Night at Museum: Battle of the Smithonian


2009年8月22日(土)「ナイトミュージアム2」

NIGHT AT THE MUSEUM: BATTLE OF THE SMITHONIAN・2009・米/加・1時間45分

日本語字幕:手書き書体下、戸田奈津子/シネスコ・サイズ(マスク、with Panavision、Super 35、一部デジタル)/ドルビーデジタル、dts

(米PG指定)(日本語吹替版、IMAX版もあり)

公式サイト
http://movies.foxjapan.com/nightmuseum2/
(音に注意、全国の劇場案内もあリ)

夜警だったラリー・デリー(ベン・スティーラー)は発明品が大ヒットして、今やデリー発明社の社長。久しぶりにニューヨーク自然史博物館を訪れると、リニューアルのため閉館中で、一部の展示品はヴァーチャル映像で置き換えられるため、永久保存品としてスミソニアン博物館の収蔵庫に収容されることになったという。しばらくしてスミソニアンに移されたミニチュア・カウボーイのジェデダイア(オーウェン・ウィルソン)から電話があり、サルの剥製のデクスターが石版を持ってきてしまったため、スミソニアンの展示物が動き出して大変なことになっているという。ラリーはニューヨークにいる息子のニッキー(ジェイク・チェリー)と携帯電話で連絡を取りながら、スミソニアンの収蔵庫に潜入する。

73点

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 少なくとも字幕版はデート・ムービーにピッタリ。何も考えず、気楽にポップコーンやドリンクを片手に楽しめる映画。

 確かに内容はないが、見終わって暗い気持ちになったり、テンションが落ちてしまったり、会話が弾まなくなるなんていうことはない。あのシーンが面白かったねとか、おバカな映画だったねと、このあと話が盛り上がるはず。バカすぎないところが大事。ほど良いくだらなさと、大冒険と、どんちゃん騒ぎに、中年の大人の恋。しかも、ちゃんと笑わせてくれる。失笑じゃなくて、ホントにおかしい。もちろんくだらないところも一杯あるけれど、爽やかでハッピー。

 前作で評判の良かったキャラクターは全て再登場している。その上で舞台を世界最大の博物館スミソニアンへ移して、多くの新しいキャラクターを追加している。映画の中でも言っているが、スミソニアン博物館は1つではなく、ワシントンDCにあるものは国会議事堂へ続くナショナル・モールの両側に配置され、9つの博物館と美術館から構成されている。驚いたことに、イギリス人科学者ジャームズ・スミソンの遺産を基金に作られたものだという。しかも寄付や寄贈などによって賄われているため、入場料は無料なんだとか。今回は本当にスミソニアンで撮影しているという。

 ボクは1985年頃、取材で普通の人が入れない銃器の収蔵庫に入れてもらったことがあるが、展示しきれない大量の銃器(ほとんどが寄贈)が引き出し式のロッカーに整然と収納されていた。これからコンピューターに打ち込んで管理するということだった。さすがに、もうすべてデータ化されたことだろう。

 前作から引き続き出演しているのは、主演のベン・スティーラー、息子役のジェク・チェリー(MacBookProを使用)、ルーズベルト大統領の人形役のロビン・ウィリアムズ、その恋人となるサカジャウィア役のミズオ・ペック、ミニチュア・カウボーイ役のオーウェン・ウィルソン、ローマ皇帝オクタヴィウス(オクタウィアヌス=アウグストゥス)役のスティーヴ・クーガン、古代エジプトの王アクメンラー役のラミ・マレック、NY自然史博物館館長役のリッキー・ジャービスら。

 新しく登場するのは、アメリカ初の大西洋単独横断女性飛行士アメリア・イアハートを演じるエイミー・アダムス。「魔法にかけられて」(Enchanted・2007・米)でブレイクした美人女優で、ちょっとコミカルなシリアス・ドラマ「サンシャイン・クリーニング」(Sunshine Cleaning・2008・米)や「ダウト〜あるカトリック学校で〜」(Doubt・2008・米)にも出ていたが、ああいう暗い役よりも明るい笑顔の役の方がより強く輝く人。本作もとても魅力的、チャーミング。

 そして今回の悪役、古代エジプトの王カームンラーを憎たらしくコミカルに演じたのは、ちょっと「バック・トゥ・ザ・フューチャー」(Back to the Future・1985・米)の博士役のクリストファー・ロイドに似た雰囲気のハンク・アザリア。ハリウッド版「GODZILLAゴジラ」(Godzilla・1998・米)でビデオ・カメラマンを演じていた人だ。

