Iron Man 2


2010年6月12日(土)「アイアンマン2」

IRON MAN 2・2010・米・1時間57分(IMDbでは124分)

日本語字幕:丸ゴシック体下、表記なし/シネスコ・サイズ(マスク、with Panavision、Super 35、IMAX版は1.44)/ドルビー・デジタル、dts、SDDS

(米PG-13指定)(一部の劇場で日本語吹替版もあり)

公式サイト
http://www.ironman2.jp/
(入ったら音に注意。全国の劇場案内もあり)

モスクワで科学者アントン・ヴァンコ(イェヴジェニ・ラザレフ)が亡くなる。息子のイワン(ミッキー・ローク)は、トニー・スタークへの復讐のため、父が残してくれた図面を基に、アイアンマンと同等のパワーを持てるアーク・リアクターを作りだし、プラズマを帯びた鞭、ウィップ・ラッシュを完成させる。6カ月後、世界の最新技術を集めて展示するスターク・エキスポが開催される。そしてアイアンマンは自分だと告白したトニー・スターク(ロバート・ダウニーJr.)は、アメリカ上院の公聴会への召喚され、アイアンマン・スーツは武器であり、危険だから政府に渡すよう求められる。しかし証人として登場したライバル会社のジャスティン・ハマー(サム・ロックウェル)が提出した証拠はすべてトニー・スタークによって覆される。そして彼はF1のモナコ・グランプリに出場するためモナコに向かう。ところが、レース会場に突然イワンがウィップ・ラッシュを持って現れ、次々とF1マシンを真っ二つにしていくのだった。

75点

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 理屈抜き、面白い。アニメのロボット・アクション物のような内容が実写でリアルに迫力満点で描かれる。素晴らしい音響効果、そしてあたかもそこに本物を写したかのような絵、ぞくぞくと登場するロボットたちと、わくわくするような戦い。そしてカッコいい美女とちょっと情けない男たち。痛快、爽快。何も考えなくて良い。これぞエンターテインメント、これぞハリウッド!

 とにかく絵が良いが、キャラクターもいい。だいたい男はすべて情けない。スタークはヒーローとして周りからチヤホヤされることと、アーク・リアクターの燃料として使われているパラジウムの毒が体に回り、死を予感して放蕩三昧。敵のイワンは追放された父の姿を見て育ち、性格はゆがみ放題。しかも頭はめっぽう良いらしいのに凶暴で、そのくせ戦うと意外に弱い。ライバルの武器メーカーのジャスティンは金もうけのことしか考えていないし、公聴会のスターン上院議員も自分を売り込むことが最優先。

 女性はいずれも美女ぞろいで、なおかつまともで有能。召喚状を届けに来るクールな女性連邦保安官、スタークの片腕ともいうべき有能な秘書のペッパー・ポッツ、5カ国語を操り格闘技もたしなむスターク社法務部の才女ナタリー・ラッシュマン。狙ったことなんだろうか。

 ロバート・ダウニーJr.は、つい最近「シャーロック・ホームズ」(Sherlock Holmes・2009・米/独)に出ていたばかり。本作は普通、演技派といわれる人ならやりたくない役だろう。しかしロバート・ダウニーJr.はいろいろあったので、断らないことにしたのかも。「トロピック・サンダー/史上最低の作戦」(Tropic Thunder・2008・米/英/独)も振り幅が凄いが、見ていないが「路上のソリスト」(The Soloist・2009・英/米/仏)はシリアスで、本作はコミックのヒーローだ。ヒットは彼に負うところが多いだろう。

 悪役がまた良い。ミッキー・ローク。大きな話題となった「ナインハーフ」(Nine 1/2 Weeks・1986・米)の雰囲気はもはやないが、悪役としてはすっかり定着した感じ。後味が悪いというので見なかったが「レスラー」(The Wrestler・2008・米/仏)はオスカー他たくさんの賞にノミネートされた。もう老人のような皮膚感なのに、筋肉は隆々。ラストがあまりにあっけなく、もっとシブトクがんばって欲しかった。

 もう1人の悪役、ジャスティン・ハマー役はサム・ロックウェル。「フロスト×ニクソン」(Frost/Nixon・2008・米/英/仏)や、見ていないが「月に囚われた男」(Moon・2009・英)などに出ているが、本当にこういうセコイ役をやらせたら天下一品。うま過ぎる。この人、私生活では普段どんな感じなのだろう。よく悪役ほど良い人が多いというが……。

