The Fourth Kind


2009年12月19日(土)「THE 4TH KIND フォース・カインド」

THE FOURTH KIND・2009・米・1時間39分(IMDbでは98分)

日本語字幕:丸ゴシック体縦横&下、今泉恒子/シネスコ・サイズ(ビデオ、フィルム)/ドルビーデジタル、dts、SDDS(IMDbではドルビーデジタルのみ)

(米PG-13指定)

公式サイト
http://wwws.warnerbros.co.jp/the4thkind/
(全国の劇場案内もあり)

本作の監督オラトゥンデ・オスンサンミ(本人)は、当事者の心理学者のアビゲイル・タイラー博士(ビデオ=本人、再現=ミラ・ジョヴォヴィッチ)に、事件の顛末をインタビューする。彼女は、2000年10月、アラスカ州のノームの町で睡眠障害のカウンセリングを行っていた。3人の患者が語ったのは、きまって深夜3時頃に目が覚め、すると白いフクロウが自分をじっと見ているというもの。そしてドアの外に何かいるのだが、その先は覚えていないという。そこでタイラー博士は患者を催眠退行させ、何があったかを思い出させることにした。しかし、ドアを開ける段になると、患者たちは恐怖のために暴れ出し、すぐに催眠を解かなければならなかった。その翌日、その患者の1人が家族を人質に立てこもり、銃を妻につきつけて、かけつけた警官たちにタイラー博士を呼べという。博士が到着すると、眠れなかった理由がわかったという。そしてもう見なくて済むと、家族を射殺した後、自分も自殺してしまう。警察は博士の催眠療法が事件を誘発したとみて、博士を監視下に置くことにする。するととんでもない事が起きる……。

70点

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 映画というよりTVの特番の雰囲気。ただし、記録映像と再現フィルムをスプリット・スクリーンで並立して見せるなどのためシネスコ・サイズの画面なので、TVではやりにくいのかもしれない。しかし内容的にも、構成的にもTV特番。一言でいえばUFOのアブダクションもの。催眠退行を行うと、ほとんどの人が宇宙人にさらわれた過去を語ると言われているが、はたしてそれは催眠の影響なのか、本当にあったことなのか。信じるか信じないかは、あなた次第(byハローバイバイ関)という感じ。

 そんな構成なので、全体の物語としての盛り上がりもあまりなく、謎解きも解決もない。ただ関わった人々の空しい現状が字幕で出るだけ。そして残る疑問は、ビデオ映像は本物なのだろうかということ。たしかに怪しげなことが起こっているのは間違いない。それをかたくなに否定する人がいて、一方、宇宙人による誘拐だと主張する人がいる。

 本物かどうかわからないが、驚きのビデオ映像というのは、ほとんど予告で使われたもの。かろうじてタイラー博士の自宅を監視するパトカーからのビデオ映像と宇宙人のシュメール語が驚きだが、あとはほほ劇場予告やTV・CMで見たものばかり。もう少し予告編の作り方を工夫した方が良いと思う。とはいえ、安直にお笑いの人とか有名人を使うのは得策とは思えないし、まさに工夫だろう。絶対に見せ過ぎは良くない。予告もCMも見るのはタダだ。劇場で本編を見る人は皆お金を払っているのだから。

 スプリット・スクリーンを使い、実際の映像とされるものと再現フィルムを系列して見せたり、それに合わせて音声が左右別々に出たり、演出はうまい。ただ、再現フィルムもドキュメンタリー・タッチを出すためかカメラが動きまくり。固定ショットでも微妙にゆらゆらと揺れ動く。シネスコの横長画面になると軽い車酔いのようになる。止めて欲しい。

 ちなみに、アメリカのUFO研究家ジョセフ・アレン・ハイネック博士(「未知との遭遇」に出演していた人)が作ったUFO接近遭遇事件の分類によると、第一種接近遭遇とはUFOを至近距離から目撃したケース。第二種接近遭遇はUFOが何らかの痕跡や影響を残したケース。第三種接近遭遇とは宇宙人とのコンタクトや接触したケース。第四種接近遭遇は宇宙人に誘拐されたり人体実験されたケース。つまり本作は宇宙人による誘拐・人体実験事件。

 劇中、これは「キッドナップ」(誘拐)ではなく「アブダクション」(拉致)だと言っていたが、どう違うのかよくわからなかった。

 アビゲイル・タイラー博士を演じたのはミラ・ジョヴォヴィッチ。「バトオハザードIII」(Resident Evil: Extinction・2007・仏/豪ほか)のあと1年ほど間があいたが、もどってきた。このあとは怒濤の新作クラッシュの模様。劇中、夫が使う銃はベレッタM92のシルバー。

 家族を人質にとり4インチ・リボルバーを振り回すトミー・フィッシャーを演じたのはコーリイ・ジョンソン。「ボーン・アルティメイタム」(The Bourne Ultomatum・2007・米/独)にも出ていた人。悪役が多い感じの人。

 同僚の仮名の心理学者アベル・カンポスを演じたのはイラテアス・コーティーズ。悪役が本当に多い人。本作は珍しい。スナイパー映画「ザ・シューター/極大射程」(Shooter・2007・米)でも憎たらしい男を演じていた。

 本作で最も嫌な男(とはいえ実際はまともな方なのかも。いわば常識人の代表)、オーガスト保安官を演じたのはウィル・パットン。ジョン・トラボルタの出た「パニッシャー」(The Punisher・2004・米/独)の悪役、最近日本で劇場公開れたのは「マイティ・ハート/愛と絆」(A Mighty Heart・2007・米/英)だったろうか。

 ストーリー、脚本、監督は1977年ナイジェリア生まれのオラトゥンデ・オスサンミ。アメリカの大学を卒業後、ジョー・カーナハン監督のアシスタントとして「スモーキン・エース/暗殺者がいっぱい」(Smokn' Aces・2007・英/仏/米)に関わり、「II」では共同脚本を担当しているらしい。監督作品としては4作目になるらしい。どれも日本公開はされていないようなので、実力のほどは不明。本作だけでは何とも……。

 冒頭にタイトルは出ず、エンディングで出る仕掛け。エンディングの文字は流れるように消えていく見せ方で、いいセンス。アンドリューなんとかという人だったが、全部読み取れなかった。

 公開2日目の初回、といっても新宿の劇場はお昼頃からだったが、前日に座席を確保しておいて、30分前くらいに到着。10分ちょっと前に開場。下は小学生くらいからいて、中学生くらいもちらほら。若い女性も多かった。もちろん中高年もいて、年齢層は割りと幅広い感じ。男女比は5.5対4.45くらいでやや男性が多かったか。

 場内がほぼ暗くなって予告が始まった時点では127席に6.5割くらいの入りだったが、まだまだ人が入ってきて、本編が始まっても入ってきていたので、最終的には9割くらい埋まった模様。座席数が少ないので、多いのかどうかよくわからないが、まあまあなのでは。

 暗くなって始まった予告で気になったのは……上下マスクの「アバター」は吹替版の新予告。公開が近いので、かなり内容がわかるようになっている。CGショーでなければいいが。ただ他の3D上映映画とは、システムやカメラの開発から関わっているので、違っているかもしれない。

 なんとあのハリーハウゼン最後の映画がリメイクされるらしい。リアルなゴーゴンやサソリがCGの力によって違和感なく画面に登場している上下マスクの「タイタンの戦い」には驚かされた。「300」風の絵に、「パンズ・ラビリンス」風のクリーチャー。いいかも。

 予告編だけで感動する上下マスクの「インビクタス」これは見たい。


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