Salt


2010年7月31日(土)「ソルト」

SALT・2010・米・1時間40分

日本語字幕:丸ゴシック体下、菊地浩司/シネスコ・サイズ(マスク、with Panavision、Super 35)/ドルビー・デジタル、dts、SDDS(IMDbではドルビー・デジタル)

(米PG-13指定)
公式サイト
http://www.salt-movie.jp/
(入ったら音に注意。画面極大化。全国の劇場案内もあり)

CIAのロシア担当部エージェント、イヴリン・ソルト(アンジェリーナ・ジョリー)は、北朝鮮で核開発に絡むスパイ容疑で逮捕され拷問を受けるが、偽装結婚したクモ学者の夫マイク(オーガスト・ディール)が大騒ぎしたことでスパイ交換することになり釈放される。2年後、CIA防諜部にロシアの亡命者ヴァシリ・オルロフ(ダニエル・オルブリフスキー)が捕らえられ、ソルトが尋問することになる。彼が語ったのはKA12という組織のスパイが潜入しているというのだ。その名はイヴリン・ソルトだと。ソルトはスパイと疑われると夫も拘束されることから、夫を助けるためビルを出ようとするが、すぐに追手がかかる。

73点

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 やっぱり、やってはいけない広告だった。絶対だまされるとか、見抜けるかとか、驚きの結末とか……。そいう映画ではない。普通のアクション映画。それにどんでん返しを付けただけ。アクション映画として見れば、良くできている・いわゆるジェットコースター・ムービー。ただ、それをミステリー、謎解き作品のように宣伝してしまったために敷居が上がり、物足りない感じがしてしまう。

 そして、いくらアクション満載のジェットコースター・ムービーとはいえ、満載過ぎて逆に単調になってしまった感じはする。100分ずっと緊張しっぱなしでは疲れる。緩急の「緩」がないと、「急」が楽しめない。全部「急」だから……。

 アンジェリーナ・ジョリーはかなりアクションをがんばっていると思う。そして演出と編集と殺陣師のおかげで体の動きもキレがあるように見え、さまになっている。いかにもエージェントっぽい。ただ、事件の発端の尋問室近辺にいる登場人物で怪しいのは1人しかいない。ということは、結末はおよそ想像がつく。だからこの意外さで見せる映画ではないのだ。意外さで見せるつもりならこのキャスティングはしないだろう。

 アンジェリーナ・ジョリーはよくアクション映画に出ている。「ボーン・コレクター」(The Bone Collector・1999・米)くらいから始まって、「トゥームレイダー」(Lara Croft: Tomb Raider・2001・米ほか)、「Mr. & Mrs.スミス」(Mr. & Mrs. Smith・2005・米)、「ウォンテッド」(Wanted・2008・米/独)となかなかハードなものばかり。しかしデビュー間もない「17歳のカルテ」(Girl Interrupted・1999・独/米)でアカデミー賞助演女優賞を受賞している演技派。イーストウッドの「チェンジリング」(Changeling・2008・米)でも印象に残る演技だった。銃は脱出する時にグロックを、アパートに戻ってP230になり、クライマックスでは敵のM92を奪って使う。長物は敵のSIG SG552を使用。

 上司のウィンターを演じたのはリーヴ・シュライバー。ヒット・ホラー「スクリーム」(・1996・)の頃はB級のイメージが強かったが、次第に大作に出るようになり、悪役も多くなってきた。つい最近「レポゼッション・メン」(Repo Men・2010・米/加)に会社の非情な重役の役で出ていた。銃はP229を使用。

 CIA防諜部のピーボディはイギリス生まれのキウェテル・イジョフォー。映画デビューはスピルバーグの奴隷問題を描いた「アミスタッド」(Amistad・1997・米)。最近大作に良く出ていて、「トゥモロー・ワールド」(Children of Men・2006・日/英/米)、「インサイドマン」(Inside Man・2006・米)、「アメリカン・ギャングスター」(American Gangster・2007・米)、「2012」(2012・2009・米/加)と続いている。銃はウィンターと同じくP229。支給銃ということか。

 脚本はカート・ウィマー。楽しいアクションの「トーマス・クラウン・アフェアー」(The Thomas Crown Affair・1999・米)の脚本、ガンカタ・アクションで驚かせてくれた「リベリオン」(Equilibrium・2002・米)の脚本・監督、CIAの裏側を描いた「リクルート」(The Recruit・2003・米)、強烈な刑事ドラマ「フェイクシティ ある男のルール」(STREET KINGS・2008・米)の脚本を手掛けている。まあ脚本・監督を務めた「ウルトラヴァイオレット」(Ultraviolet・2006・米)はなかったということで。

 監督はオーストラリア出身のフィリップ・ノイス。ジャック・ライアン・シリーズ第1作「パトリオット・ゲーム」(Patriot Game・1992・米)、第2作の「今そこにある危機」(Clear and Present Danger・1994・米)を監督し、「ボーン・コレクター」ではアンジェリーナ・ジョリーをうまく使っている。その後しばらくパッとしないままTVをやり、本作は久々の大作。やっぱりアクション系がうまいようだ。

 それにしても、CIAの取調室で、スキャンで男がガンだとわかるシーンがあるが、そんなことが可能ならもっと病院で使えばいいのに。高い金と時間を掛けて検査なんかすることない。それともこれはSFか。

 他に登場した銃は、特殊部隊がM4A1、CIAの追手や大統領の護衛がMP5、ポンプ・ショットガン、ロシアのスパイが1911にボ・マー・サイトを乗せたカスタムやAKMSなど。

 そして、続編が作られそうな終り方。

 公開初日の初回、新宿の劇場は全席指定なので前日に確保しておいて、35分前くらいに到着。コーヒーを飲みながら待っていると15分前くらいに開場。ほとんど中高年で、男女比は6対4くらいで男性の方が多かった。まっ、当り前か。関係者は3人くらい。あとで大学生くらいも少し増えた。最終的には607席に5割くらいの入り。こんなものか。

 ほぼ暗くなって始まった予告で気になったのは……トム・クルーズとキャメロン・ディアスのコミカル・アクション「ナイト&デイ」は新予告に。アクションは本格的で、面白そう。どうも色んな映画のパロディが詰まっている気がする。セルフ・パロディも含めて。ただ、スライドをスリング・ショット式で引いていたのは気になる。トム・クルーズは訓練を受けているはずなのに。演出だろうか。

 「魔法使いの弟子」は逆になんだかだんだんつまらなさそうに見えてきた。前売り買ったのに……。

 「バイオハザードIVアフター・ライフ」も新予告。アリスはほとんど忍者のような感じ。日本刀を2本担いで、手裏剣投げてるし。やっぱり流行りの3D上映らしい。ただ、ポスターというかチラシのパイソンが裏焼きなのが気になる。酷いもんだ。


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