 前作でテレンス・ハワードが演じたローディ中佐はドン・チードルが演じている。最近制作に回ることもあり、ポール・ハギスのあの名作「クラッシュ」(Crash・2004・米/独)もその1本。

 一応、正義の味方らしい謎の組織“シールド”のお偉いさんらしいニック・フューリーを演じるのは、アイ・パッチを付けて海賊みたいな雰囲気のサミュエル・L・ジャクソン。ちょっと強面の役なので(こんな役が多いが)、パッと見に正義の側なのか悪の側なのかがわかりにくい。そこを狙っているのだろう。1の「アイアンマン」(Iron Man・2008・米)では最後にちょっと出てくるだけだったが、本作ではもうちょっと関わってくる。そして2011年には彼らがメインとなる「Captain America: The First Avenger」が公開されるらしい。

 秘書のペッパー・ポッツはグウィネス・パルトロー。前作から引き続きの出演。さすがにお母さんになって一頃の輝くような美しさはなくなったが、それでもやっぱりきれい。最近はもっぱら本シリーズのみという感じ。

 東京でモデルをやっていたという設定の法務部の才女ナタリー・ラッシュマンはスカーレット・ヨハンソン。もともと超のつく美人だが、本作はいままで以上に美しい。ひょっとしたら最高にきれいかも。本作のこの人を見るだけでもお金を払う価値があるくらい。“シールド”のエイジェントになって格闘シーンを演じているときでさえ、きれい。完璧な美しさ。あえて言えば小柄で、175センチのグウィネス・パルトローと並ぶと163センチなので、ちょっと損をしているかも。アクションも、演出と編集のお手柄かもしれないが、どうしてどうして、へっぴり腰じゃないし、動きにキレがあって、説得力がある。スタッフにも愛されていると、こういうふうに見栄えがするように仕上がるのかもしれない。

 セリフは少ないが、召喚状を届けに来るクールな女性連邦保安官はケイト・マーラ。「ザ・シューター/極大射程」(Shooter・2007・米)でボブ・リー・スワガーを助ける戦友の奥さんを演じていた人。

 脚本はジャスティン・セロー。もとは役者だったようで、ショッキングな「アメリカン・サイコ」(american Psycho・2000・米)、デヴィッド・リンチの衝撃的ミステリー「マルホランド・ドライブ」(Mulholland Dr.・2001・仏/米)、アクションの「マイアミ・バイス」(Miami Vice・2006・独/米)などに出演している。初めての脚本が、ロバート・ダウニーJr.の「トロピック・サンダー/史上最低の作戦」。この人は注目かも。

 監督も前作から引き続き、役者出身のジョン・ファブローが担当。出演もしている。スターク社長のヘタレ・ボディガードというような感じで、お笑いキャラ。外見からはとても想像できないカッコ良いスマートな演出。人は見た目じゃないと。でも良い人そうな感じ。

 銃は軍の連中がM4カービンを使用。ローディ中佐が着たスーツに装着しようとする武器に、M134ミニ・ガン、FN2000、リボルヴィング・グレネード・ランチャー、赤外線誘導ミサイル「分かれた妻」(!)などなど。

 公開2日目の初回、新宿の劇場は全席指定なので前日に確保しておいて、20分前くらいに到着。コーヒーを飲んで待っていたら、15分前ほどに開場。あわてて飲み干して場内へ(持ち込み禁止なので)。字幕版だったが、下は小学校低学年くらいから中高年まで幅広かったが、メインは20代。男女比は6対4くらいで男性の方多く、女性は全体に若くオバサンはほとんどいなかった。最終的に301席の9割くらい、ほぼ満席に近かった。さすが期待作。

 気になった予告編は……スタローンの「エクスペンダブルズ」は新予告。命知らずの傭兵軍団の話らしい。しかもオール・スター・キャストのような豪華さ。王道アクション。痛快そう。

 やや上下マスクの「バウンティハンター」は元妻を連れ戻す賞金稼ぎのコメディ。ジェニファー・アニストンとジェラルド・バトラー。お手軽のようだが、面白いかも。

 あのマイケル・ベイの懲りないリメイク、上下マスクの「エルム街の悪夢」は新予告に。印象としてはほとんどウェス・クレイヴンのオリジナル版と同じ感じだが……。上下マスクの「ザ・ウォーカー」も新予告に。面白そう。

 エンド・クレジットが始まって1/4くらいの人が出て行ったが、最後に次につながる映像が。トニー・スタークの監視役だったシールドのエージェントが劇中でニュー・メキシコに行くといっていたが、実はそのニュー・メキシコに……。やっぱり場内が明るくなるまで出ちゃダメ。


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