躍を続けている。兄は悪役が多いランディ・クエイド。SFアクション「第五惑星」(Enemy Mine・1985・米)やSF冒険ファンタジーの「インナースペース」(Inner Space・1987・米)などの話題作に主演し注目を浴びた。ボスニア紛争の悲劇を描いた「セイビア」(Savior・1998・米)では、いままでにない暗くリアルな話でインパクトがあったし、時間逆転ドラマ「バンテージ・ポイント」(Vantage Point・2008・米)では復帰したベテランのシークレット・サービスを演じるなど、次第に年齢と共にえらい人を演じるようになってきた感じ。本作は出ているだけというところかも。

 NATOから転職してくる兵士デュークはチャニング・テイタム。ほとんど日本公開作品はない模様。サミュエル・・ジャクソンが主演した「コーチ・カーター」(Coach Carter・2005・米/独)に出ていたらしいが、マイクロ・シアターでの公開だったので見ていない。日本ではビデオ公開となった「ストップ・ロス/戦火の逃亡者」(Stop-Loss・2008・米)では若い兵士を演じていた。兵士というイメージは確かにピッタリ。

 相棒のリップコード役はマーロン・ウェイアンズ。どうしてもおバカ映画の「最終絶叫計画」(Scary Movie・2000・米)シリーズのイメージが強すぎて、申し訳ないがあまりシリアスに見えない。2人がNATOで使っていたのはM4A1かと思ったら、HK416らしい。

 マスクでマッチョな黒ニンジャのスネークアイズを演じたのは、レイ・パーク。「スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス」(Star Wars: Epsode 1 - The Phantom Menace・1999・)のダース・モールや「X-メン」(X-Men・2000・加/米)のトードを演じた人。しゃべらない設定で、顔も写らないから、誰だか全くわからない。使っていたのは日本刀とFN5-7の初期型。

 ブレーカーを演じたのはフランス人のサイード・タグマウイ。「フューチャー・ゲーム」(Gamer・2001・仏)で主演を演じていた人。「バンテージ・ポイント」では犯人側でデニス・ウエイドと共演している。

 敵のコブラの美人司令官バロネスはシエナ・ミラー。ダニエル・クレイグのイギリスのギャング映画「レイヤー・ケーキ」(Layer Cake・2004・英)に出ていた人。最近ではロバート・デ・ニーロの出たファンタジー「スターダスト」(Stardust・2007・英/米)片思いされる美貌の美女を演じていた。もともとは本作でも言っているように金髪。でも黒神も凄く似合っていた。使っていたのはH&KのMP7A1

 白ニンジャのストームシャドーを演じたのはイ・ビョンホン。さすがにマスクにはスリットがあって眼が見えるようになっていたが、あまりイ・ビョンホンとはわからない。つい最近キムタクの出た「アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン」(I Come with the Rain・2009・仏)に出ていたばかり。ヒット作「JSA」(JSA・2000・韓)や、ヤクザを演じた「甘い人生」(A Bittersweet Life・2005・韓)が良かった。本作ではあまり光っていない。

 狂気の科学者コブラコマンダー(セリフではドクター)を不気味に演じたのは、ジョセフ・ゴードン=レヴィット。気の弱そうな感じが独特で、「セント・アンナの奇跡」(Miracle at St. Anna・2008・米/伊)にも出ていたらしい。ヘレン・ミレンが末期癌の暗殺者を演じた「サイレンサー」(Shadowboxer・2005・米)では医師役を演じていた。「ストップ・ロス/戦火の逃亡者」でチャニング・テイタムと共演している。

 ザルタンを演じたのはアーノルド・ヴォスルー。スティーヴン・ソマーズ監督の「ハムナプトラ/失われた砂漠の都」(The Mummy・1999・米)シリーズでイムホテップを演じた人。ちょっとしか出ていないが、味が濃いので印象に残る。

