The Time Traveler's Wife


2009年10月24日(土)「きみがぼくを見つけた日」

THE TIME TRAVELER'S WIFE・2009・米・1時間47分

日本語字幕:手書き書体下、藤澤睦実/シネスコ・サイズ(マスク)/ドルビーデジタル、dts、SDDS

(米PG-13指定、日G指定)

公式サイト
http://wwws.warnerbros.co.jp/thetimetravelerswife/
(入ったら音に注意。情報少ない。全国の劇場案内もあり)

図書館で特別叢書係のヘンリー・デタンブル(エリック・バナ)はタイム・トラベラーだったが、いつタイム・トラベルするのか、どこへタイム・トラベルするのか、そして滞在時間さえも自分では選べなかった。ある日、図書館に若い女性クレア・アブシャー(レイチェル・マクアダムス)がレアな本を探しにやってくる。担当することになったヘンリーを一目見るなり「あなたがタイム・トラベラーであることを知っている。これは2人で計画したこと」と言い、お気に入りのレストランの名を当ててみせる。そのレストランでデートの約束をすると、彼女は6歳のときにあなたに初めて会って以来ずっとつけているという日記を持ってくる。やがて二人はつきあうようになり、結婚することになるのだが、しばらくしてあることに気付くのだった。

74点

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 悲しく、優しい愛の物語。夫婦愛、親子愛、そして家族愛。バッド・エンディングではないが、決してハッピー・エンドというわけでもなく、それでいて親子のほほえみと希望で終わる、とても穏やかな映画。さわやかに切ない。

 タイム・トラベラーなどという奇抜な設定でありながら、それを当たり前にあるものとして描き、なぜ起こるのかとか、重要なポイントであるタイム・パラドックスについては一切触れていない。過去の自分に会って直接アドバイスまでしている。

 本作が描きたかったことはそういうSF的なことではなく、たぶんそれによって起きる幸福と悲劇なのだ。悪い人間は1人も登場しない。それでも悲劇は起こってしまうし、愛しているからこそ生じるケンカもある。ここがまた切ない。ただ、それだけに特に事件はなく、あえていえば何も起きない。事故が1つあるだけ。だからあまり映画的ではない。TVの2時間枠でも行けそうな感じは残念。映画的には殺人事件とかがあって、犯人捜しのミステリーや、逆に犯人の逆襲を受けると言ったバイオレンスもあるのが普通のパターン。それがない。いかにも日常生活にありそうな

 そうは言っても、恋愛映画として実に良い雰囲気で、たぶん男性の観客はみなクレアに恋をするのではないだろうか。

 原作は世界的なベスト・セラー、オードリー・ニッフェネガーの小説「タイムトラベラーズ・ワイフ」(ランダムハウス講談社)。「きみがぼくを見つけた日」と改題して文庫にもなっている。

 ヘンリー・デタンブルを演じたのはエリック・バナ。オーストラリア生まれの41歳。注目されたのはリドリー・スコットの戦争映画「ブラックホーク・ダウン」(Black Hawk Down・2001・米)でDボーイズの1人を演じて。その後アン・リー監督版「ハルク」(Hulk・2003・米)に主演し、「トロイ」(Troy・2004・米ほか)ではブラッド・ピットの相手役を務めた。スピルバーグの「ミュンヘン」(Munich・2005・米ほか)の殺し屋は強烈で、深く印象に残った。そのおかけでなんだかちょっと暗い人のイメージ。最近は「スター・トレック」(Star Trek・2009・米)で恐ろしい宇宙人役を演じていた。

 ヒロインはレイチェル・マクアダムス。カナダ出身の33歳。あの感動作「きみに読む物語」(The Notobook・2004・米ほか)のヒロインを演じた人。なるほど、それで本作もそんなタイトルということか。あれで、劇中の彼女に恋した男性も多いのではないだろうか。本作でもそう。よく出来ている。最近では「消されたヘッドライン」(State of Play・2009・米ほか)でちょっと生意気な新人記者を演じていた。とても同じ人とは思えないくらいの感じ。どちらの役もうまい。

