Armored


2010年3月27日(土)「アーマード武装地帯」

ARMORED・2009・米・1時間27分(IMDbでは78分)

日本語字幕:手書き風書体下、太田直子/シネスコ・サイズ(マスク、with Panavison、Super 35)/ドルビー・デジタル、dts、SDDS

(米PG-13指定)

公式サイト
http://www.sonypictures.jp/movies/armored/
(f音に注意、全国の劇場案内もあり)

タイ・ハケット(コロンバス・ショート)はイーグル・シールド警備会社の新人で、ようやくセキュリティ・オフィサーの資格を取得した。しかし、両親を失ったばかりで収入が少なく、どうにか弟を学校へ通わせていたが、家が銀行に取られそうで、児童福祉局が乗り出し、弟を引き取ると言い出した。そんな時、同僚のマイク(マット・ディロン)から、仲間たちと自分たちが輸送担当する銀行の現金を強奪する話を持ちかけられる。家が無くなれば児童福祉局に弟を取られるため、誰も傷つけないという条件でしぶしぶ話に乗るが、廃工場で現金を隠しているところを紛れ込んでいた浮浪者に見られ、仲間のベインズ(ローレンス・フィッシュバーン)が撃ってしまう。

72点

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 うーん、これは……。基本的に出てくるのが悪い奴ばかりで、これでは警備会社の社員はみんなこんな荒くればかりだと思われてしまいそう。それなりに苦労して資格を取得してセキュリティ・オフィサーになっているのに、こんなバカばかりで自分の仕事に誇りも持っていないなんて。あまりに安直な発想では、とまず思ってしまう。話を面白くするための設定とは言え、酷いのでは。せめて巻き込まれるとかでないと、同情できない。ただ、映画としてはハラハラ、ドキドキで、展開やアクションはよく出来ている。

 もし脚本がうまくできていて、警備員が避けられずに悪党に巻き込まれて行くのなら、観客も感情移入してハラハラドキドキのドラマを楽しめたのに。かろうじて主人公のタイ・ハケットはバカなことを止めようと思い直すのだが、すでに手遅れ。止めるチャンスはあったのに、止めなかった。そこが問題。

 銃はこの警備会社の場合、グロックが標準装備になっているらしい。みなタクティカル・サイ・ホルスターで付けている。1人、ローレンス・フィッシュバーン演じるベインズだけ銃マニアのようで、ベネリのM4ショットガンがいいんだとセリフで言わせている。誰かが襲撃してくればこれが使えるのにと。ほかの仲間は悪魔の道具だといっている。パトロール警官が使っているのはベレッタのM92。銀行内の警備員はM4カービンを使っている。

 見どころはハラハラドキドキ感と、多彩な演者たちだろうか。

 主演のコロンバス・ショートはTVから映画にシフトしてきた人で、映画では青春ダンス・バトル・ムービー「ストンプ・ザ・ヤード」(Stomp the Yard・2007・米)、そしてつい最近ケイト・ベキンセールの南極ミステリー「ホワイトアウト」(Whiteout・2009・米/加/仏)に出ていた。まじめな感じがするところがこの人の持ち味か。

 先輩的な存在のマイクはマット・ディロン。コッポラ監督の「アウトサイダー」(The Outsiders・1983・米)なんかに出ていた頃はヤング・アダルト・スターなんて言われたが、もはや46歳。傑作群像劇「クラッシュ」(Crash・2004・米/独)でもちょっと本作につながるようなヒール的役回り。最近はパッとしない感じだが、本作は悪くはなかった。

 なんだか銃を撃ちたくてうずうずしているような根っからの悪というイメージの同僚のベインズにはローレンス・フィッシュバーン。コッポラ監督の「地獄の黙示録」(Apocalypse Now・1979・米)にも出ていたベテランで、同じくコッポラ監督の「ランブルフィッシュ」(Rumble Fish・1983・米)ではマット・ディロンと共演している。世界的大ヒット作「マトリックス」(The Matrix・1999・米/豪)が有名だが、ボクはSFホラーの「イベント・ホライゾン」(Event Horizon・1997・英/米)も好きだなあ。大活躍だがやっぱりこんな悪役が多いか。

