Uchu Senkan Yamato


2009年12月13日(日)「宇宙戦艦ヤマト・復活篇」

2009・ヤマトスタジオ/「宇宙戦艦ヤマト 復活篇」製作委員会・2時間15分

ビスタ・サイズ/ドルビーデジタル、dts



公式サイト
http://yamato2009.jp/
(うまく表示されないことも。全国の劇場案内もあり)

2220年、それ自体が生命体のように移動するカスケード・ブラックホールが発見され、進路にある惑星を飲み込みながら地球へと向かっていた。そこで人類は地球から2万7千光年離れたところにある惑星アマールの月、衛星へと移住する計画を実行に移す。しかし、第一次、第二次移民船団が、それぞれ別の宇宙船団に襲撃され甚大な被害を出す。そこで、地球は回遊惑星アクエリアスの中に埋まっていた宇宙戦艦ヤマトを修復し、辺境にいた古代進(声:山寺宏一)を呼び戻すと艦長に任命し、第三次移民船団の護衛に付ける。宇宙戦艦ヤマトを待ち受けていたのは、SUS国に主導された惑星連合の艦隊群だった。

70点

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 メカ・デザインはハリウッド調で、なかなかいい感じ。3D-CGは大スクリーンで見る価値があると思う。パチンコのコマーシャルを越えるリアルさと迫力。ただかなり「スターウォーズ」っぽくはある。

 ストーリーは、人類の危機をまた宇宙戦艦ヤマトが救うというもので、描かれていることは一緒。設定が変わっただけ。しかも続編が作られる前提なので、謎を残して終る。「第一部 完」というのはどういう意味なのだろうか。

 しかも長く、途中で何度か気を失いそうになった。最初のTV放送の時にコスモクリーナーとかイスカンダルとか、ワープとか波動砲とか、戦艦大和がベースの宇宙船とか、SFの部分に興味があって何回か見たが、結局、違和感があって、前部見なかった。その原因が、TV版を再編集した劇場版をTVで見て、本作を劇場で見たら、わかったような気がした。非常に強い軍国主義、それも第二次世界大戦の旧日本軍を感じさせる古い軍記物を見ているような印象がとても強いのだ。それが第二次世界大戦を描いた戦記物などから漂ってくるのなら違和感はないのだが、未来を描くべきSFから漂ってきたので違和感が合ったのだ。原案は石原慎太郎。そして、もっとも盛り上がるところで、どうにも違和感のあるクラシックのピアノ曲。うーむ。

 ただ、TV版も映画版も何作も作られているのだから、違和感を感じないというか、そこが良くてファンになっている人もいるというか多いのだろう。ボクにはやっぱり合わなかった。これはもらった招待券があったから見たが、自腹だったら見なかった。よかった、自腹でなくて。

 佐渡酒造とかアナライザーとかTV版から引き継がれたキャラクターも少しあるが、ほとんどは松本零士のキャラクターとは違っている。タッチも全く違う。これも違和感の原因かも。エンディングで特大サイズの文字で西崎義展と出るから、非常に強い個人的な作品なのかもしれない。

 テレビ版から共通する声の出演は、真田志郎が青野武、佐渡酒造が永井一郎、アナライザーが緒方賢一というところか。デスラー総統の伊武雅刀はゴルイ提督を担当。古代進は冨山敬から山寺宏一にバトンタッチし、森雪改め古代雪は麻上洋子から由愛典子へ。ナレーションは木村幌から羽佐間道夫になった。そして徳川彦左衛門の息子、徳川太助は古谷徹が当たっている。

 企画・原作・製作総指揮・監督を1人で務めたのはシリーズの生みの親とも言うべき西崎義展。今回はごたごたのあった漫画家の松本零士の名前はどこにもない。

 共同脚本の石原武龍はテレビ・ドラマの「浅見光彦」シリーズを手がけている人。また富岡淳広はTVアニメをたくさん手がけている人。

 宮川秦の有名なテーマソングはアレンジを変えて残されていたが、「イスカンダルへ」というフレーズはもう関係なくなっているためちょっと違和感が。

 素晴らしいメカ・デザインは小林誠。TVアニメ「機動戦士ガンダムZZ」(1986)、「AFRO SAMURAIアフロサムライ」(2006)、劇場アニメ「ブレイブストーリー」(2006・日)などを手がけている。

 総監修は舛田利雄。実際のところ何を担当しているのか良くわからない。TV版でも監修を担当。たしかに、かつての軍記物の雰囲気はこの人のお陰かも。名作「錆びたナイフ」(1958・日)、「太陽への脱出」(1963・日)「赤いハンカチ」(1964・日)、「嵐を呼ぶ男」(1966・日)などの石原裕次郎作品を手がけているほか、「零戦黒雲一家」(1962・日)、「あゝひめゆりの塔」(1968・日)、「トラ・トラ・トラ!」(Tora! Tora! Tora!・1970・米/日)、「二百三高地」(1980・日)なども手がけている。

 乗組員の腰には南部十四年式をモチーフにしたようなピストルが、クロス・ドローで装着されていた。

 公開2日目の初回、新宿の劇場は全的指定で、前々日に座席を用意しておいて、20分前くらいに到着。やはり15分前ほどに開場。下は親がファンらしい幼稚園生くらい、中学生くらいも少しいたが、メインは中高年。TVで見た世代だろう。男女比は6対4くらいで、意外と女性も多かった。この強軍国色になぜ? これも本編が始まってからもぞろぞろ入ってきたので、ハッキリとはわからないが、最終的には157席に8割りくらい入った模様。こんなに多いとは思わなかった。

 正直なところ、招待券をもらったので見たが、自腹だったら見なかったと思う。3D-CGは気になったけど。

 気になった予告編は……ってほとんどがアニメの予告ばかり。客層に合わせているんだろうか。ピカチュー、ドラえもん、コナン、クレヨンしんちゃん……どれも鉄板だろう。異色なのはゲームのアニメ化「レイトン教授と永遠の歌姫」か。実写は「アバター」と「ウルルの森の物語」の2本のみ。


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