Predators


2010年7月10日(土)「プレデターズ」

PREDATORS・2010・米・1時間46分

日本語字幕:丸ゴシック体下、林 完治/シネスコ・サイズ(Panavision Genesis、HDCAM)/ドルビー・デジタル、dts

(米R指定)
公式サイト
http://movies.foxjapan.com/predators/
(音に注意。全国の劇場案内もあり)

傭兵のロイス(エイドリアン・ブロディ)は気付くと高空を落下していた。あわててパラシュートを開こうとするができず、ギリギリになって自動的に開き地面に叩きつけられる。やがて1人、2人と落下してきて、8人になる。ロシアのスペツナズαのニコライ(オレッグ・タクタロフ)、メキシコ・マフィアのクッチーロ(ダニー・トレホ)、アフリカのRUFの戦士モンバサ(マハーシャラルハズバズ・アリ)、FBIに追われる殺人鬼スタンズ(ウォルトン・ゴギンズ)、日本ヤクザのハンゾー(ルーイ・オザワ・チャンチェン)、武器を持たないドクターのエドウィンズ(トファー・グレイス)、そして紅一点のスナイパーのイザベル(アリシー・ブラガ)。状況が全くわからないことから、ロイスは周囲を見晴らせる高地へ行くといい、全員が付いて行くことになる。そして途中で太陽が全く動いていないことに気付き、奇妙な形の物体や様々なガイコツを発見し、ここが地球ではないと悟る。

75点

1つ前へ一覧へ次へ
 すでに敵も良くわかっているキャラクターで、命を掛けてハンティングをしていることもわかっているのに、新しい物語をきちんと作り上げて、ちゃんと楽しませてくれたのは驚き。しかも、ほとんど戦いというアクション・シーンの連続で、その中でドラマが語られて行くのですっと入ってくる感じ。やたら説明していないところも良い。

 しかも、ちゃんと驚きも用意されており、どんでもないクリーチャーや登場人物が現れる。そして、プレデターの手を逃れてサバイバルし、この惑星からの脱出口を求めて旅するというロード・ムービーのような構成で見せる。徐々に1人ずつ減って行くのは、ミステリーの定石。これをしっかり面白く見せている。8人の登場人物もちゃんと個性が良く出ており、単なる設定ではなくドラマを盛り上げている。

 それにしても派手な銃撃戦。凶暴なけだもの相手だから、何の躊躇もなく、とことん弾丸を撃ち込むことができる。全員の一斉射撃はものすごい迫力。痛快。逆にドラマがちょっと物足りないくらい。押しつけがましくなっても困るが、もう少しそれぞれのキャラのバックボーンに触れる部分があっても良かったかなと思う。

 傭兵のロイスはエイドリアン・ブロディ。最近ちょっと見なかったが、「戦場のピアニスト」(The Pianist・2002・仏ほか)、「ジャケット」(The Jacket・2005・米/独)、「キング・コング」(King Kong・2005・ニュージーランドほか)、「ハリウッドランド」(Hollywoodland・2006・米)など一時は話題作に出まくり。ちょっと病弱な感じのイメージだが、本作はかなり骨太の役。イメージ・チェンジを狙ったか。使っていた武器はフル・オートマチック・ショットガンのAA-12。しかも20連のドラム・マガジンを装着。腰の後ろにスペアのドラムを持っていた。

 紅一点の女スナイパーのイザベルはブラジル生まれの美女アリシー・ブラガ。つい最近「レポゼッション・メン」(Repo Men・2010・米/加)に出ていたばかり。まもなく公開される「ソルト」にも出ているんだとか。あちことで引っ張りだこだ。たしかに、ゴージャスな美女というのではないが、存在感があって、独特の魅力がある。使っていたのはコンペンセイターのようなものがついたUSPとブレイザーのR93スナイパー・ライフル。しかもスコープは電子式のエルカン・デジタルハンター。12万円くらいする高級品。ビデオ撮影も可能なんだとか。

 日本ヤクザのハンゾーはルーイ・オザワ・チャンチェン(ルイ・オザワとも)。1999年くらいから活躍を始めたようで、残念ながら日本劇場公開作品はないもよう。父親が台湾人で母親が日本人のニューヨーク生まれ。新作の「Fair Game」は日本公開されるのだろうか。使っていたのは日本刀のほかに、ショルダーに入れたコンペンセイターのようなものがついたシルバーのベレッタM92。X字にマズル・フラッシュが出ていた。

 ロシアのスペツナズαのニコライはオレッグ・タクタロフ。格闘技UFCの元チャンピオンでロバート・デ・ニーロと共演した「15ミニッツ」(15 Minutes・2001・米/独)での悪役が光っていた。最近はホアキン・フェニックスの「アンダーカヴァー」(We Own the Night・2007・米)に出ていた。使っていた武器はM134ミニガン。

 ドクターのエドウィンズはトファー・グレイス。「スパイダーマン3」(Spider-Man 3・2007・米)で敵の1人、ヴェノムを演じていた人。つい最近「バレンタインデー」(Valentine's Day・2010・米)に出ていたらしい。持っていた武器は医療用のメス。