 あまり存在感はないが、同僚のひとりがジャン・レノ。ボク的にはリュック・ベッソン監督の「最後の戦い」(Le dermier combat・1983・仏)が好きで、同じ監督の「レオン」(Leon・1994・仏)も良かったが、最近はいまひとつか。「ダ・ヴィンチ・コード」(The Da Vinci Code・2006・米)より第一次世界大戦青春映画「フライボーイズ」(Flyboys・2006・英/米)の方が良かった。

 ちょっと心が揺れて裏切りかける同僚にはスキート・ウールリッチ。公開延期などで話題になった「スクリーム」(Scream・1996・米)のサイコ野郎や、ギャング青春映画「ニュートン・ボーイズ」(The Newton Boys・1998・米)の末の弟、傑作西部劇なのに邦題で損をした「楽園をください」(Ride with the Devil・1999・米)などちょっとワルの役が多い。最近は話題になったTV「ジェリコ」(2006〜2008)の主役を演じていた。それからいくと本作はかなり小さい役。

 警備会社の上司、アシュ・クロフトはフレッド・ウォード。宇宙開発物語「ライトスタッフ」(The Right Stuff・1983・米)、「地獄の七人」(Uncommon Valor・1983・米)、第2作も見たかったアクション「レモ/第1の挑戦」(Remo Williiams: The Adventure Begins・1985・米)、SFアクション「トレマーズ」(Tremors・1990・米)など1980年代に大活躍。最近はあまり見かけなかった。久々に見たら、あまり活躍しなかったので残念。80年代の活躍ぶりからすればもっと重要な役だと思うじゃないか。

 同僚のもう1人、パルマーはアマウリー・ノラスコ。第1シーズンはそここ面白かった「プリズン・ブレイク」でスクレを演じていたスキンヘッドの人。映画ではおバカSF映画「トランスフォーマー」(Transformers・2007・米)や、それよりIMDbの点数は低いが面白かったキアヌーリーヴスのポリス・アクション「フェイクシティ ある男のルール」(Street Kings・2008・米)などに出ている。

 パトロール警官はマイロ・ヴィンティミリア。悪党ばかりが目立つ人気TVドラマ「HEROESヒーローズ」でピーター・ペトレリを演じていた人。繊細で誠実そうな感じがとてもいい。アメリカでは好評だった「ロッキー・ザ・ファイナル」(Rocky Balboa・2006・米)に息子役で出ていたらしいが、見ていない。

 問題がありそうな脚本はジェムズ・V・シンプソン(実際はプロデューサーの問題か?)。脚本は本作しか手掛けたことがないようで、IMDbにも詳細がない。公式サイトは名前だけ。だいたいキャストの解説すらないが。

 監督はニムロッド・アーントル。あの、面白かったスリラー「モーテル」(Vacancy・2007・米)を撮った人。どうりで緊張感の演出がうまいはずだ。これで脚本がもっとちゃんとしていれば面白いものになっていたはず。プロデューサーが「モーテル」の監督なら面白くできるだろうと選んだのか。確かに演出はうまい。キャストも贅沢だし。残念。

 公開初日の初回、新宿の劇場は全席指定。前日に確保しておいて、9Fのロビーに行くのに小さいエレベータしかなく混雑するので、25分前くらいに到着。17〜18分前くらいに開場して場内へ。ほぼ中高年の男性で、20人くらいの中で女性は3〜4人。若い男性も3〜4人。最終的には228席に3.5〜4割りくらいの入り。こんなものか。

 気になった予告は……上下マスク、マット・デイモンの戦争映画「グリーン・ゾーン」はアクション満載でなかなか面白そう。


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