Tekken


2010年3月21日(日)「TEKKEN 鉄拳」

TEKKEN・2009・日/米・1時間33分(IMDbでは米版92分)

日本語字幕:手書き風書体下、松崎広幸/シネスコ・サイズ(マスク、with Panavision、IMDbではHDCAM、Sony CineAlta)/ドルビー・デジタル(新マーク)、dts(IMDbではドルビー・デジタルのみ)

(米PG-13指定)

公式サイト
http://wwws.warnerbros.co.jp/tekken/
(音に注意、全国の劇場案内もあり)

近未来、テロ戦争の果て各国の政府は崩壊し、世界は生き残った8つの企業が支配することになった。アメリカを支配するのはTEKKENという企業で、自ら軍隊のようなスレッジハンマー(鉄拳隊)と呼ばれる組織を持ち、犯罪者の取締を行う一方で、毎年世界8企業の代表選手を集めて格闘技トーナメントを行っていた。これまで、一般参加者が予選を落ち抜いて決勝トーナメントに出場したことはなかった。ところが、母(風間隼、タムリン・トミタ)に育てられカンフーを教え込まれた息子のJIN(風間仁、ジョン・フー)は、父を殺した敵、TEKKENの総帥、三島平八(ケイリー=ヒロユキ・タガワ)に復讐するため、トーナメントに出場する決意をする。そして、予選でマーシャル・ロウ(カン・リー)を倒し、初めて一般参加で決勝トーナメント出場を決める。

70点

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 うーん、キャラクターはゲームの外見によく似ていると思うが、どうにも展開に無理がある感じ。そりゃ、映画はやっぱりゲームのようにはいかないだろう。ゲームは大きな飛躍があってもOKだが、映画にはある程度のリアリティが必要。そこがいまひとつ希薄な気がした。

 見所は、とにかくキャラクターだろう。カンフーというか格闘技は動きまくるカメラと細かいカット割りで、本当にうまいのか、凄いのか、それともできていないのかがわからない。筋肉はあるがとても格闘家には見えない美女の格闘シーンが、それなりに見えている。そういう意味では、この監督の演出はうまいのだと思う。ただ、出来すぎていてスゴク見えない。まあ、その美女も見どころの1つではあるのだが。特にお尻の割れ目まで見えるドレスはエロい。

 世界観としては、近未来SF的なものだが、日本の要素の取り込みかたが、例によって中途半端。日本語のセリフもちゃんとあるが、日本人の設定の人のセリフが全員たどたどしく、かえって不自然。吹替にすれば良かったのに。スレッジハンマー(鉄拳隊)なんて、剣道の防具を着けてるもんなあ。

 主人公の風間仁を演じたのはジョン・フー。中国人とアイルランド人のハーフ。イギリスで武術を習得し、何本か映画に出た後、ジャッキー・チェンのスタント・チームに招かれ香港映画に出演、それをきっかけに「トム・ヤン・クン!」(Tom Yum Goong・2005・タイ)にも出演したらしい。このときはジョナサン・パトリック・フー。「ユニバーサル・ソルジャー」の新作にも出ているらしいが、その出来次第かなあ。

 TEKKENの総帥、三島平八はケイリー=ヒロユキ・タガワ。有名になったのは傑作「ラストエンペラー」(The Last Emperor・1987・伊/英/中/仏)の溥儀の教育係役。話題作からB級までいろいろ出ているが、最近ではこれまた傑作「SAYURI」(Memories of Geisha・2005・米)、「HACHI約束の犬」(Hachiko: A Dog's Story・2009・米/英)に出ていた。

 ヒロインのクリスティ・モンテイロはケリー・オーバートン。日本でも有名な多くのTVドラマにゲスト出演している。映画ではジャパニーズ・ホラー「ザ・リング2」(The Ring Two・2005・米)に出ていたらしい。アクションははどうなんだろう。

 三島の息子、三島一八を演じたのはイアン・アンソニー・デイル。日本人とフランス系イギリス人のハーフとか。やはり日本でも有名なTVドラマにゲスト出演していて、「24」のシーズン6にも出ていたのだとか。うまい感じだったが、今後どうなのだろう。