 これまたちょっとしか出てこないが、アメリカ大統領を演じたのはジョナサン・プライス。テリー・ギリアム監督の「未来世紀ブラジル」(Brazil・1985・英)が強烈だった。「007/トゥモロー・ネバー・ダイ」(Tomorrow Never Dies・1997・英/米)も良かった。最近ではアダム・サンドラーのコメディ「ベッドタイム・ストーリー」(Bedtime Stories・2008・米)に父親役でチラリと出ていた。

 原作は監督のスティーヴン・ソマーズ、「300〈スリーハンドレッド〉」(300・2006・米)のマイケル・B・ゴードン、「コラテラル」(Collateral・2004・米)や「オーストラリア」(Australia・2008・豪/米)のスチュアート・ビーティ。

 脚本はスチュアート・ビーティと、キアヌー・リーヴスのスリラー「ザ・ウォッチャー」(The Watcher・2000・米)やマーク・ウォールバーグのアクション「フォー・ブラザーズ/狼たちの誓い」(Four Brothers・2005・米)を手がけたデヴィッド・エリオット。監督も手がけた「カタコンベ」(Catacombs・2007・米)はどうかと思うけど。そして「フォー・ブラザーズ/狼たちの誓い」のポール・ラヴェット。どうして、このメンバーでこんな内容になってしまったんだろう。

 監督はスティーヴン・ソマーズ。傑作B級モンスター・アクションの「ザ・グリード」(Deep Rising・1998・米)、「ハムナプトラ/失われた砂漠の都」シリーズ、「ヴァン・ヘルシング」(Van Helsing・2004・米/チェコ)と、面白い作品を次々と撮っている人。なぜ本作だけこんなになってしまったのだろう。あまりノっていなかったのか。

 ほかにG.I.ジョーたちはFN2000、ミニガンも使う。コブラはG36CやM2も使用。ただアパッチ・ヘリはどうにも3D-CGぽかった。

 公開6日目の初回、10分前くらいに着いたらペア・シート以外全席自由の新宿の劇場はすでに6割くらいの入り。意外なことに6対4くらいで女性が多く、若い人から中高年まで、意外と年齢層は幅広かった。始まる前に場内をビデオ撮影しているオヤジがいたが、あれは何をしていたのだろう。

 それからあまり増えずに暗くなってカーテンが上がり、CM・予告。ペア・シートには3組ほどが座った。

 気になった予告編は、いつもながら訳のわからないQPのCMのあと、人気コミックの映画化の「湾岸ミッドナイト」。印象としてはイケメンだらけのカー・バトルという感じ。はたして、どうなんだろう。夜のシーンが多いからか、ビデオっぽい画だったが画質は良かった。

 「大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説」は、ティーザーは大人向きでカッコ良かったが、新予告で見たら完全な子供向き。そりゃ、そうだよなあ。ちと残念。

 「30デイズ・ナイト」と「ドゥームズデイ」はともに予告編に変化はない模様。そこまで力を入れていないということか。それもまた残念。

 上下マスクの「2012」は、マヤの暦によると世界は2012年に終末を迎えるという、その終末を描くパニック・ムービーというかディザスター・ムービー。監督はローランド・エメリッヒ。とにかく絵と音はスゴイ。

 「TAJOMARU」は新予告に。タイトルがローマ字なのが気になる。しかもB'zの曲が時代劇には合わない気もするし……。

 驚いたのは、スクリーンが左右に広がってシネスコになったところで、M・ナイト・シャマランと出たこと。えっ、また映画作ったの? どうしてヒットしないのに、評価も低いのに新作を作り続けられるの? タイトルがよくわからなかったが(早く出せ)、どうも「ザ・ラスト・エアベンダー」というらしい。少年と、カンフーと、土俵と、ロウソクと、ヘンな船。何なんだろう。「アヴァター」というアニメの実写化なんだとか。しかも2010年夏公開と出た。まだ先じゃん。うむむ。

 非常口と禁煙のランプだけが煌々と灯ったまま本編へ。


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