The Twilight Saga: New Moon


2009年11月29日(日)「ニュームーン トワイライト・サーガ」

TWILIGHT SAGA: NEW MOON・2009・米・2時間10分

日本語字幕:手書き書体下、石田泰子/シネスコ・サイズ(マスク、Super 35、Panavision)/ドルビーデジタル、dts

(米PG-13指定)

公式サイト
http://twilight.kadokawa-ent.jp/newmoon/
(音に注意。全国の劇場案内もあり)

ベラ・スワン(クリスティン・スチュワート)は18歳の誕生日の朝、恋人のヴァンバイア、エドワード(ロバート・パティンソン)が死ぬ夢を見る。そしてその日、エドワードから一方的に別れを告げられる。すっかり落ち込み家に閉じこもったままのベラを見かねた父のチャーリー(ビリー・バーク)は、環境を変えるため再婚した元妻のところに帰ったらどうかと進める。しかし街を離れられないベラは無理に外出をし、あぶない目に合えばエドワードを救いに来てくれるのではないかと、ジャンクヤードから捨てられたバイクを拾ってきて、メカに強い16歳のジェイコブ(テイラー・ロートナー)に修理を頼む。ジェイコブは次第にベラにひかれていきベラも心を許していくが、完成したバイクで転倒し怪我を負い、バイクを取り上げられる。そこで、ベラは崖からクリフ・ジャンプを試みる。おぼれそうになったベラをジェイコブが救うが、そのビジョンを見た妹のアリスの知らせでベラが死んだと思い込んだエドワードは、不死のヴァンバイアを殺すことができるイタリアのヴォルトゥーリ族のもとに向かう。さらに、ジェイコブの体には異変が起こりつつあった。彼はヴァンパイア族の宿敵、狼一族だったのだ。

67点

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 冗長で退屈。シリーズの大ファンか出演者の大ファンの人にしか、最後まで耐えられないだろう。映画の2/3は失恋でいじいじと何ヶ月も家に閉じこもっている彼女の心情を描いており、ほとんど無意味な堂々巡り。ヴァンパイアとか関係ないし、うんざりしてくる。単なる恋愛映画なら、わざわざトワイライト・サーガにする必要はないし、そういう人は本作を見に来ないだろう。本作を見に来る人はそんなことは期待していないはず。期待を裏切るという意味では成功しているかもしれないが。ヴァンパイアなのに写真に写るし。

 しかも、話が、無理して別れておきながら、再びまた一緒になるという、無意味なもの。だったら無理して別れるなよと。そのために振り回される周囲の人々、そして悲劇。さらにお互いも、そして自身をも傷つける。全く無意味。ストーリー展開のためのストーリーというか設定。肝心の物語が動く部分は1/3もないだろう。つまり実質30〜40分くらいの話。やっぱり「2」はつなぎと言うことか。それもレベルの低い。ということはビデオというかDVDで言えで見れば充分ではないだろうか。大スクリーンで見るべき見せ場もほとんどない。失恋で落ち込むシケた顔を、シネスコ画面で大写しにして長時間見せるなんて信じられない。そういう趣味の人なら話は別だが。4部作と言うから、次をどうしたものか。

 失恋話のほかは、まるで「アンダーワールド」(Underworld・2003・米/独ほか)の話そのまま。狼族(ライカン)VS吸血鬼(ヴァンバイア)の戦いではないか。そして冒頭に本が出るように、「ロミオとジュリエット」がモチーフになっている。しかも事件を起こせば彼に会えるというのでは、「八百屋お七」そのもの。こんな原作が世界でシリーズ累計7,000万冊も売れたのだろうか。

 ヒロインのベラ・スワンは前作から引き続きクリスティン・スチュワート。すべては自分のせいなのに「私のために争わないで」って、お前は竹内まりやか。使っていたノートPCはMacBookの黒。相手役のエドワードも引き続きロバート・パティンソン。ベラのクラス・メイトで金髪美人のジェシカもアナ・ケンドリック、エドワードの美人の妹アリスもアシュリー・グリーンが続投。ベラの父もビリー・バーク。

 前作も出ていたが、新しいベラの恋人役になって存在感が大きくなるジェイコブにテイラー・ロートナー。これまではTVで活躍していたらしい。ちょっとエキゾチックな魅力があり、なかなかのイケメンにしてマッチョ。すぐシャツを脱ぐが……。