 母の風間隼はタムリン・トミタ。「ベスト・キッド2」(The Karate Kid, Part II・1986・米)で注目を浴び、多くのTVドラマや「フォー・ルームス」(Four Rooms・1995・米)、ディザスター・ムービー「デイ・アフター・トゥモロー」(The Day After Tommorrow・2004・米)、香港映画の残念なリメイク・ホラー「アイズ」(The Eye・2008・米)などに出ている。悪党だらけの人気TVドラマ「HEROES/ヒーローズ」ではヒロ・ナカムラの母親役をやっていた。

 風間仁のマネージャー、スティーブ・フォックスを演じたのは、イギリスのミュージシャン、ルーク・ゴス。映画にも出ていて、ウェズリー・スナイプスの吸血鬼アクション「ブレイド2」(Blade II・2002・米/独)、ミシェル・ヨーがプロデュースしたアクション「シルバーホーク」(Silver Hawk・2004・香)など結構いい味を出している。最近はシリーズ第2作「ヘルボーイ/ゴールデン・アーミー」(Hellboy II・2008・米/独)に恐ろしいエルフの王子役で出ていた。

 黒人ファイター、レイヴンを演じたのは、格闘家かと思ったら実は優しい目をしているダンサーのダリン・デウィット・ヘンソン。白人ファイター、ブライアン・フューリーを演じたのは、イギリス出身のキックボクサー、ゲイリー・ダニエルズ。アジア人ファイター、マーシャル・ロウを演じたのはベタナム出身の総合格闘家カン・リー。本物も出ているわけだ。ただ、スクリーンからは違いがあまりわからなかった。ま、撮りかたがうまいというわけか。

 脚本はアラン・B・マッケルロイ。ブランド・リーのアクション「ラピッド・ファイアー」(・1992・米)や、コミックの映画化「スポーン」(Spawn・1997・米)、ルーシー・リューとアントニオ・バンデラスのアクション「バリスティック」(Ballistic: Ecks vs. Sever・2002・米/独)、スプラッター系ホラーの「クライモリ」(Wrong Turn・2003・米/独)などで、だいたいみなB級と呼ばれる作品。本作のできも似た感じになったのは当然かも。

 監督はドワイト・リトル。古くはスティーヴン・セガールの「死の標的」(Marked for Death・1990・米)、「ラピッド・ファイアー」などを手掛け、その後TVが増えて、「ミリニアム」や「Xファイル」、「24」、「プリズン・ブレイク」、「BONES」など人気シリーズを数多く手掛けている。TVはだいたい面白いので、TVの方が向いているのかもしれない。

 アクション監督はシリル・ラファエリ。フランス生まれのスタントマン出身で、多くの作品に関わったあと、リュック・ベッソン印で広末涼子が出た「ワサビ」(Wasabi・2001・仏/日)からファイト・コレオグラファーに。リュック・ベッソン作品を多く手掛けている。最近ではベッソン作品以外では「ヒットマン」(Hitman・2007・仏/米)を手掛けている。「トランスポーター2」(Transpoeter 2・2005・仏/米)も手掛けているだけあって、うまい。

 スタント・コーディネーターはエリク・ノリス。ブルース・リーの相手役を務めた武術家でアクション俳優のチャック・ノリスの末息子だそう。スタントから始まって最近はスタント・コーディネーターを手掛けるようになった。TVが多いようで、「プリズン・ブレイク」も手掛けている。

 公開2日目の初回、新宿の劇場は55分前くらいに着いたら誰も並んでいなかった。50分前くらいに1Fの扉が開いて、階段下へ。そして45分前くらいには早くも開場。これは嬉しかった。この時点で待っていたのは中高年2人とやや若い人1人。すべて男性。

 全席自由で、35分前くらいになって8〜10人くらい。15分前に30人くらいになって、なんと暗くなってCM予告が始まった。「はやっ!」 ほぼ男性のみ。みなゲームのファンだろうか。その後も入ってきていたが、50人いったかどうか。

 気になった予告は……ほとんど外の劇場で見たものばかりで、特に新しいものはなかった。あえていえば、カンニング竹山の「ねこタクシー」は初めて見たが、うーん、どうだろう、劇場で見る価値があるか。猫はかわいいけど。


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