Prince of Percia: The Sands of Time


2010年5月30日(日)「プリンス・オブ・ペルシャ 時間の砂」

PRINCE OF PERSIA: THE SANDS OF TIME・2010・米・1時間57分(IMDbでは116分)

日本語字幕:手書き書体下、林 完治/シネスコ・サイズ(マスク、with Panavision、Super 35、IMAX版は1.44)/ドルビー・デジタル、dts、SDDS

(米PG-13指定)

公式サイト
http://www.disney.co.jp/movies/persia-movie/
(音に注意。全国の劇場案内もあり)

古代ペルシャが最大の勢力を誇っていた時代、サラマン王(ロナルド・ピックアップ)には2人の王子、タス(リチャード・コイル)とガーシヴ(トビー・ケベル)がいた。しかし、ある日、ひょんなことから多くの兵士たちの追跡を巧妙・果敢に逃げ回る少年ダスタン(ジェク・ギレンホール)を見て、養子として向かい入れることにする。15年後、立派に成人した3人の王子たちは、叔父のニザム(ベン・キングスレー)とともに、辺境の地の聖都アラムートを目前にしていた。父王からは手を出すなと言われていたが、スパイの報告によると、強力な武器をペルシャに敵対する国に売っていたというのだ。長男のタスは戦争を決心し、ガーシヴが正面から、ダスタンが側面から城塞に攻撃を仕掛ける。ダスタンの活躍で落城させたタス軍は、民衆の反発を買わないようタス王自身がタミーナ王女(ジェマ・マタートン)と結婚することにする。事態を聞いて駆けつけたサラマン王はタスを責めるが、武器の密造所は必ずあるから証明して見せるという。ダスタンは戦勝の宴でサラマン王にアラムートの法衣を贈るが、それを着たサラマン王は内側に塗られていた毒により死亡してしまう。父王殺しとして捕らえられそうになったダスタンは、タミーナの手引きで逃げ出すが、タミーナの本当の目的はダスタンを逃がすことではなかった。

73点

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 人気ゲームの映画化。ゲームの特徴を生かして、良く走り、よく飛ぶ。そして、冒険に継ぐ冒険の大冒険談。見どころもたっぷりで、正しいかどうかわからないが「アラジンと魔法のランプ」とかのアラビアン・ナイト、ペルシャの雰囲気も満点。素晴らしい景観。特殊効果も使いまくり。全員が英語を話しているのに違和感がない。

 時間がさかのぼる魔法も、限定的で節度を持って使われている。でないと失敗をやり直せるということで、すべてがそれで簡単にひっくり返されてしまうことになる。当然観客の心は離れてしまう。TVドラマの「HEROES/ヒーローズ」で、ヒロが自由自在に時間を遡って、すっかりストーリーを台無しに、視聴率がどんどん落ちていった(他にも要因はたくさんあるが)のが良い(悪い?)例。それをうまく取り込んでいる。本作は成功例。

 全体はわずかにセピアを帯びた色調で時代感を出し、くせ者のキャラクターをたくさん配し、アクションとスペクタクルと笑いで、陰謀・確執・恋なんてものを描き出した。ただ、ひとつ、ヒロインだけがちょっと華がないと言うか派手さが足りない感じがするが……。あえて言えば「レイダース/失われたアーク《聖櫃》」(Raiders of the Lost Ark・1981・米)のインディ・ジョーンズ風だろうか。第2の「パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち」(Pirates of the Caribbean: The Curse of the Black Pearl・2003・米)を狙った節もある。

 貧しい出の王子ダスタンを演じたのは、ジェク・ギレンホール。繊細でナイーブな青年役が多かった気がするが、それを覆す初のアクション作品。6ヶ月掛けてトレーニングを積み、肉体作りから役作りをしたと言うだけあって、がっしりした体つきで筋肉も隆々。顔つきまで変わった感じ。やっぱり良かったのはロケット少年を描いた「遠い空の向こうに」(October Sky・1999・米)。さいきんちょっと良い作品に恵まれなかった感じだが、本作はよい挑戦になったのではないだろうか。アクションでも充分いけることを証明した。

 ヒロインのタミーナ王女を演じたのはジェマ・アータートン。「007/慰めの報酬」(Quantum of Solace・2008・英/米)でボンドに協力して殺されてしまう現地エージェントを演じていた人。印象が全く違うのでわからなかった。ちょっと残念な「タイタンの戦い」(Clash of Titans・2010・英/米)では守護者イオを演じていた。化粧の違いか、本作は別人のよう。しかも地味。