 メキシコ・マフィアのクッチーロはダニー・トレホ。B級映画の悪役ならこの人にお任せ。黒澤明原作の「暴走機関車」(Runaway Train・1985・米)でデビューし、以来数々の作品に出ている。最近ガッカリだった「プラネット・テラー」(Grindhouse・2007・米)に出ていた。何と、公開を控えている出演作品は20本近くもある。スゴイ。プロデューサーのロバート・ロドリゲスは従兄弟らしい。使っていたのは2挺のMP5。

 FBIに追われる殺人鬼スタンズはウォルトン・ゴギンズ。「メジャー・リーグ3」(・1998・)や「シャンハイ・ヌーン」(・2000・)に出ていた人で、その後TVの「ザ・シールド」(The Shield・2002〜2008・米)にレギュラー出演。劇場映画では「セントアンナの奇跡」(Miracle at St. Anna・2008・米/伊)に出ていた。使っていたのはナイフ。途中で誰かオレに銃をくれと叫ぶ。

 アフリカのRUFの戦士モンバサはマハーシャラルハズバズ・アリ。TVドラマ「4400未知からの生還者」(The 4400・2004〜2007・米)で白人女性と結ばれる心優しき黒人を演じていた人。劇場映画ではブラッド・ピットの「ベンジャミン・バトン数奇な人生」(The Curious Case of Benjamin Button・2008・米)に育ての親で出ていた。使っていたのはAKMS。

 途中から出てくる唯一の生存者ノーランドはローレンス・フィッシュバーン。「マトリックス」(The Natrix・1999・米/豪)シリーズが有名だが、ボク的にはハードSF「イベント・ホライゾン」(Event Horizon・1997・英/米)やB級アクションの「ボビーZ」(The Death and Life of Bobby Z・2007・米/独)がいい味を出している。日本のカブトのようなものを被り、いろいろミックスしたような銃を持っている。ほかにシグナル・ピストルも使う。

 脚本はアレックス・リトヴァクとマイケル・フィンチの2人。アレックスは本作が脚本は初めてのようだが、なかなか面白かった戦場ジャーナリストの裏側を描いた「ハンティング・パーティ」(The Hunting Party・2007・米ほか)でコプロデーサーを務めていた。マイケルも本作が初めて。

 監督はニムロッド・アーントル。ハリウッド・デビュー作はケイト・ベッキンセールの良くできたスリラー「モーテル」(Vacancy・2007・米)。そのあと、ちょっと脚本がいただけなかった「アーマード武装地帯」(Armored・2009・米)を監督している。面白いのは1回おきか。

 公開初日の初回、新宿の劇場はペア・シート以外全席自由。40分前くらいに着いたら、15〜16人の行列。ほぼオヤジで、女性は1人だけ。35分前くらいに22〜23人になったところで開場。それにしても、場内に入ると携帯を使うというのはどういうことだろう。暗い方が液晶が見やすいからか。ということはつまり、画面が光って周りの人には目障りなんだけどなあ。

 最終的には1,064席に5割くらいの入り。前席の頭がやや邪魔になる劇場なので、このくらいの混みがちょうど良い。

 チャイムの後アナウンスがあって、カーテンが上がり、明るいままCM・予告へ。気になった予告編は……韓国映画「パラレルライフ」はリンカーンとケネディがそうであったように、時代を隔てながら同じタイミングで同じ事件に巻き込まれることを描いたSFミステリー。韓国映画は発想も素晴らしい。このままでは自分の娘が殺されるという事態に。誰が信じてくれるかという中、残りは後16日。さあどうするって、見たいけど、劇場がなあ……。

 吸血鬼映画「トワイライト」シリーズ第3作「エクリプス」は、2が酷かったから期待できそうもないなあ。もう見る必要ないかも。暗いシーンが多いので、この明るい環境だと良くわからない。ちょっと考えて欲しいなあ。

 「キャッツ&ドッグス」は面白そうだが、吹替版での予告ということは子供向けか。3D版もあるらしいが、2Dをあとから3Dにしたものはほとんど効果が無く、かえって3D映画の評判を落とすことになると思うけど。目先に興収に走って3Dをダメにしてしまいかねない。そんなことにならなければいいが。

 「エアベンダー」も暗いシーンが多く、良く見えなかったが、新予告。予告は面白そうだが、監督がM・ナイト・シャマランだからなあ……。CGショーという感じも。これも3Dがあるらしい。ただ、この劇場の3Dは持ち帰り自由の3Dメガネなので、700円もの差額を取らないかもしれない。それに指紋なども付いていないだろうし。

 スクリーンが左右に広がってシネスコになり、トム・クルーズのスパイ・アクション「ナイト&デイ」はおもしろそう。スゴイアクションの連続。翻弄されてパニックになるキャメロン・ディアスが良い。


1つ前へ一覧へ次へ