A Perfect Getaway


2010年1月23日(土)「パーフェクト・ゲッタウェイ」

A PERFECT GETAWAY・2009・米・1時間37分(IMDbでは98分、ディレクターズ・カット版108分)

日本語字幕:細丸ゴシック体下、神代知子/シネスコ・サイズ(マスク、Super 35、by Panavision)/ドルビー・デジタル、dts(IMDbではドルビーデジタルのみ)

(米R指定、日R15+指定)

公式サイト
http://www.perfect-getaway.jp/pc/
(音に注意、全国の劇場案内もあり)

新婚のクリフ(スティーヴ・ザーン)とシドニー(ミラ・ジョヴォヴィッチ)は、新婚旅行でハワイのトレッキング・コースを選んだ。スタート地点まで車で行く途中、ヒッチハイクしている怪しげなケイル(クリス・ヘムズワース)とクレオ(マーリー・シェルトン)のカップルと出会うが、方向が違うので乗せずに別れる。その後、ホノルルで殺人事件があり、男女二人組が犯人だったことを知る。トレッキング・コースが初めてのクリフとシドニーは、途中で出会ったトレッキングに慣れた男、ニック(ティモシー・オリファント)と出会い、一緒にトレッキングすることにする。やがてニックの彼女ジーナ(キエレ・サンチェス)と合流するが、森の中でケイルとクレオと遭遇する。

70点

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 うーむ、これは……犯人が途中で解ってしまうなあ。一応3組6人の男女が容疑者ということになっているが、ほとんど1組は思わせぶりであまり出てこないので、2組のどちらかということになり、おのずと答えが出てしまう。これではパーフェクトでなく、中途半端ゲッタウェイだなあ。

 しかも3組とも嫌なヤツらばかりで、魅力がない。どんでん返しのための設定が強引で、こういうキャラクターにせざるを得なかったのだろうが、これでは観客がどの人物にも感情移入できない。

 さらに言えば、構成はサスペンスなのに、まるで安物のホラーのように音で脅かす仕掛けが開始早々からこれでもかと仕掛けられている。脚本も演出も、どこか間違ってしまったのではないだろうか。唯一の救いはミラ・ジョヴォヴィッチがうまいこと。さすがの演技。それと舞台がハワイだということくらいだろうか。残念。

 おまけに、観客をミスリーディングするための設定が納得できないというか、おかしい。どう考えても、違うんじゃないかと。全く伏線になっていない。オシッコの振りして相談するのも、後から考えるとどうにもおかしい。これはフェアじゃない。フェアじゃないけど、犯人は解る。これって、どうよ。

 つい最近ホラーの「フォース・カインドTHE FOURTH KIND」(The Fourth Kind・2009・米)に出ていたミラ・ジョヴォヴィッチは、うまい。前半と後半のコントラストが鮮やかで、それぞれ説得力がある。今後公開が控えているかもしくは製作に入る作品が5本もあるそうで、ものすごい人気。ノリにノっている。

 その彼氏役のスティーヴ・ザーンは、もともとチンピラ的なイメージの役が多い人で、端から怪しい。そういう時はたいてい失敗している。ポール・ウォーカーの「ロードキラー」(Joy Ride・2001・米)も酷かった。コミカルや役も多いが、そっちのほうは悪くはないようだ。「サハラ 死の砂漠を脱出せよ」(Sahara・2005・英/西ほか)はちゃんと笑えておかしかった。

 特殊部隊の男ニックはティモシー・オリファント。この前「ダイハード4.0」(Live Free or Die Hard・2007・米/英)に悪役で出ていた人。この人と認知するようになったのは「ヒットマン」(Hitman・2007・仏/米)だったろうか。何とハワイ生まれなんだとか。

 その彼女ジーナを演じたのはキエレ・サンチェス。主にTVで活躍している人で、どこかで見たなあと思ったら、「Lost」のシーズン3にニッキー役で出ていたらしい。

 脚本・監督はデヴィッド・トゥーヒー。これまでSF系で実力を発揮してきた人。日本ではどの作品も扱いが小さいが、時間旅行を描いた「グランド・ツアー」(Timescape・1992・米)はとても面白かったし、宇宙人の地球班略を描いたSF「アライバル」(The Alrrival・1996・米/メキシコ)も面白かった。続くアクション・スリラーSFの「ピッチ・ブラック」(Pitch Black・2000・米)も恐くて良かった。第二次世界大戦時の潜水艦を舞台にしたサスペンス・ホラー「ビロウ」(Below・2002・米)も普通に良かったが、本作はそうはいかなかったと。珍しく失敗か。やっぱりSFでいけばよかったのかも。あるいは、ホラーとか。

 登場する銃はリング・ハンマーのガバメント。警察はM16ライフル。ビデオカメラはソニーのハイビジョンHDV1080i。

 公開初日の初回、新宿の劇場は全席指定で、前日に座席を確保しておいて、30分前くらいに到着して、劇場内に持ち込み禁止のコーヒーを飲みながら待つと、15分前くらいに開場。関係者らしい一団が大挙15人くらい入口付近にかたまっていてじゃま。この時点では観客は10人ほどで、関係者の方が多かった。2〜3人で充分だろう。

 始まってもまだまだ入ってきて、よくわからないが、たぶん最終的に157席に8割りくらいの入り。この出来では今後増えるとは思えない。老若比は半々くらい。意外と若い人も多かったのはミラ・ジョヴォヴィッチのおかげか。女性はたぶん30人前後。

 気になった予告編は、上下マスクのリュック・ベッソンがひさびさにメガホンを取るらしい「アデル」は、ティーザーで、まったく内容はわからない。ただ女性が戦うらしく、それもかなり強い女なんだとか。7/3公開予定。日本の公式サイトはまだなしの模様。

 デンゼル・ワシントンが人類最後の1冊の本を運ぶというSFアクション、上下マスクの「ザ・ウォーカー」は背中にソード・オフ・ショットガンを吊り、USPをセカンダリーで使うようだ。そしてすっごいナイフ。ハイパワーも登場する。ちょっと「アイ・アム・レジェンド」っぽかったが……。6/19公開予定。

 上下マスクの「シャッター・アイランド」は、シリアスなサスペンス・ドラマらしいのに、超日本語版の上映もあるらしく、逆に非常に心配。だまされる楽しさねえ。どうなんだろう。

 ヒュー・グラントとサラ・ジェシカ・パーカーのコメディーっぽい上下マスク「噂のモーガン夫妻」は予告だけではまったくわからない。おもしろいのか。


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