 悪役は、最近悪役ばかりのベン・キングスレー。「ラッキーナンバー7」(Lucky Number Slevin・2006・独/米)はなかなかすごかった。つい最近、悪役のように見せて裏をかく「シャッターアイランド」(Shutter Island・2009・米)に出ていた。

 次兄ガーシヴはトビー・ケベル。ガイ・リッチーのバイオレンス映画「ロックンローラ」(RocknRolla・2009・英)で危ないジャンキーのロックンローラを演じていた人。まるで本当のジャンキーのようだったが、ほんさくでもちょっと危ない感じが……。

 砂漠の商人のボス、シーク・アマールを演じたのはアルフレッド・モリーナ。あの「レイダース/失われたアーク《聖櫃》」で、冒頭のガイドをやっていた人。とぼけた感じが抜群で、本作でもそんな雰囲気。この人が出ていることがインディ・ジョーンズ風を狙ったことの証かもしれない。

 ストーリーはジョーダン・メックナーのゲームに基づいており、脚本としてクレジットされているのは3人。ボアズ・イェーキン、ダグ・ミロ、カルロ・バーナードだ。ボアズ・イェーキンは脚本家であり、監督でもある。脚本としては、ドルフ・ラングレンの「パニッシャー」(The Punisher・1989・豪/米)やクリント・イーストウッドの「ルーキー」(The Rookie・1990・米)、青春ラブ・ストーリーの「ダンシング・ハバナ」(Dirty Dancing: Havana Nights・2004・米)があり、監督作としては実話に基づいた感動作「タイタンズを忘れない」(Remember the Titans・2000・米)や、つい先頃亡くなったブリタニー・マーフィーの感動コメディ「アップタウン・ガールズ」(Uptown Girls・2003・米)などがある。ダグ・ミロとカルロ・バーナードはともに日本未公開の「The Great Raid」(2005・米/豪)、日本劇場未公開の「ゲスト」(The Uninvited・2009・米/加/独)、そして2人はともにこれから公開されるニコラス・ケイジの「魔法使いの弟子」の脚本も手掛けている。はたして、どうか。

 監督はマイク・ニューエル。元はTVの人で、古くはチャールトン・ヘストンのミステリー・アドベンチャー「ピラミッド」(The Awakening・1980・英)、ロマンチック・コメディの「フォー・ウェディング」(Four Weddings and a Funeral・1994・英)、大ヒット・シリーズ「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」(Harry Potter and the Goblet of Fire・2005・英/米)を手掛けている。なんでもありで、職人監督という感じだろうか。

 プロデューサーは「パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち」などのヒット・メーカー、ジェリー・ブラッカイマー。

 公開3日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、金曜に座席を確保、30分前くらいに着いたら9時前で劇場が開いていなかった。9時に劇場が開き、買ってきたコーヒーを飲みながら待っていると(ここのは極端に量が少ない)、10分ちょっと前くらいに開場。下は中学生くらいから、上は中高年まで幅広かったが、やっぱりメインは中高年。やや高が多いか。男女比は6対4くらいで、意外に女性も多かった。とにかく遅れてくるヤツが多いが、最終的には157席にたぶん7割りくらいの入り。

 気になった予告編は……上下マスクの「アイアンマン2」は公開が近いということで、長めの新バージョン。ますます楽しみに。スクリーンの上下が狭まってシネスコになってからピントがあまくなった。嫌な予感。

 「トロン レガシー」は実に美しい絵。20年たってどれだけ先進の映像を見せてくれるのか。最初の「トロン」にも驚かされたが、今度はどうか。予告も見た限りは期待できそう。3D上映もあるらしい。12/17公開。ただタイトルは早く出して欲しい。

 内容は良くわからないが、ニコラス・ケイジの「魔法使いの弟子」は、「ファンタジア」(Fantasia・1940・米)のミッキー・マウスの「魔法使いの弟子」とはだいぶ違うようだ。左右マスクの「トイ・ストーリー3」は新予告で、やっぱり鉄板、面白そう。これが終ったくらいで、ようやくピンが来た。良かったあ。

 ちょっとコピー防止のドットのようなものがあったのが気になった。


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