 6歳から8歳の若き日のクレアを演じたメチャクチャかわいい少女はブルックリン・プルー。カナダ生まれの10歳で、ブラッド・ピットの実話西部劇「ジェシー・ジェームズのの暗殺」(The Assassination of Jesse James by the Coward Robert Ford・2007・米/加)でジェシー・ジェームズの幼い娘を演じていた子。新作が3本ほど控えている。

 脚本はブルース・ジョエル・ルービン。ショッキングだったSF「ブレインストーム」(Brainstorm・1983・米)の原案を担当した人。その後恋人をロボットにして蘇らせる「デッドリー・フレンド」(Deadly Friend・1986・米)やベトナム帰還兵が幻覚に襲われる「ジェイコブス・ラダー」(Jacob's Ladder・1990・米)、恋人が幽霊となって彼女の元にもどってくるラブ・ストーリー「ゴースト/ニューヨークの幻」(Ghost・1990・米)の脚本を担当している。凄い経歴。どれもユニークな作品ばかり。最近はあまり脚本を手がけていなかったようで、本作は久々の作品。

 監督はドイツ生まれのロベルト・シュヴェンケ。飛んでいる飛行機の中で娘が失踪するというサスペンス「フライトプラン」(Flightplan・2005・米)の監督。サスペンス的な部分で本作と関連性があるかも。「フライト……」は主人公のキャラクター設定が良くなかった気がする。もっと面白くなったはず。本作の監督とイメージ的にはつながらない感じ。新作が2本控えている。それで実力がハッキリするかも。

 エグゼクティブ・プロデューサー、製作総指揮の1人が俳優のブラッド・ピット。それで「ジェシー……」で共演したブルックリン・プルーを使ったのかも。エリック・バナも「トロイ」で共演しているし。

 何カ所かコピー防止のドットがあったような気がしたが……。

 文字のピントがぼけて消えていくタイトルは、ピクチャー・ミル。さすがうまい。文字もタイム・トラベルする感じか。

 公開初日の初回、もしもと思って60分前に着いたら、全席自由の新宿の劇場は誰もいなかった。40分前になって窓口のシャッターが開き、35分前くらいにようやくオヤジ1人。30分前くらいに4人になり、オバサンが1人。25分前くらいに開場し、場内へ。スクリーンはビスタで開いていた。

 最終的に1,064席に50〜60人くらいの入り。ほとんど中高年で、女性は1/4ほど。これは劇場変更かな。悪くないのにこの入りはなぜ? 広告・告知不足か。

 相変わらず携帯を光らせているヤツは多い。エンド・クレジットになったらすぐ点けるヤツもいる。メールのチェックをしたかったら、ロビーに出てからにしろ。

 いつも書いているがタイトルが最後にしか出ない予告が多すぎる。すぐ消えるから覚えられない。なんだったら最初から最後までずっと出ていても良いくらい。

 チョン・ウソン主演の美男美女のラブ・ストーリーはなかなかタイトルが出ずイライラした「きみに微笑む雨」って、このタイトル、本作とか「きみに読む物語」と同じではないか。「きみ」系か。

 マット・デイモン主演でソダーバーグ監督の「インフォーマント!」もなかなかタイトルが出ず、結局帰ってから調べる羽目に。内容はおバカな男がスパイをやって、明らかなドジですべてを台無しにするような感じのもので、なんだかそれだけで苛ついた。

 上下マスクの「ホワイトアウト」は新バージョンに。ただ、カットが速すぎて何が何だかよくわからなかった。前売り券も作っていないと言うし、人に見せたい気があるのだろうか。TV広告もやっているのに。よほどつまらないとか、何か理由があるのだろう。そう思って調べたらIMDbでは5.6点という低評価。監督はなかなか面白かった「ソードフィッシュ」(Swordfish・2001・米)を手がけたドミニク。セナ。どうなんだろう。

 ロバート・ダウニー・Jr.の「シャーロック・ホームズ」も新予告に。監督がガイ・リッチーなので心配だが、予告は怖そうで、そしてとても面白そう。撃ち合いもあるらしい。

 上下マスクの「かいじゅうたちのいるところ」は長いバージョンのようで、とにかく楽しそうで、優しそうで、おもしろそう。なんだか凄い。


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