Doomsday


2009年9月21日(月)「ドゥームズデイ」

DOOMSDAY・2008・英/米/南ア/独・1時間50分(IMDbでは米版105分と113分)

日本語字幕:丸ゴシック体下、川又勝利/シネスコ・サイズ(1.85、with Panavision)/ドルビーデジタル、dtsES(IMDbではドルビーデジタルEX)

(米R指定、日R15+指定)

公式サイト
http://www.doomsday.jp/
(音に注意。入ると画面極大化。全国の劇場案内もあり)

2008年、グラスゴーで未知のウイルスによる感染症が発生、大流行したため政府はイギリスとスコットランドの境界地域をまるごと9mの高さの壁で囲み、隔離した。上空は飛行禁止で、内部の者は壁に近づくことさえ禁止され、近づいたものは容赦なく狙撃された。この結果イギリスは世界から見捨てられた。そして2035年、特殊部隊のエデン・シンクレア少佐(ローナ・ミトラ)は、上司のネルソン長官(ボブ・ホスキンス)から呼び出される。2008年に発生したのと同じ感染症が発生し拡大が始まっているという。そこで、ジョン・ハッチャー首相(アレクサンダー・シディグ)は、3年ほど前から封鎖地区内に生存者がいることが監視衛星に発見されており、封鎖地区にいたケイン博士(マルコム・マクダウェル)が治療薬を開発可能性が高いため、各特殊部隊から精鋭を選んで特別チームを送り込み、48時間以内にクスリを持ち帰させる指令が出たという。シンクレア少佐率いる特別チームは2台の装甲車に分乗し、封鎖地区に入る。

75点

1つ前へ一覧へ次へ
 意外に予告の雰囲気とは違うものだった。それは良い意味で期待を裏切るもので、確かに「マッドマックス」(Mad Max・1979・豪)とか「ニューヨーク1997」(Escape from New York・1981・米)とそっくりだが、どうして骨太で、1時間50分たっぷりと異世界をトリップするような冒険を楽しめた。まあ、真似、荒唐無稽、漫画といわれればその通り。でもオリジナリティもあって、ぐいぐい引き込まれる面白さ。

 1人のヒロインと、特殊部隊、パンク軍団、中世軍団、血や腕や頭が飛ぶ残酷描写、48時間の時間制限、無法地帯……これらが実に良くまとまっている。特に悪人たちが強烈で、ぶっ飛んでいて、彼らとの対決が痛快。主人公を美女にしたところはよくあるパターンだが、へっぴり腰ではなく、彼女がしっかりとしたアクションをこなすことで、ウソ臭さがかなり薄められている。

 主演のローナ・ミトラはつい最近「アンダー・ワールド:ビギンズ」(Under World: Rise of the Lycans・2009・米/ニュージーランド)に出ていたばかり。マーク・ウォールバーグの「ザ・シューター 極大射程」(Shooter・2007・米)では、FBIの女性捜査官を演じていた。やっぱりアクション系に強いらしい。イギリス出身。使っていたピストルはワルサーP38をベースにしたもののようだった。

 上司のネルソン長官を演じたのはボブ・ホスキンス。この人もイギリス出身で、かつてアニメのキャラと共演した「ロジャー・ラビット」(Who Framed Roger Rabbit・1988・米)にも出ていたが、良いオジサンから悪役のイメージが強くなってきた感じ。「スターリングラード」(Enemy at the Gates・2000・米ほか)のむちゃくちゃな軍高官や、ジェット・リーの「ダニー・ザ・ドッグ」(Danny the Dog・2005・仏ほか)のギャングのボスはかなり恐ろしく強く印象に残っている。

 パンクのボス、ソルを演じたのは、クレイグ・コンウェイ。ニール・マーシャル監督の怖い洞窟冒険活劇「ディセント」(The Descent・2005・英)でモンスターを演じていたらしい。同じくニール・マーシャル監督のデビュー作で、特殊部隊とモンスターの闘いを描いた痛快作「ドッグ・ソルジャー」(Dog Soldiers・2002・英ほか)にも出ている。今後の活躍にも期待したい。もちろんイギリス出身。

