Fast & Furious


2009年10月11日(日)「ワイルド・スピードMAX」

FAST & FURIOUS・2009・米・1時間47分

日本語字幕:丸ゴシック体下、風間綾平/シネスコ・サイズ(マスク、Super 35、Panavision)/ドルビーデジタル、dts、SDDS

(米PG-13指定、日G指定)(一部デジタル上映もあり)

公式サイト
http://wild-speed-max.com/
(音に注意。入ると画面極大化。ややこしいが全国の劇場案内もあり)

ドミニカ共和国でドミニク(ヴィン・ディーゼル)は恋人のレティ(ミシェル・ロドリゲス)や仲間たちとガソリンを強奪するとき、思わぬ事態から大事故を引き起こしてしまう。FBIや地元警察からマークされ、全員がバラバラに逃げることにする。リティの身を案じたドミニクは、別れる決心をし、分け前をすべて置いて姿を消す。ところが、しばらくして妹のミア(ジョーダナ・ブリュースター)からレティが殺されたという知らせが入る。LAにもどったドミニクはミアから殺害現場を聞き、タイヤ痕から改造車の痕跡を見つけ、改造屋の元を訪れる。そのころ麻薬事件を2年以上も追っていたFBIのブライアン(ポール・ウォーカー)は、手がかりから韓国人の車改造屋を絞り込みその元を訪れる。出会った二人は、ともに麻薬組織のボスが運び屋を選ぶためのレースに参加することにする。

73点

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 オリジナルのメンバーで、原点に立ち戻り、カー・アクション満載で描く巨悪との戦い、友情、そして愛。スピード感溢れる演出で、息つく暇もないほど一気に最後まで見せる。ただ、なぜか、あまり感情が伝わってこない。レティを失った悲しみや、亀裂が入ったミアとブライアンの関係も設定という感じで、どこかピンと来ない。悪くないのに。

 そして、カー・アクションは見所たっぷりでスピード感も充分なのに、シネスコを使ってもなお、どうなっているのか、全体像がわかりにくい。方向性の一貫性がないようなのと、アップが多すぎたり、動きまくっていたり、カットが短すぎたりするせいらしい。これが惜しい。

 もちろん、ヴィン・ディーゼルもポール・ウォーカーもカッコイイ。ヴィン・ディーゼルはかなり悪党の設定だが、結局はいいヤツでおわる。そうでなきゃ、ヴィン・ディーゼルは出てくれないだろう。それがわかっていても面白い。意外なのは女性2人があまり活躍せず、これがハリウッド・デビューという新人の女優が印象に残る。彼女も良い役ではないが、最後に力を貸し、次作につながるような名残を残して消える。

 ヴィン・ディーゼルはここのところパッとした作品がなかった。「バビロンA.D.」(Babylon A.D.・2008・米/仏/英)は単館の小劇場での公開で、見に行くのを止めた。海外では受けたのかもしれないが、日本での扱いはそんなもの。見てみないと出来のほどはわからないが。本作はいい感じ。ステンレスのモスバーグ590を使用。

 ポール・ウォーカーもなんだかB級の主演が増えてしまった感じだが、スタイルができてきて、みなそれぞれにおもしろい。外れが少ない。最近は「ボビーZ」(The Death and Life of Bobby Z・2007・米/独)、「ワイルド・バレット」(Running Scared・2006・独/米)ともに面白かった。使っていたのはグロック。FBIの設定なので.40S&WのG22か。

 ミシェル・ロドリゲスは、人気TVドラマ「LOST」に出ていて驚いたが、あのり重要な役ではなくゲスト的扱い。すぐに撃たれていなくなった。日本公開された作品は少なく、映画の最後は、面白かったサイコ・サスペンスの「コントロール」(Control・2004・アルバ/米)だろうか。ただ、キャメロンの「アバター」が控えているが。

 ジョーダナ・ブリュースターもやっぱり最近日本公開作品がなく、マイケル・ベイがリメイクした出来の悪い「テキサス・チェーンソー ビギニング」(The Texas Chainsaw Massacre: The Begining・2006・米)がかろうじて公開されたくらい。この作品も公開されたのか不思議なくらいで、作品に恵まれていない感じ。

 悪党の女ジゼルを演じたのは、これがハリウッド・デビューとなるガル・ギャレット。イスラエル出身で、美人だなあと思ったら、2004年のミス・イスラエルなんだそう。ノーブラが刺激的。今後活躍しそう。それもあってだろう、最後には主人公たちに手を貸して悪い印象を残さない。使っていたのはシルバーのP230。

 とてつもなく憎たらしいギャング、フェニックスを演じたのはラズ・アロンソ。感動戦争映画「セントアンナの奇跡」(Miracle at St.Anna・2008・米/伊)で無線機を背負った背負ったヘクター伍長を演じていた人。あんなにまじめそうだったのに。「アバター」に出ているらしい。使っていたのはガバメント。

 この映画によれば、デヴィッド・パークという名前は、韓国人がよく使う名前らしい。手がかりの男が多すぎて、絞り込みに苦労するわけだ。

 その脚本を書いたのは、クリス・モーガン。香港でリメイクもされた「セルラー」(Cellular・2004・米/独)、前作「ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT」(The Fast and the Furious: Tokyo Drift・2006・米/独)、アンジェリーナ・ジョリーの「ウォンテッド」(Wanted・2008・米/独)などを手がけている。

 監督はジャスティン・リン。台湾生まれのアメリカ育ちで、前作「ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT」も監督している。1973年生まれというから36歳という若さ。1997年頃からアメリカで活躍しており、日本公開は少ないが、評価は高いようだ。

 FBIのSWATはM4カービンやMP5を使用。ギャングたちはウージー、イングラムなど。武器係はデビッド・アーロンとあった。

 公開3日目の初回、新宿の劇場は前日に座席を確保しておいて、10分前に着いたら開場済み。最終的に287席に1/3くらいの入り。20代くらいが多く、2/3は20代か。あとは中高年。白髪も多かった。女性は1割いたかどうか。

 気になった予告は……タランティーノの「イングロリアス・バスターズ」はやっぱりリーマーヴィンの「特攻大作戦」(The Dirty Dozen・1967・英/米)という感じがするんだけど。3Dスプラッター映画の「ファイナル・デッドサーキット3D」は、予告は英語&字幕なのに、上映は吹替のみらしい。字幕がジャマになるということか。字幕だったら見たいけど。スクリーンが左右に広がってシネスコになって、重厚な絵と重厚な音でジョニー・デップの「パブリック・エネミーズ」新予告。これだけでも凄い迫力。予告のレベルが違いすぎる。トンプソン撃ちまくり。監督はアクションのマイケル・マン。クリスチャン・ベイルも出ているし、どんな映画になるんだろう。これで日本G指定とは不思議。ギャングの映画なのに。アメリカはR指定だけど。


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