A Chiristmas Carol


2009年11月14日(土)「DISNEY'Sクリスマス・キャロル 」

A CHIRISTMAS CAROL・2009・米・1時間37分

日本語字幕:手書き書体下、松浦美奈/シネスコ・サイズ(デジタル、IMAX版は1.44)/ドルビーデジタル、dts、SDDS

(米PG指定)(日本語吹替版3D上映、IMAX-3D版もあり)

公式サイト
http://www.disney.co.jp/movies/christmas-carol/
(音に注意。入ると画面極大化。全国の劇場案内もあり)

1843年のクリスマス・イヴ。ロンドンの商人スクルージ(声:ジム・キャリー)は、並外れたケチで守銭奴。町の人々は誰も近寄らず、たった1人の従業員クラチケット(声:ゲイリー・オールドマン)は暖房も許されず、こき使われて家族を食べさせるのがやっとの状態。その夜、1人で暮らす彼のもとに、7年前に亡くなった共同経営者のマーレイ(声:ゲイリー・オールドマン)の幽霊が現れ、自分は生前無慈悲にしたから、今こうして鎖につながれさまよい続けているという。自分は忠告に来たと。これから3人の精霊がやってくるが、そこにチャンスがあると。マーレイが消えた後、まず過去のクリスマスを見せてくれる精霊(声:ジム・キャリー)が現れる。

71点

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 やっぱり前作「ベオウルフ/呪われし勇者」(Beowulf・2007・米)からたいして進化していなかった。今回の目玉はたぶん3D上映なのだろう。随所で飛び出しやすいわざとらしいレイアウトが目立っていた。進化している印象を受けたのは主人公のスクルージだけで、彼はしわや毛穴まで表現されていて、確かにリアルだった。しかし他のキャラクターはのっぺりしたゴムのようで、不気味。

 ストーリーとしてはクリスマスの定番、まさに鉄板ネタだから感動的。全体の9割くらいまでは違和感がずっとつきまとっていたが、最後の1割だけは感動的で、不気味な3D-CGであることを忘れた。クリスマス前に見る作品としては最適のものだと思う。爽やかで後味も良い。ほんわかと暖かな気持ちになるし、クリスマスはこんな日だったんだなあと思うことが出来る。

 ただし、どうにも引っかかるのは、主旨がちょっと変わってしまっていることだ。技術に頼りすぎたのか、3人の精霊たちを怖く描きすぎている。こうなるとスクルージは気付きによって改心したのではなく、恐ろしさから逃れるために改心したように見えてしまう。今のままでは葬式に誰も来ないし、お前の死は喜ばれこそすれ誰も悲しまないなどとリアルな映像で見せられて、ビビらないやつがいるだろうか。しかもスピリッツ=精霊といいながら、ほとんど亡霊だ。怖すぎる。むしろ滑稽なくらいのヤツが現れて、脅しではない気付きをもたらすエピソードを見せてくれ、その結果、心から改心しなければ信じられない。単なるうわべだけ、その場逃れのように見えてしまう。

 だいたい、リアルにしたいのなら、実写でやれ。ジム・キャリーが本当に出てきて、精霊に連れられて空を飛んだりしたら、どんなに楽しかっただろう。もしくは、ヘンな細部など気にならない、アニメ的なキャラクターにして、ディズニーらしいアニメにしろ。

 とにかく動きがヘン。役者の演技のモーション・キャプチャーだそうだが、何かが欠落しているのは間違いない。全体に動きのよどみがなく、すべてつながっていて、これがかえってヘン。京劇ほどではないにしても、どこかに決めがあって、動きにメリハリがないとすべて流れてどうにもフニャフニャな印象。体重というか重力が感じられないし、目線がヘン。表情までキャプチャーしているそうだが、目玉の瞳にはセンサーを付けられないわけで、これはあとから手で動きをつけているのだろうが、視線の向き、焦点ともに合っていない気がする。つまりやぶにらみ。

 そして、古いハリウッドのスタイルを踏襲したかったのか、オープニングは文字の書体も古い感じで、原作本が出てページがめくられて物語が始まっていく感じなど、まさにそれ。でも中身はハイテク満載。っていうか、本物の人は出ていない。

 スクルージの声はジム・キャリー。キャラクターの顔も似ていた。ほかに3人の精霊地の声も担当している。最後に見た実写は「イエスマン」(Yes Man・2008・米/豪 )。ただ、あまりパッとしない作品が多かったようで、良かったのは「ディック&ジェーン」(Fun with Dick and Jane・2005・米)くらいまでか。