 イタリアのヴォルトゥーリ族の長アロを演じたのはマイケル・シーン。「アンダーワールド」(Underworld・2003・米ほか)のライカン族の長や、「クィーン」(The Queen・2006・英ほか)のトニー・ブレア首相、「フロスト×ニクソン」(Frost/Nixon・2008・米ほか)のフロスト役など、毎回感じが全く違って、どちらかというと性格俳優みたいな人か。控えている作品は5本ほどある。

 その配下の若い男の1人、アレックはキャメロン・ブライト。すっかり大人っぽくなってしまったが、天才子役として注目され、「アダム ―神の使い 悪魔の子―」(Godsend・2004・米/加)ではロバート・デ・ニーロと、「記憶の棘」(Birth・2004・米/独)ではニコール・キッドマンと、「ワイルド・バレット」(Running Scared・2006・独/米)でポール・ウォーカーと、「ウルトラヴァイオレット」(Ultraviolet・2006・米)でミラ・ジョボビッチと、「X-MEN:ファイナルディシジョン」(X-Men: The Last Stand・2006・加ほか)でヒュー・ジャックマンらと共演している。

 同じく配下の若い女の1人、ジェーンはダコタ・ファニング。彼女も天才子役といわれていたので、特殊能力を持ったヴァンパイア役はびったりだったのかも。つい最近「PUSH光と闇の能力者」(Push・2009・加ほか)に出ていたばかり。

 脚本はメリッサ・ローゼンバーグ。前作も手がけているが、主にTVの脚本を手がけていた人で、「The O.C.」や「デクスター 〜警察官は殺人鬼」、「CIA:ザ・エージェンシー」などの話題作を書いている。アクション系も書ける人のようだが、本作には向いていなかったのかも。

 監督は前作のキャサリン・ハードウィックから変わってクリス・ワイツにバトン・タッチ。プロデューサーの気に入らなかったのか。しかし前作はIMDbで5.9点で、本作はなんと4.6点。結果は裏目に出たようだ。もともとはTVのプロデューサーだった人で、脚本も書くが、監督作品は少ない。たぶん続編は作られないだろう、あのガッカリだった鳴り物の入りの大作ファンタジー「ライラの冒険 黄金の羅針盤」(The Golden Compass・2007・)を監督・脚本を手がけた人。なのになんで本作を任せちゃったんだろう。

 満月がゆっくりと欠けていき新月(真っ黒)になると、ニュー・ムーンの文字が現れる見事なタイトル。デザインはロケット・スタジオとか何とか……読み取れなかった。

 銃は山狩りで父役のビリー・バークがボルト・アクション・ライフルを持っており、助手らしいハリーが水平二連ショットガンを持っていたようだった。

 わずかだが、コピー防止らしいドットがある画面があり、気になった。

 公開2日目の初回、新宿の劇場は前日に座席を予約しておいて、25分前くらいに到着。時間があったのでコーヒーを買ったが、値段の割りに量が少なく、たいしてうまくない。スタバから買ってきたいところだが、持ち込み禁止。ケチ。

 15分前くらいに開場。若い人がとても多く、高校生くらいが目立っていた。おそらく8割くらいが若い人たち。女性も多く、外国の女性も数人いた。男女比は3対7か2対8くらいで女性の方が多かった。最終的に607席に3割くらいの入りは、この出来では妥当というかしようがないのでは。

 やや暗くなって始まった予告で気になったのは……ファンタジーのようでどこか不気味な「アリス・イン・ワンダーランド」。この辺がティム・バートンなのだろう。しかし興味がわく。

 上下マスクの「ラブリーボーン」は驚異的なファンタジー的映像と、殺人事件という血なまぐさい世界をくっつけたところがスゴイ。さすが「乙女の祈り」(Heavenly Creatures・1994・英ほか)のピーター・ジャクソン監督。怖そう。

 怖いといえば「THE 4TH KINDフォース・カインド」は日本語吹替予告に。この実験映画的作品は面白いのか。気になる。

 ミュージカル「NINE」はスクリーンがシネスコになってからの予告。絵が素晴らしい。スゴイ迫力。それだけで見たい。


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