Land of the Lost


2009年9月19日(土)「マーシャル博士の恐竜ランド」

LAND OF THE LOST・2009・米・1時間41分

日本語字幕:手書き書体下、石田泰子/ビスタ・サイズ(1.85、with Panavision)/ドルビーデジタル、dts、SDDS

(米PG-13指定)(日本語吹替版もあり)

公式サイト
http://kyoryu-land.jp/
(音に注意。全国の劇場案内もあり)

リック・マーシャル博士(ウィル・フェレル)はNBC・TVのニュース・ショー“トゥデイ”に出演し、ホストのマット・ラウアー(本人)相手に、持論のタイムワープ論を展開、鋭い突っ込みで笑いものにされ、すっかり世間の笑いものになった。3年後、学会を追われ、子供相手の科学教室の講師となっていた。そんな彼の前に、タイムワープ論を信じるというケンブリッジ大学の女子大生ホリー(アンナ・ブリエル)が現れ、その証拠を見つけたと、2億6千年前の化石を見せる。なんとそこには自分が持っているライターの凹みが付いていたのだ。実はすでにタキオンを増幅するタイムワープ装置は完成していたのだが、自信がなくテストできないでいた。そこで2人は、近くのタキオンが多いと思われる場所、デビル谷の洞窟へ向かう。その洞窟の案内人ウィル(ダニー・マクブライト)と共にゴム・ボートに乗り、遊園地のライドのようなツアーの途中、マシンがタキオンに反応したので始動させると地震が発生、マシンが水に落ちる。しかもゴム・ボートは押し流され3人ともども滝壺に落下してしまう。その時真っ白になり……気がつくとそこは3つの月が浮かぶ異世界の砂漠だった!!

70点

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 SFXの合成はすばらしい。違和感なし。ありえない異次元がとてもリアルに表現されている。着ぐるみは、たぶん意図しているのだろうが、割とチープ感があって、それでいて足の裏など細部まで作り込まれていてリアル。原始人っぽい類人猿(?)も、わざとらしいメイク。はっきり人間とわかるレベル。しかし恐竜はまるで存在しているかのよう。手抜きは全くない。

 いかんせん、ギャグがくだらないセリフで笑わせようとするレベル。ナンセンスな世界を一生懸命描くのも良いが、ほとんどの場合うまくいかないことが多い。おバカな登場人物がいて、それを笑おうというパターン。しかし、むしろ、難しいが、おバカじゃない人が喜劇的状況やセリフを引き出すという方向だったら、本作は面白くなったのではないだろうか。つまり「ギャラクシー・クエスト」(Galaxy Quest・1999・米)とか「銀河ヒッチハイク・ガイド」(The Hitchhiker's Guide to the Galaxy・2005・米/英)のパターン。専門家ぶって言ったことがすべて裏目に出るとか、ライターを見て「おどライター」なんてダジャレは字幕の責任もあるが、ベタすぎてイライラするほど。

 ただ、ヘンテコな異世界はよく出来ていた。砂漠に3つの月が出ていて、ドアだけがあったり、橋が埋まっていたりするシュールな描写。なのに恐竜がいる。2億6千年前は古生代のペルム期で、ティラノサウルスは中世代白亜紀末期(約6,850万年前〜6,550万年前)なので時代が合わないが、「ジュラシック・パーク」もそうだったし、感覚的な設定なのだろう。ただ、絵は素晴らしく、見る価値がある。3D上映だったら、もっと印象が良かったかも。

 クレジットではwith Panavisionと出たが、画質はデジタルっぽかった。シズル感があって、色も鮮やか。合成もやりやすいはず。

 主役は「サタデー・ナイト・ライブ」出身のウィル・フェレル。彼が出て日本公開されたもので面白かった映画はほとんどない。唯一爆笑だったのは「オースティン・パワーズ」(Austin Powers: International Man of Mistery・1997・米/独)のみ。リメイクのーで話題になった「プロデューサーズ」(The Producers・2005・米)も、コメディではない「主人公は僕だった」(Stranger Than Fiction・2006・米)も今ひとつだったし。日本では受けない。ただ、コメディではない「主人公は僕だった」の方向の方がいいような気はする。余計なお世話か。

 女子大生ホリーを演じたのはアンナ・ブリエル。ボクが見たのは、タイム・トラベル・アドベンチャー「タイムライン」(Timeline・2003・)の中世の貴婦人役。映画には結構出ているようだが、なかなか日本ではお目にかかれない感じ。

 洞窟の案内人ウィルを演じたのはダニー・マクブライト。ベン・スティーラーの戦争コメディ「トロピック・サンダー/史上最低の作戦」(Tropic Thunder・2008・米/独)で爆破が好きなパイロ・テクニシャンを演じていた人。

 一目で着ぐるみとわかる衣装を身につけた類人猿チャカを演じたのは、「サタデー・ナイト・ライブ」出身のヨーマ・タッコンという人。子供っぽいイメージだが実は32歳。背も高いようだ。「ホット・ロッド/めざせ!不死身のスタントマン(未)」(Hot Rod・2007・米)でダニー・マクブライトと共演すると共にスクリーン・デビューを飾ったらしい。劇中ホリーの胸を触りまくり。

 脚本はクリス・ヘンチーとデニス・マクニコラスの2人。クリス・ヘンチーは主にTVの脚本を手がけている人で、プロデューサーとしての方が本数が多い。奥さんがブルック・シールズらしい。デニス・マクニコラスは「サタデー・ナイト・ライブ」の脚本家。うーむ、TVのバラエティのノリでそのまま行ってしまったというわけか。

 監督はブラッド・シルバーリング。TV出身の人で、映画はお化けコメディ「キャスパー」(Casper・1995・米)、「ベルリン天使の詩」(Der Himmel Uber Berlin・1987・独/仏)のハリウッド版「シティ・オブ・エンジェル」(City of Angels・1998・独/米)、自らの経験を映画化したというヒューマン・ドラマ「ムーンライト・マイル」(Moonlight Mile・2002・米)、そして暗いコメディ「レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語」(Lemony Snicket's A Series of Unfortunate Events・2004・米)を手がけている。ドラマをやりたいのかコメディをやりたいのか良くわからないが、コメディは向いていないのではないだろうか。

 公開2日目の2回目、40分前くらいに座席を確保して、食事をしてから10分前くらいにもどったら、すでに開場済み。40人くらいが座っていた。この内容なのに字幕版だからかほとんど中高年。ただ小学生くらいの子連れも何組か。男女比は半々くらい。最終的には183席の1/3くらいが埋まっただろうか。予告が始まってからも入ってくる人が多く、しっかりと確認できなかった。

 半暗で始まった予告編は……なんと人気パズルゲームがアニメ映画になるらしい。「レイトン教授と永遠の歌姫」がそれ。声優はそれぞれゲームの声優が務めるのだとか。

 「マリと子犬の物語」(2007・日)のスタッフが今度は狼を描く「ウルルの森の物語」はどうなんだろう。そして「のだめ」は最終章が前後編で作られるらしい。上下マスク「のだめカンタービレ最終楽章」うむむ。またまたコミック原作の「僕の初恋をキミに捧ぐ」もあるし……。

 上下マスクの重厚な映像「パブリック・エネミーズ」はジョン・デリンジャーを描くギャング映画らしい。ジョニー・デップがトンプソンを持って駆け回っていた。クリスチャン・ベールも出ている。マイケル・マン監督だし、いいかも。


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