 クラチケットの声はゲイリー・オールドマン。ハゲでチビの設定だが顔は似ていた。ほかに共同経営者のマーレーと、足の悪いクラチケットの息子ティムの声も担当している。つい最近、日本映画「レイン・フォール/雨の牙」(Rain Fall・2009・日)にCIAのアジア支局長役で出ていた。

 甥のフレッドの声はコリン・ファース。つい最近、楽しいミュージカル「アンマ・ミーア!」(Mamma Mia!・2008・英/米/独)に3人の父親の1人で出ていた。

 過去の亡霊が見せてくれた陽気な親方フェジウィッグの声はボブ・ホスキンス。顔もそっくり。未来の死体からものをはぎ取るじいさんも担当していたらしい。ボブ・ホスキンスは最近は悪役が多い感じだが、「ドゥームズデイ」(Doomsday・2008・英ほか)ではローナ・ミトラの上官のやくを演じていた。

 クレジットにはなく、IMDbにもなかったが、allcinemaによれば難病と伝えられるマイケル・J・フォックスも声の出演をしているという。TVの出演はしているようだが、映画は声の出演のみのようだ。ロバート・ゼメキス監督とはたぶん最大のヒット作「バック・トゥ・ザ・フューチャー」(Back to the Future・1985・米)で仕事をしているから、盟友というような関係なのかもしれない。

 そのロバート・ゼメキスは本作で、製作・監督・脚本を担当。最近はホラー映画のプロデュースが多く、自信はほとんど3D-CGアニメばかり。人嫌いになってしまったのか。「ロジャー・ラビット」(Who Framed Roger Rabbit・1988・米)のときからその傾向はあったのだろうけれど、「ポーラ・エクスプレス」(The Polar Express・2004・米)も「ベオウルフ/呪われし勇者」(Beowulf・2007・米)も酷い。本作では、当たり前かもしれないが、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の要素がいくつか伺えた。

 ただ、スクリーン中央のピントが甘いまま本編に突入したのは残念。前回まで3D上映で、映写機が変わったのか調整が十分でないまま突入してしまった感。うーむ。

 公開2日目の最終回、銀座の劇場は字幕版2D上映の1回目、当日の午前中に座席を確保し、25分前くらいに着いたら、ロビーには30人くらいの人。15分前くらいに3D吹替版の前回が終了し、場内清掃の後入場。全席指定ながら、ピンクのカバーのディース専用シートが右に2列ほどあった。

 最終的に540席の4.5割くらいが埋まった。これは上映回数の設定から言っても多い気がする。意外なことに7対3で女性の方が多く、女性はだいたい中年くらい、男性は中から高齢者という感じ。若い人は少々。若い人は3Dに行ったか。

 スクリーンはビスタで開いていて、5分前くらいから案内を上映。チャイムの後アナウンスがあって前方が暗くなり、予告の上映。重厚でちょっとダークな映像と音楽のみ。監督クリストファー・ノーラン、主演レオナルド・ディカプリオ、共演渡辺謙のアクション、上下マスクの「インセプション」これは見たい。予告はこちら。ちょっと「マトリックス」ぽい感じもするが、なんかWBのロゴからスゴイ。

 上下マスク「NINE」はソフィア・ローレン、ニコール・ギッドマン、ペネロペ・クルス、ジュディ・デンチといったそうそうたる出演者と、ロブ・マーシャル監督によるダンス・ミュージカル。

 なかなかタイトルが出ずイライラした上下マスクの「ラブリーボーン」はかなりショッキングな予告。少女が殺されるところから始まり、残された家族が犯人を捜していくミステリーらしい。監督はピーター・ジャクソン。驚異の映像と、優しさと、悲しみと、恐怖。見たい。

 上下マスクの「THE 4TH KINDフォース・カインド」は長いバージョンの予告。かなり怖そう。信じるかどうかはあなた次第って、都市伝説か。

 作・小山薫堂という「スノープリンス」は「禁じられた恋のメロディ」で「フランダースの犬」らしい。

 画面が左右に広がってシネスコになり、左右マスクでブルース・ウィリス主演の「サロゲート」はロボットSF刑事アクションのようで、「アイ、ロボット」(I, Robot・2004・米/独)と日本の「HINOKIOヒノキオ」(2004・日)、「マイノリティ・レポート」(Minority Report・2002・米)と「ターミネーター」(The Terminator・1984・英/米)を合わせたような感じ。絵が凄かった。


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