 いろんな展示物、彫刻、人形、絵画まで動き出すのが面白いが、中でも傑作だったのは彫刻の3人の天使たち。彼らはラリーとアメリアの上で恋の歌(タイタニックのテーマだったり)を歌うが、声をあてていたのはアメリカのポップ・グループ、ジョナス・ブラザーズ。ケヴィン、ジョー、ニックなのだ。彼らがほのぼのと笑わせてくれる。

 また、デリー発明社のTVの生CMのシーンでは、本人役で元ヘビー級ボクサーのジョージ・フォアマンが出ているのにもビックリ。セサミストリートのゴミ箱に住んでいるオスカー、ダースベイダーまで登場する。

 航空宇宙博物館の大混乱シーンで管制官としてちょっとだけ出ていたのは、「アポロ13」(Appolo 13・1995・米)にも出ていたちょっとホラー顔のクリント・ハワード。傑作コメディ「オースティン・パワーズ」(Austin Powers: International Man of Mystery・1997・米)にも出ていた。怖おもしろい。

 警備人同士の対決ではジョナー・ヒルと警棒を兼ねるフラッシュライトのブランドや使い方で争ってみせる。ラリーはマグライトが好きらしい。

 もちろんアル・カポネ率いるギャグたちが持っている銃はトンプソン・サブマシンガン。ドラム・マガジンを付けている。零戦が飛んでいくシーンでは、下でサルがグリーンのトーチを両手に持って「ザ・ロック」(The Rock・1996・米)のニコラス・ケイジそっくりのポーズ。そしてモトローラが携帯電話を開発した秘密も明かされる。

 脚本は前作も手がけたロバート・ベン・ガラント。アクシヨン・コメディの「キャプテン・ウルフ」(The Pacifier・2005・加/米)はそこそこ面白かったが、「TAXI NY」(Taxi・2004・米/仏)や監督もやった「燃えよ!ピンポン」(Balls of Fury・2007・米)なんかは酷かったなあ。もう1人のトーマス・レノンはロバートと協同で脚本をやっていたようで、本作は奇跡に近いものなのかも。

 監督はショーン・レヴィ。アメリカでは評価されているようだが、つまらない映画の代表のような「ジャスト・マリッジ」(Just Married・2003・米/独)や「ピンクパンサー」(The Pink Panther・2006・米/チェコ)などを監督した人。なんで本作のような作品が撮れたのか……やっぱり奇跡か、それとも主演のベン・スティーラーのおかげか、プロデューサーのクリス・コロンバスのおかげか。

 クリス・コロンバスは脚本から監督を経て最近はプロデーサーとしての仕事が多い感じ。「ホーム・アローン」(Home Alone・1990・米)などのコメディ作品が多いが、SF感動ドラマ「アンドリューNDR114」(Bicentinnial Man・1999・米/独)、ファンタジー大作「ハリー・ポッターと賢者の石」(Harry Potter and the Socerer's Stone・2001・米/英)シリーズ、人気の舞台を映画化したミュージカル「RENT/レント」(Rent・2005・米)なども手がけている。

 公開11日目の字幕版1回目、新宿の劇場は全席指定なので、朝予約しておいて10分前くらいに着いたら、すでに開場済みで案内の上映中。まもなく上映となり、115席の8割くらいが埋まった。座席数は少ないがスクリーンは大きめ。男女比は半々で、老若比も半々くらい。やぱりデート・ムービーとして使われているということか。

 気になった予告編は……「カールじいさんの空飛ぶ家」は新予告に。そうか、そういう内容だったんだ。大人向けだなあ。これは泣かされるかもしれない。松本人志の「しんぼる」は< ボハ妬にはちょっとネツツかなあ|

 上下マスクの「PUSH 光と闇の能力者」は「Xメン」かTVの「HEROES/ヒーローズ」のような話で、ダコタ・ファニングが出ている。上下マスク「ココ・アヴァン・シャネル」は長いバージョン。うーん、いまひとつの感じ。暗い。

 スクリーンが左右に広がってクリス・コロンバス監督の「パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々 盗まれた雷撃」はアメリカでも来年公開のSFファンタジー。NY、少年、エレベーター、Ωという階、驚嘆の世界という要素。すごい。


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