ビスタ・サイズ/ドルビー・デジタル
前作の事件から15年後の2025年、東京は自衛官出身の相原公蔵(ガダルカナルタカ)が都知事となり、ゼブラ・シティと改名、完全自治を行っていた。ある一定時間をゼブラ・タイムとし、その間は何をやっても罪に問われず、治安維持を担当するゼブラ・ポリスによる一方的な犯罪者狩りも行われていた。ゼブラーマンこと市川新市(哀川翔)は行き倒れになっていたところをゼブラ・ポリスに発見され一斉射撃により重傷を負う。しかし市場純平(田中直樹)に助けられ、横浜市の救護キャンプ「白馬の家」に運び込まれる。一命をとりとめた市川新市は15年間の記憶が全くなかったが、そのキャンプの看護師がかつての市川新市の教え子、朝野晋平(井上正大)だった。そしてもう1人、謎の少女(永野芽郁)がキャンプにはいた。一方ゼブラ・シティの広告塔で人気アイドルのゼブラQこと相原唯(仲里依紗)は、姿を消していたエイリアンを探しだし、自分が黒ゼブラとして倒すことで、トップ・アイドルとして世界に君臨しようと企んでいた。そんなとき、新市と微妙なシンクロを見せる唯は、新市が少女と出会ったことで、エイリアンが「白馬の家」にいると直感する。
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いやー、まいった。眠かった。どうしたんだろう。前作とは雲泥の差。ギャグはすべてダダ滑り。客席はずっとシーンとしたまま。というか、最初からノルことなく、どんどん引いていくのがわかるという寒い映画。なぜ、オリジナルの監督と脚本家が組んでこんなことになるのか。前作がヒットしたご褒美で好きにやらせた結果か、それとも前作でやり尽くしたのに無理に続編を作らせた結果か。とにかく見どころは仲里依紗の過激なボンデージ・ファッションのみ(これは見る価値あり)。ほかは残念!!。 いろいろな映画へのオマージュというより、いただきが各所に。「エイリアン」(Alien・1979・米/英)だったり「時計じかけのオレンジ」(A Clockwork Orange・1971・英/米)だったり、「ブレードランナー」(Blade Runner・1982・米/香)、「アビス」(The Abyss・1989・米)、 自作のセルフ・オマージュ「殺し屋1」(2001・日)、「神さまのパズル」(2008・日)、「ヤッターマン」(2008・日)だったり……。作品が作品なので、どれも逆効果という感じ。これまた残念。 ストーリーもメチャクチャ。結局、自分自身の戦いで東京都民を巻き込むなという感じ。しかも最後の敵は前作の宇宙人だし。繰り返しじゃん。意図したことかもしれないが、まったく意味なし。最終的なゼブラ・スーツも白黒じゃなくて、黒赤だし……。ただ、仲里依紗のボンデージとゼブラ・ポリスはカッコ良かったし、タイトルの文字の見せ方も良かった。脚本も、演出も……ジョークがジョークにならず、「おふざけ」どころか「悪ふざけ」になっている。非常に、残念。 冒頭からとんでもないベタベタのコテコテのギャグで、ドン引き。せめて、小さなギャグから入って、観客が徐々にこの映画は笑っても良いんだという準備というか理解ができたところでベタなギャグはありだろうが、始まってすぐ全身を100発撃たれたとか、本人が起き上がって「死んでないよ」とか、ムリムリ。 ヒールを演じた仲里依紗は、吹っ切れたかのようなキレ演技。なかなかの迫力で良かった。全出演者中もっとも良かった気がする。過激な衣装も、「ブレードランナー」メイクもよく、エロ全開。上げ底気味ではあったが、21歳とは思えない巨乳の豊満バディ。「純喫茶磯辺」(2008・日)で注目されたらしいが見ていない。同様の小作品が続いて「時をかける少女」(2010・日)に主演。見ていないが予告で等身大でナチュラルな感じがして抜群に良かった。本作と同じ子に見えない。TBSのドラマでもヒロインを務めるなど、今後の活躍に期待したい。 監督は前作から引き続き三池崇史。バイオレンス系が多い人だが、ホラーの「着信アリ」(2004・日)を撮るかと思えば、SFの「神さまのパズル」を撮り、ドタバタ・コメディの「ヤッターマン」も撮る器用な人。ボクはホラーの「オーディション」(2000・日)がいいなあ。今回はどうにも……。次に本格時代劇「十三人の刺客」が控えているが。オープニング・クレジットではなぜか現場監督と表記。エンディング・クレジットでは普通に監督だった。 脚本も前作から引き続き宮藤官九郎。コメディ系が多い人で感動作も書いているが、つい最近がっかり時代劇「カムイ外伝」(2009・日)を書いてるからなあ……。 リアルなCGはOLMデジタル。前作も手掛け、「妖怪大戦争」(2005・日)や「クローズZERO」(2007・日)なども手掛けている雰囲気は「神さまのパズル」っぽかったが。 オープニング・クレジットの文字の見せ方が面白かったが、誰がデザインしたのか不明。 ゼブラ・ポリスが使っていたのは、MP5とG36Cっぽい銃。担当はBIGSHOT。 初日は舞台挨拶があるということでパス。日目の初回、銀座の劇場は全席指定で、金曜に座席を確保。20分前くらいに付いたらちょうど開いたところ。この時点では20人くらい。口頭によるアンケートをやっていた。アンケート用紙を渡して帰りに回収すればいいのに、なぜあんな手間のかかることをするのだろう。 最終的には511席の2F席無しに1/3いただろうか。男女比は7対3で意外に女性も多かったが、ほとんどは中高年。近くにいたおじいちゃんだけが時々笑っていた。ま、この出来ではこんなものだろう。今後増えるとも思えない。 気になった予告編は……ゲーム画面のような絵の「劇場版怪談レストラン」は、ゲームの映画かと思ったら、またTVの拡大版だった。まだ本編映像の無いティーザー。どうなんだろう。劇場窓口で前売りを買うとオバケースがもらえるというのは笑ったが。実話とは言え男子ソフトボールの「ソフトボーイ」は、感動話なんだろうけど、どうも「ウォーターボーイズ」(2001・日)の柳の下のようで……。「君が踊る、夏」も青春ダンス映画という感じで、またまた同類。なぜ? 藤沢周平の「隠し剣シリーズ」の「必死剣鳥刺し」は主演が豊川悦司。雰囲気的にはみな同じ感じだが……。「孤高のメス」は人気医療小説の映画化ということらしいが、どうにも「チーム・バチスタの栄光」(2008・日)で医療ものが受けたからではという感じがつきまとう。ただ主演の堤真一が田宮二郎の「白い巨頭」(1966・日)ようで、カッコいい。 |