 ケイン博士を演じたのはマルコム・マクダウェル。この人もボブ・ホスキンス同様大ベテランで、古くはスタンリー・キューブリックの「時計じかけのオレンジ」(A Clockwork Orange・1971・英/米)に主演している。B級からハリウッド大作まで良く出ている人だが、ヘリコプター・アクション「ブルーサンダー」(Blue Thunder・1983・米)の悪役は印象に残った。最近ではTVの「HEROESヒーローズ」のリンダーマン役が怖かった。

 ちょっと気弱なイギリス首相を演じたのはスーダン出身のアレクサンダー・シディグ。ジョージ・クルーニーの「シリアナ」(Syriana・2005・)でナシール国の王子を演じていた人。人気TVドラマ「24」シーズン6でも悪役で活躍していた。ケースに入れて持っていたピストルはたぶんウェブリー&スコット。

 首相に代わって指揮を執るようになる冷血な男マイケル・カナリスを演じたのは、やはりイギリス出身のデヴィッド・オハラ。メル・ギブソンの「プレイブハート」(Braveheart・1995・米)で注目され、最近では奇想天外アクション「ウォンテッド」(Wanted・2008・米/独)で窓ガラスを突き破るMr.Xを演じていた。

 ソルの女、タトゥーだらけのナイス・バディなヴァイパーは、リー・アン・リーベンバーグという南ア出身の人。TVを中心にスタント・ウーマンとして活躍していたようだ。どうりで格闘シーンが多かったわけだ。顔はタトゥーでほとんどわからなかったが、今後の活躍に期待したい。

 監督・脚本はイギリス出身のニール・マーシャル。「ドッグ・ソルジャー」、「ディセント」などいずれもボクにははまって面白かった。とすれば、本作もそれなりの出来になって当然。シンプルな設定でもうまく見せる。次作も期待だ。

 使われていた銃器は、イギリスと南アということで、イギリス軍はSA80(L85A1)を使い、特殊部隊はヴェクターCR21かタボールTAR21のようなブルパップを使用、サイレンサーやレーザー・サイト、フラッシュライトを装着していた。アーマーはまるで日本のヨロイのようなデザイン。弾切れではタクティカルの基本「アウト」と叫んで仲間に知らせいていたが、字幕は「弾切れ」になっていた。そのとおりなのだが、実際には敵に弾切れを知らせないため、単に戦列を外れるという意味で「アウト」と言っている。「弾切れ」なんて具体的に言ったら敵の集中砲火を浴びてしまう。たぶん専門家を付けたのだろう。

 やたら手が飛び、頭が飛び、ピアスを引きちぎり、血糊もカメラに飛んでくる。しまいには人間をミディアム。レアで食うし。やたらたばこも吸っていたが、なぜ。

 公開3日目の2回め、30分前くらいについたらロビーには14〜15人の人。比較的人の少ないサイドへ行き、イスがふさがっていたので入場口近くでまっていたら、案内もないまま入れ替えになった。列なんかみんな適当。まう10人くらいしかいなかったから、たいして混乱はなかったが、先に来て座っていたとは言え、平気で並んでいる人の前に並ぶヤツの気持ちが理解できない。マナーやモラルなんて今の日本人にはないらしい。注意されなきゃ、やったもん勝ちか。

 最終的に全席自由の588席に6〜6.5割くらいの入り。なかなかだ。若い人は1/5くらいで、やっぱり中高年がメイン。女性は少なかった。

 気になった予告編は……また手持ちカメラの不快映像による映画の第2作「●REC2」が公開されるらしい。今度は事件直後の特殊部隊の視点になるらしい。カメラ動かしたいんなら、自分のホームビデオでやれ。

 ティム・バートンの「アリス・イン・ワンダーランド」は予想どおりダークな雰囲気。3Dデジタル上映もあるらしい。ということは別料金か。

 ロバート・ダウニー・Jr.とジュード・ロウの「シャーロック・ホームズ」は面白そうな雰囲気。アクションもたっぷりあるらしい。ただ、1つだけ心配なのは監督がガイ・リッチーだということ。正当派の撮り方が出来るなら面白いものになっているかもしれない。予告は面白そうだ。

 ケイト・ベッキンセール主演の上下マスク「ホワイトアウト」は よくわからなかったがホラー映画らしい。アクションたっぷりのようだが、ティーザーなので……。

 「エスター」は養女を巡るホラーのよう。どうも悪魔のこのような女の子らしい。もうすぐ公開なのに前売りがない。お前がそんなだから愛されないという突っ込みはおいといても、かなり怖そうではあった。


1つ前へ一覧へ次へ