Surrogates


2010年1月24日(土)「サロゲート」

SURROGATES・2009・米・1時間29分

日本語字幕:手書き風書体下、戸田奈津子/シネスコ・サイズ(マスク、Super 35、by Panavision)/ドルビー・デジタル、dts、SDDS

(米PG-13指定)

公式サイト
http://www.movies.co.jp/surrogate/
(音に注意、全国の劇場案内もあり)

今から14年前、キャンター博士(ジェームズ・クロムウェル)は猿の実験で脳で考えただけでロボットの腕が動かせるシステムを完成させる。そして11年前、兵士のロボットが作られ、身代わりロボット“サロゲート”として使うことが議会によって承認された。そして7年前、そのロボットを作る会社VSI社が設立され一気に普及。現在では全世界の98%もの人が身代わりロボットを使うようになり、誰もが安全に暮らせるようになった。これにより犯罪も減少した。ところが3年前、身代わりロボットに反対する人々が蜂起、サロゲートを使わない“独立区”を作って生活を始めた。そして、現在、ある青年のサロゲート(ジェームズ・フランシス・ギンディ)が何者かによって破壊されたが、なぜかコントロールしていた生身の青年までもが死亡してしまう。捜査に乗り出したFBIのジェニファー・ピータース(ラダ・ミッチェル)とトム・グリアー(ブルース・ウィリス)の2人は、死んだ青年がキャンター博士の息子であることをつきとめ、さらに、誓われた武器が軍用として開発され、欠陥が見つかって破棄されたものであることが判明する。

73点

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 なかなか楽しめるSFアクション。ちょっと「アイ、ロボット」(I, Robot・2004・米/独)と似た感じの物語。そしてロボットを操縦するという点ではやっぱり「HINOKIO ヒノキオ」(2005・日)とイメージがダブる。そしてちょいと「A.I.」(Artificial Inteligence: AI・2001・米)と「アバター」(Avatar・2009・英/英)のような感じも。それでも、人形のようにきれいなサロゲートと、生身の対比が面白く、かつ事件の謎解きも面白いので、おもわず物語の世界に入り込んでしまう。

 しかもサローゲートの外観は操縦者が自由に決められるので、デブのオヤジがブロンド美人だったりというのもあり、ネット社会を反映しているようで面白い。基本的には自分の若い頃、絶頂期を模しているようで、そのギャップも楽しめた。ブルース・ウィリスは、まさに若い頃こんなだっただろうなあという容姿。

 最初は身体障害者の失われた機能を補うために使われていたのが、やがて戦場で戦う兵士に発展し、ついには日常的なものになっていくというくだりは結構説得力があった。ただ、やっぱり展開には強引なというか、設定が甘いというか、無理なところもあって、そこが少々気にならなくもなかった。すべてのサロゲートを壊したら、空を飛んでる航空機や、原子力発電所や、いろんなものが大変なことになるのでは? 大いに気になった人は楽しめなかったかもしれない。

 やっぱり顔などは「アイ、ロボット」のように樹脂の方が本当っぽいと思うが、「ターミネーター」(The Terminator・1984・英/米)のイメージが強過ぎるのか、金属の骸骨的なものになっている。そして本体が故障してレンタルのものを使っているというアパートの大家は、ほとんど「A.I.」のロボット。このへんはもっとオリジナリティを出して欲しかった。

 使われていた銃は……サロゲートとオペレーターを殺したのは架空の兵器だがちょっとテーザー銃のようなデザイン。未来のFBIが使っていたのはグロック。独立区のオバサンが持っていたのは水平二連ショットガン。ほかにAKを持っているものも。追う側はM4カービン。博士の護衛が持っていたのは.357マグナムの2.5インチくらいのステンレス・リボルバー。これを奪ってブルース・ウィリスも使う。ラスト近くでラダ・ミッチェルが使うのはステンレスのPPK。

 ブルース・ウィリスは、毛もふさふさで若くてはつらつとした30代くらいに見える若い頃の姿をしたサロゲートも演じており、勇気があると言うかがんばっている。作品を吟味して出演しているようで、あまり外すことはない。最近作は「ダイ・ハード4.0」(Live Free or Die Hard・2007・米/英)。公開を控えている作品が5本ほどもある。さすが売れっ子。

