A Nightmare on Elm Street


2010年6月26日(土)「エルム街の悪夢」

A NIGHTMARE ON ELM STREET・2010・米・1時間35分

日本語字幕:手書き風書体下、アンゼたかし/シネスコ・サイズ(マスク、Panavision)/ドルビー・デジタル、dts、SDDS

(米R指定、日R15+指定)
公式サイト
http://wwws.warnerbros.co.jp/anightmareonelmstreet/
(音に注意。全国の劇場案内もあり)

ある雨の夜、高校生のディーン(ケラン・ラッツ)は恋人のクリス(ケイティ・キャシディ)をスプリング・ダイナーに呼び出し、悪夢で寝られないと訴える。そして何者かに襲われるような格好で自分の首を切り裂いてしんでしまう。実はクリスも、クリスの元彼ジェシー(トーマス・デッカー)、友達のクエンティン(カイル・ガルナー)、ダイナーでバイトしているナンシー(ルーニー・マーラ)も同じ悪夢を見ていた。悪夢には同じ人物、焼けただれ刃物のツメを付けた不気味な男フレディ(ジャッキー・アール・ヘイリー)が登場しており、やがて夢の中で起きたことが現実になることを知る。みな眠らないようにするが、そんなことはできるはずもなく、次々とフレディに惨殺されていく。

70点

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 なぜ傑作ホラーをリメイクするのか。マイケル・ベイのやることは全く意図不明。全然オリジナルを超えていないし、前作をなぞっているだけ。衣装も同じだし、同じカット割りまである。しかも眠りが1つの重要なポイントで、眠い眠いの連発でこちらまで眠くなって、ちょっと寝た。前売り券が作られなかった理由が良くわかる。良かった、お金を払わなくて。たまったポイントでの観賞。

 ホラーなのにちっとも恐くない。大きな音でビックリさせるだけの映画。ストリーも全く同じなので、謎はちっとも謎ではないし、ほとんどの驚かす手法がハリウッド式で、次に振り向くといるなとか、この次に大きな音がして出るなというのがわかってしまう。かろうじて、最新のデジタル技術を使って、凶器が刺さっているところや切り裂くところを見せてえぐさを強調しているだけ。気持ち悪い。つまりトータルでカッコつけてるだけの悪趣味映画になっている。

 マイケル・ベイらしく、絵だけは格調高いっぽい雰囲気は持っている。しかし、せめてリメイク・シリーズ1作目の「テキサス・チェーンソー」(TheTexas Chainsaw Massacre・2003・米)のように、ジェシカ・ビールのような美女が出ているとかの見どころぐらいは欲しかった。そこそこの金髪美女はいるが、前半で死んでしまう。ストーリーは二の次。昔の事件が、今なぜこうして祟っているのかさえ語られない。それが気にならなければいいのだが、何とも気になる。

 1984年のウエス・クレイブンのオリジナル版「エルム街の悪夢」(A Nightmare on Elm Street・1984・米)は恐かった。恐ろしい数え歌の使い方、目覚めたいのに目覚められない恐怖、ロバート・イングラムが演じたフレディーの恐ろしさ……すべてオリジナル版がまさっている。最後の戦いの恐ろしさといったらなかった。お願いだからマイケル・ベイにはこれ以上過去の名作を汚すリメイクは止めて欲しい。「3時10分、決断のとき」(3:10 to Yuma・2007・米)を見習えと。ホラーをやりたかったらオリジナルでやれ。

 女子高生クリスは「96時間」(Taken・2008・仏)で主人公の娘の友達を演じたケイティ・キャシディ。元彼のジェシーは第2シーズンがダメダメだったTVの「ターミネーター:サラ・コナークロニクルズ」(Terminator: The Sarah Conner Chronicles・2008・米)のジョン・コナー役トーマス・デッカー。友達のクエンティンは「エクトプラズム 怨霊の棲む家」(The Haunting in Connecticaut・2009・米/加)のカイル・ガルナー。ウエイトレスのナンシーはルーニー・マーラで、まだ日本公開作はない模様。

 脚本は残念なクモ映画「アラクノフォビア」(Aracnophobia・1990・米)やゲーム原作の派手アクション「DOOMドゥーム」(Doom・2005・英ほか)のウェズリー・ストリックと、劇場作品は初めてのエリック・ハイセラーという人。リメイクということもあってか、あまり脚本には力が入っていないような気が……いや新人にチャンスを与えたということなのか。

 監督はサミュエル・ベイヤー。これまでミュージック・ビデオやCMを手掛けていた人で、本作は劇場長編デビュー作。本作がチャンスになったかどうかは微妙だろう。

 サラウンドの音響効果は素晴らしく、よく音が回っていた。コピー防止のドットが明るい画面にあって、ちょっと気になった。パトカーの警官が持っていたのはグロックか。引っ掻いたようなオープニングの文字を使ったタイトルはブロローグ・フィルムで、プロデューサーはUnjoo Lee Byarsという人「ザ・ウォーカー」(The Book of Eli・2010・米)、「イーグル・アイ」(Eagle Eye・2008・米/独)など最近大作を多く手掛けている。

 公開初日の初回、新宿の劇場は全席指定で、前日に確保。30分前くらいに着いてコーヒーを飲みながら待つと12〜13分前に開場。年齢層は20代くらいから中高年までと幅広かったが、多かったのは中高年。たぶんオリジナル版を見た人たちだろう。それでも20代くらいは1/3ほどいただろうか。マイケル・ベイなのでボクはお金を出さずにたまったポイントを使用。男女比は6対4くらいで男性が多かった。最終的に127席に6.5割くらいの入り。この作品にしてはよく入っていると思う。関係者らしい一団が6人くらい。多いって、2人で充分。

 気になった予告編は……「ソルト」、「アデル」、「インセプション」などは同じ予告。邦画の「インシテミル」は、時給112,000円の心理実験らしいが、内容はよくわからない。人形が恐かったが、これもTV系の作品で、日テレ。サブ・タイトルが7日間のデス・ゲームというらしい。おもしろいかも。


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