Drag Me To Hell


2009年11月7日(土)「スペル」

DRAG ME TO HELL・2009・米・1時間39分

日本語字幕:手書き書体下、風間綾平/シネスコ・サイズ(マスク、Super 35、with Panavision)/ドルビーデジタル、dts、SDDS

(米PG-13指定)

公式サイト
http://spell.gaga.ne.jp/
(入ったら音に注意。全国の劇場案内もあり)

ウィルシャー・パシフィック銀行に勤めるクリスティーン・ブラウン(アリソン・ローマン)は、次長候補だったが、調子のいい男ステュー(レジー・リー)にそのポストを奪われそうだった。そんなとき、銀行にやってきた年老いたガーナッシュ夫人(ローナ・レイヴァー)が、ローンの3度目の支払い延長を申し込んできた。昇進の件が頭にあったクリスティーンは、延長できないと断ってしまう。さらに土下座までしたガーナッシュ夫人を、警備員に連れ出させると、彼女は謎の呪文を唱える。その翌日から、恐怖の出来事が起こり、霊能者に見てもらうと、呪いが掛けられているという。

71点

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 オープニングのユニバーサルのロゴが古いタイプ。これがこの映画の目指したところのひとつのヒントだろう。映画自体は、確かに1960年くらいの、古いスタイルのホラー。良くあったパターンを集め、それを昔のスタイルそのままに作ったという印象だ。これが逆に新しくて面白いという人と、古くさくてチャチと感じる人とがいるだろう。ボクはあまり乗れなかった。本当に古い映画を見ている感じがした。これだったら、あえて映画館で見なくても、自宅でDVDを見ても良かった感じ。

 今の技術で、CGもたっぷり使いながら、あえてワイヤーで吊ったような感じを出し、早回しやコマ落としのような手法を再現し、しかも突然の大きな音と大げさな音楽で脅すという構成。サム・ライミ監督はCG技術を使いまくった「スパイダーマン」(Spider-Man・2002・米)などを撮っているわけだし、使い方を知らないはずがない。最近はプロデュース業の方が忙しくて、監督業が少なくなってきていたから、厳選して撮っているのだと思うが、その1つが本作だとしたら、絶対に狙って撮っている。ただ、それが面白いのか。

 確かに初期の「死霊のはらわた」(The Evil Dead・1983・米)――酷い邦題――や、ボク好きな1本「キャプテン・スーパーマーケット」(Army o f Darkness・1993・米)など、その傾向は昔から強くあった。脚本の矛盾などもお構いなしに、グロさを前面に出して突き進む。なぜ日本でこれがG指定(指定なし)なのかよくわからない。

 話としてはスティーブン・キングの「痩せゆく男」(Thinner・1996・米)などと同じ。ジプシーの呪いというのも一緒。ほかにも似たような映画があったと思う。

 主人公のダメさ加減が良くない。昇進のことがちらついて老婆に不親切にしたり、保身のために小さなウソをつき、それで大きなウソをつかなければならなくなったり、どうにも同情できない。助けたい気にならないのだ。ショッキングなエンディングは当然の結末とも言える。もうちょっと可憐な主人公で、よい子だったら、応援できて怖かった気がする。そうすると結末も変わってきただろうけれど。

 主演のアリソン・ローマンは、ティム・バートンのファンタジー「ビッグ・フィッシュ」(Big Fish・2003・米)、スッキリしない詐欺師映画「マッチスティック・メン」(Matchstick Man・2003・米)のニコラス・ケイジの娘役、エロティック・ミステリーの「秘密のかけら」(Where the Truth Lies・2005・加/英/米)の若手ジャーナリストなどを演じていた。

 その彼氏を演じたのはジャスティン・ロング。バカにしながらも最後まで助けようとする中途半端な役柄をよく演じきったと思う。傑作SFコメディの「ギャラクシー・クエスト」(Galaxy Quest・1999・米)、都市伝説のホラー映画「ジーパーズ・クリーパーズ」(Jeeprs Creepers・2001・独/米)、最近では「ダイ・ハード4.0」(Live Free or Die Hard・2007・米/英)で事件に巻き込まれブルース・ウィリスと行動を共にするコンピューター・オタクを演じていた。

 銀行の上司はデヴィッド・ペイマー。小悪党的な役の多い人で、よく脇役として登場する。コメディも多い。最近ではソダーバーグの「オーシャンズ13」(Ocean's Thirteen・2007・米)に出ていた。TVのほうがよく見かけるかも。

 銀行の同僚のステューを演じたのはレジー・リー。痛快カー・アクション映画「ワイルド・スピード」(The Fast and the Furious・2001・米/独)、「パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド」(Pirates of the Caribean: At World's End・2007・米)や「トロピック・サンダー」(Tropic Thunder・2008・米/英/独)に出ていた。この人も脇役でよく見る気がする。

 脚本はサム・ライミと兄のアイバン・ライミ。アイバン・ライミは「ダークマン」(Darkman・1990・米)や「キャプテン・スーパーマーケット」、「スパイダーマン3」(Spider-Man 3・2007・米)などで一緒に仕事をしているらしい。公式サイトによると、普段は緊急医と探偵をやっているのだとか。

 タイトルの煙のように現れる文字はピクチャー・ミル。うまい。この作品にはもったいないくらい。

 公開初日の初回、新宿の劇場は45分前に着いたら20代後半くらいの男性が1人。30分前くらいに3館共通の窓口が開き、5人くらいになった。全員男性で、中高年3人、若い人2人という感じ。20分くらい前に開場し、全席自由の場内へ。

 最終的に350席に50〜60人くらいの入り。始まってから入ってくる人もいたので、もう少し多いかも。女性は10人いたかどうか。若い人と中高年は半々くらい。

 ブザーが鳴って暗くなり、CM・予告へ。シリーズ6作目「ソウ6」は、もういいかげん、どうなんだろう。すでにただの殺戮ショーになっており、ミステリーも何もないのに。「新の後継者は誰か」って、そんな続け方なら100作だってできそう。なぜ作り続けられるのか考えると、客が入るということしか考えられない。うむむ。

 「アース」「ディープ・ブルー」に続く大自然ドキュメンタリー「オーシャンズ」は確かに圧倒的な映像。大画面なら迫力も違う。でも流行にのっかって、狙ってる気もするし……。劇場かビデオか微妙なところ。


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