 相棒のFBI捜査官ジェニファー・ピータースを演じたのはオーストラリア生まれのラダ・ミッチェル。古くはホラーSF「ピッチブラック」(Pitch Black・2000・米)でヒロインを演じていた人。デンゼル・ワシントンの「マイ・ボディガード」(Man on Fire・2004・米/英)でダコタ・ファニングの母役を演じ、コナミ原作のホラー「サイレントヒル」(Silent Hill・2006・加/仏/日/米)では娘を助けに行く母親を演じるなど大活躍。その後、日本劇場未公開作品が続いたが、久々の公開となった。

 ブルース・ウィリスの妻、マギーを演じたのはボンド・ガールのロザムンド・パイク。「007/ダイ・アナザー・デイ」(Die Another Day・2002・英/米)のあと「DOOMドゥーム」(Doom・2005・英/チェコほか)や「プライドと偏見」(Pride & Prejudice・2005・仏/英)に出て、ちょっと間が空いて本作という感じ。本作ではブルース・ウィリス同様、ベストの外見を持つサロゲートと、肌がボロボロでスッピン、老女のような姿も演じていて、俳優はつらい商売だなあと思わせられる。演出とはいえギャップがスゴイ。美人なのに。

 怪しいキャンター博士はジェームズ・クロムウェル。将軍とか重役とかそんな役が多い人。「アイ、ロボット」でも似たような役を演じていた。それを逆手に取ったのだろうか。動物ファンタジー「ベイブ」(Babe・1995・豪/米)のホゲットさんみたいな役や、「将軍の娘/エリザベス・キャンベル」(The General's Daughter・1999・独/米)の将軍役、最近では人気TVドラマ「24」(24・2007・米)のバウアーの父親役などを演じている。

 FBIの上司ストーンを演じていたのは、オーストリア生まれのボリス・コドジョー。非常に整った顔立ちのスキンヘッド。どこかで見たなあと思ったら、とても残念だったSFアクション「ST3」(Starship Troopers3: Marauder・2008・米/南ア/独)に将軍役で出ていた。

 原作はブレット・ウェルデレのイラストらしい。それをロバート・ヴェンディティがグラフィック・ノベルにし、ジョン・D・ブランカトーとマイケル・フェリスの2人が脚本にしたらしい。2人は大学の同級生で、ほとんど一緒に仕事をしているらしい。主な作品にサンドラ・ブロックの「ザ・インターネット」(The Net・1995・米)、デヴィッド・フィンチャーの「ゲーム」(The Game・1997・米)、同じく同級生だったジョナサン・モストウ監督と組んだ残念な「ターミネーター3」(Terminator 3: Rise of the Machines・2003・米/独/英)、そしてつい最近、なかなか面白かった「ターミネーター4」(Terminator Salvation・2009・米/独ほか)などを手がけている。最新作「xXx」は現在製作中。

 監督はジョナサン・モストウ。カート・ラッセルのアクション「ブレーキ・ダウン」(Breakdown・1997・米)、潜水艦映画「U-571」(U-571・2000・仏/米)、「ターミネーター3」などを撮っている。アクション系が得意なようだ。

 公開3日目の2回目、新宿の劇場は金曜日に座席を確保しておいて、20分前くらいに到着。10分ちょっと前に開場となり、場内へ。若〜中高年までいたが、意外なことに2/3は若い人たち。しかも女性が1/3と意外に多め。オジサンばっかりかと思ったのに。最終的に127席に9割りほどの入り。ブルース・ウィリスなのに小さな箱だが、入りはまあまあか。

 気になった予告編は……デンゼル・ワシントンの「華氏451」(Fahrenheit 451・1966・英)みたいな設定のSFアクション上下マスクの「ザ・ウォーカー」はなかなか面白そう。6/19公開だからずいぶん先。

 実写と3D-CGの合成の上下マスク「Gフォース」は新しい予告。内容がわかるものになってきた。日本語吹替での予告だったが、意外と大人でも楽しめそうな本格的な絵作り。どうだろう。

 上下マスクの「トイストーリー3」はまたまた泣かせてくれそう。3Dの上映もあるらしい。会わせて「1」と「2」の3D版も公開されるのだとか。こちらは7月公開。

 上下マスクでなかなかタイトルが出なかったのは「プリンス・オブ・ペルシャ 時間の砂」。ジェイク・ギレンホークが良い感じ。ベン・キングスレーも出ているし、ちょっとCG臭かったが、大冒険の予感。面白そう。5/28なのか8月なのか良くわからない。


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