Ballad


2009年9月6日(日)「BALLAD 名もなき恋のうた」

2009・テレビ朝日/ROBOT/東宝/ジェイ・ドリーム/電通/ADK/レプロエンタテインメント/シンエイ動画/双葉社/小学館/白組/朝日放送/メ〜テレ・2時間12分

シネスコ・サイズ/ドルビーデジタル

(一部期間限定で字幕上映もあり)

公式サイト
http://www.ballad-movie.jp/
(全国の劇場案内もあり)

最近、湖の畔で祈る女性の夢ばかり見るようになった小学生の川上真一(かわかみしんいち、武井証)は、いじめられているクラスメイトの女の子を助けることもできず、夫婦げんかする両親からも逃げるように自分の部屋にこもってしまう毎日。ところが、ある日、町外れのお地蔵さんそばの大ケヤキの根元で巻物を発見し、それを手にしたとたん気を失ってしまう。気がつくと、そこは戦国時代の天正二年の世界。偶然、狙撃されようとしていた侍大将の井尻又兵衛(いじりまたべえ、草なぎ剛)を救うことになる。しかしその姿格好から不審者として捉えられ、春日城へ連れて行かれる。そこで未来から来たと事情をありのままに話すと、話を聞いた廉姫(れんひめ、新垣結衣)は湖の畔で祈っていたのは自分で願いが叶ったにちがいないと、又兵衛にしばらく面倒を見るように命じる。又兵衛の家に行った真一は、又兵衛と廉姫が幼なじみで、一緒に育てられ、実はお互いに惹かれ合っていることを知る。そんなとき、北関東の大大名、大倉井高虎(おおくらいたかとら、大沢たかお)から廉姫をめとりたいという話が持ち上がる。もしそうなれば春日の国は将来も安泰と一同は喜ぶが……。

72点

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 「バラッド」ってバラードで、ラブ・ソングでもあるけれど、民間伝承物語詩という意味もあるらしい。そこで、田舎町の外れにあるお地蔵さんそばの大ケヤキにまつわる昔話が語られるわけだ。それもしんちゃんという少年の目を通して。それは感動的な話であり、ウルっと来るものなんだけど、どうにも展開が都合が良いというか、説得力がないというか……子供向きのおとぎ話というまとまり方。そこを良いとするか気になるか。オヤジにはちょっと気になる。

 まあ、とにかく新垣結衣がかわいい。そしてしんちゃんこと川上真一役の武井証が子供らしい子供でかわいい。アニメのしんちゃんとはだいぶ違って、お下劣なギャグなんかは飛ばさないが。相変わらず草なぎ剛はまじめでまっすぐという感じでそつがなかったし、若侍の文四郎役の吉武怜朗が爽やかでよかった。換骨奪胎という感じか。

 CGは、ハリウッド作品などで見慣れた合戦シーンだと驚きはなく、むしろ「レッドクリフPart 1」(Red Cliff: Part I・2008・中)なんかを見た後だと、迫力でかなり見劣りがする。やっぱりジョン・ウーにはかなわないよなあと。ただ、この合戦の恐ろしさが出ないと、本当は戦場で大切な人を失う切なさや恐ろしさ、戦場へ出て行く恐怖が出てこない。子供向けならそれは描けないだろうけれど。どうしてもきれい事、作り事で終わってしまう。

 ただ、学校での諸問題に安直な解決を付けなかったのは良かったのかもしれない。ハリウッド的にはそれもすべて解決して終わるべきなのだろうが、世の中そう単純ではないと。もう逃げたくないんだという決意は表明されているんだけれど。ただ子供向けなら解決した方が良かったか。

 1対1の対決で決着を付けるという話ならば、ブラッド・ピットの「トロイ」(Troy・2004・米/マルタ/英)や「グラディエーター」(Gladiator・2000・)があって、まあ、甚大な被害を出す前に対決して決着を付けろという感じ。本作も同じ。500対5,000ねえ。

 監督・脚本・VFXは山崎貴。「ALWAYS三丁目の夕日」(2005・日)シリーズのほか、タイム・トラベルSF「Returner リターナー」(2002・日)、少年冒険ファンタジー「ジュブナイル」(2000・日)などを手がけている。それより前に佐藤嗣麻子監督のホラー「エコエコアザラク」(1995・日)2作の特殊効果と「K-20怪人二十面相・伝」(2008・日)の脚本協力をやっていたことからか、本作では脚本協力で佐藤嗣麻子が加わっている。

 ちなみに主題歌を歌っているのは中国生まれのalan。「レッドクリフ」シリーズのテーマ・ソングを歌っていた人。山崎監督のご指名だったらしい。

 公開2日目の初回、新宿の劇場は金曜に座席を確保しておいて、20分前ほどに到着。15分前くらいに開場して、最終的に232席に5割くらいの入り。下は小学生くらいから、上は高齢者まで、「ALWAYS三丁目の夕日」ファンか観客層は幅広かった。男女比はほぼ半々。

 ほぼ暗くなって始まった予告編は、どれも邦画ばかり。すでに何回か見たものばかりで、あまりピンと来なかった。


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