The Bounty Hunter


2010年7月10日(土)「バウンティー・ハンター」

THE BOUNTY HUNTER・2010・米・1時間50分

日本語字幕:細丸ゴシック体下、藤澤睦実/シネスコ・サイズ(ARRI、Super 35、マスク)/ドルビー・デジタル、dts、SDDS

(米G指定)
公式サイト
http://www.bountyhunter.jp/
(音に注意。全国の劇場案内もあり)

元NYPDの警察官で、現在は賞金稼ぎをやっているマイロ(ジェラルド・バトラー)は、逃亡者を追跡中にパレードの山車に火をつけてしまい留置場に入れられる。しかし元同僚のボビー刑事(ドリアン・ミシック)に出してもらう。そして新しい仕事として、離婚した元妻で、デイリー・ニュースの敏腕記者ニコール(ジェニファー・アニストン)が接触事故を起こし、裁判所での審問会を受けるはずだったのが、自殺事件の情報屋(アダム・ローズ)から連絡が入りそれをすっぽかしたため、逮捕令状が出たと言う。警察署へ連れて行けば5,000ドルになる。元妻の行き先の予測がつくマイロは喜んで仕事を引き受けるが、自殺事件の裏にいる謎の男(ピーター・グリーン)が情報屋を捕まえ、誰の命令か吐かせていた。魔の手はニコールにせまる……。

73点

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 軽〜い感じのロマンチック・コメディ。IMDbでも、わずかに5.1点という評価。でもそこそこ笑えて面白かった。デート・ムービーとしても良いし、気分が落ち込みがちなときとか、面倒くさいことは考えたくないときには、頭を真っ白にして見れる。何も考えなくて良い。

 ちょっとドタバタ的なところはあるが、シチュエーションと会話で笑わせようとしているところが良い。その会話もダジャレ系ではなく、よく練り込まれたもので、軽いコメディだが作りは軽くない。しっかりと真剣に作り込んでいる。へんな顔で笑わせるとか、バカなことをして笑わせるなんてことをしていないのがいい。

 ただ、若干違和感はある。特に元妻がいくら敏腕新聞記者とはいえ、口先八兆というか嘘をつきすぎ。きっとこうやってネタを仕入れているんだろうと思わせる設定なのか。だからあまり元妻に同情的になれない。そして、元夫は少しおバカ過ぎ。ジェラルド・バトラーは「300〈スリーハンドレッド〉」(300・2007・米)ではあんなにカッコ良かったのに、普通だとどうしてこんなにカッコ悪いというか、情けない感じになるのか。この映画はこの2人のキャラクターにかかっているわけで、面白くしようとして、ここがブレてしまったのではないだろうか。IMDbではわずか5.1点という低評価。

 ニコール役のジェニファー・アニストンは、コメディエンヌとしていい味を出しているが、いかんせんキャラクター設定がちょっと良くなかった。それに、1969年生まれは41歳で、さすがに歳を取ったなという感じ。全然悪くはないし、がんばっているが、サンドラ・ブロックのセンをねらっているのか。TVシリーズ「フレンズ」(Friends・1994〜2004・)を見ていた人にはなじみがあるだろうが、それ以外の人にとってはあまりピンと来ない。最近作「マーリー 世界一おバカな犬が教えてくれたこと」(Marley & Me・2008・米)と「そんな彼なら捨てちゃえば?」(He's Just Not That Into You・2009・米ほか)はどちらも見ていない。使っていた銃はグロック。

 マイロを演じたジェラルド・バトラーは、ボクはあまり好きではないがミュージカルの「オペラ座の怪人」(The Phantom of the Opera・2004・米/英)で注目された人。「300〈スリーハンドレッド〉」は素晴らしかったが、ジョディ・フォスターの「幸せの1ページ」(Nim's Island・2008・米)は酷かった。どうも作品に恵まれていない感じ。武器はスタンガン。ポンプ・ショットガンもぶっ放している。

 ニコールの母親キティを演じたのはクリンスティーン・バランスキー。アバの曲をふんだんに使った楽しいミュージカル「マンマ・ミーア!」(Mamma Mia!・2008・英ほか)で色っぽいターニャをやっていた人。本作では怪しい色気を振りまいている。TVの「ゴースト〜天国からのささやき」(Ghost Whisperer・2005・米)でも確か、ジェナファー・ラヴ・ヒューイットちょっと変わったママを演じていたっけ。

 謎の男はピーター・グリーン。悪役が多い人で、スティーヴン・セガールの「暴走特急」(Under Siege 2: Dark Territory・1995・米)で印象に残るテロリスト役を演じていた。最近はキューバ・グッティング・Jr.の「エンドゲーム大統領最期の日」(End Game・2006・独ほか)でもテロリストを演じていた。イヤらしい感じが抜群。使っていた銃は復列弾倉のS&Wシルバー・オート。セフティはあってノバック系のサイト。

 ボビー刑事はドリアン・ミシック。「ラッキーナンバー7」(Lucky Number Slevin・2006・独/米)でギャングの手下をやっていた人。かなりの美形。

 脚本はサラ・ソープ。アシュレイ・ジャッドが男あさりの女刑事を演じた「ツイステッド」(Twisted・2004・米/独)の脚本を書いた人。あれも主人公に感情移入しにくかったっけ。

 監督はアンディ・テナント。ロマンス系の作品を撮り続けている人で、過去にはおもしろかったおとぎ話ロマンス「エバー・アフター」(Ever After・1998・米)や、チョウ・ユンファの出たリメイク「アンナと王様」(Anna and the King・1999・米)、大ヒットしたロマンチック・コメディ「メラニーは行く」(Sweet Home Alabama・2002・米)、見ていないがウィル・スミスの「最後の恋のはじめ方」(Hitch・2005・米)、日本ではマイクロ劇場公開だった「フールズ・ゴールド カリブ海に沈んだ恋の宝石」(Fool's Gold・2008・米)などを撮っている。ちょっと尻すぼみになっている感がなきにしもあらず。

 何カ所かコピー防止のドットが目立って気になった。

 公開初日の2回目、新宿の劇場は全席指定で、前日に座席を確保。20分前くらいに到着して混雑するロビーで待つと、12〜13分前に開場。メインは中高年で、男女比は6対4くらいで男性の方が多かった。若い人は1/5いただろうか。最終的に157席に6割くらいの入り。こんなもんか。

 まだラブ・ストーリーをやるかというジュリア・ロバーツの「食べて、祈って、恋をして」は、またもや男がハビエル・バルデム。「それでも恋するバルセロナ」みないな感じ? それにしても、早くタイトルを出せ。一瞬しか出ないのでは覚えられないではないか。

 シネスコになって「ベスト・キッド」の長い版。おもしろそう。これもタイトルが出るのが遅い。ソニーはみんなこの作りか。


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