Jennifer's Body


2010年8月1日(日)「ジェニファーズ・ボディ」

JENNIFER'S BODY・2009・米・1時間42分(IMDbではアンレイト版107分)

日本語字幕:手書き風書体下、中沢志乃/ビスタ・サイズ(デジタル(HDTV)、with Panavision、Super 35)/ドルビー・デジタル、dts(IMDbではドルビーのみ)

(米R指定、日PG12指定)
公式サイト
http://www.jennifers-body.jp/
(音に注意。全国の劇場案内もあり)

アメリカの小さな田舎町、渦巻をまいて水が落ちる穴のある悪魔の滝があることから名付けられた「悪魔の鍋」デヴルズ・ケトル。1軒しかないクラブ「メロディ・レーン」に都会からロー・ショルダーというインディーズ・バンドがやって来てライブを開くことになった。幼なじみの親友、高校一の美女のジェニファー(ミーガン・フォックス)と高校一地味なニーディ(アマンダ・セイフライド)は一緒に見に行くが、演奏中に出火し、多くの人が亡くなる大惨事となる。そしてその混乱の中、2人は命からがらトイレから脱出するが、ジェニファーはいち早く逃げ出したロー・ショルダーのバンに乗せられ、連れ去られてしまう。その深夜、全身血だらけのジェニファーが現れ、真っ黒の液体を吐き出し、ニーディに襲いかかろうとするが出て行く。翌日、学校でほとんど放心状態のニーディの前に、ケロリとした元気なジェニファーが現れる。

73点

1つ前へ一覧へ次へ
 まあ、美女たちのお色気と、残酷なほどのスプラッター・ホラー。ほど良いバランスで、緩急も利き、多少強引な所はあるが、とんでもない事件の真相へ至る過程も楽しめる。しかもこれだけ話を広げておいても、キッチリと落とし前はつけて見せる。その辺もみごと。

 ただ、これだけの大事件なのに警察も消防も、というか大人たちがほとんど活躍していないのは気になるところ。ほぼ高校内での話で終始してしまう。でも体を張ってがんばっている2人の美女のおかげで許せてしまうが……。女性や2人が好きでない人は評価が低いかも。

 低予算B級かと思ったら、出演者も有名だし、特殊効果も結構、本気。単なる高校生の惚れた腫れたじゃなく、彼氏を取ったとか取られたとかじゃなく、振ったとか振られたとかじゃなく、悪魔というところが良い。てっきりバンパイアものかと予想していたのだが、似ていてもそうではなく、悪魔だった。

 とにかくきれいなのはジェニファーを演じたミーガン・フォックス。この役は最初から彼女をイメージして書かれたらしい。でも24歳なのに高校生というのはちょっと無理がある感じ。しかも色気あり過ぎ。ただ、ほとんどスッピンというかメイクかもしれないが、不健康な顔までさらしてがんばっている。全裸で湖で泳いでいるし。「トランスフォーマー」(Transformers・2007・米)でただのマネキンのように使われたからその反動ということもあるのだろう。あの監督にとっては女性はそういうものなのに違いない。今後どんな作品に出るかで評価が分かれてくるだろう。演技派女優になれるか。

 イケてない少女ニーディはアマンダ・セイフライド。眼鏡とファッションでダサい感じを出しているだけで、はっきりいって美人。TVで活躍していた人だが、「マンマ・ミーア!」(Mamma Mia!・2008・英ほか)で注目され、今後新作が何本も控えている。結構際どいシーンも演じている。実際にはミーガン・フォックスの1コ上の25歳。なんとなく高校生に見えなくもなかった。

 ちょっと出てきてすぐ殺されてしまうが、同級生のゴスの男の子、コリン・グレイを演じたのはカイル・ガルナー。やっばりTVで活躍していた人だが、なかなか良くできたホラー「エクトプラズム怨霊の棲む家」(The Haunting in Connecticut・2009・米)でガンの少年を好演していた。うまいからちょっとでも印象に残る。つい最近マイケル・ベイのリメイク・シリーズ「エルム街の悪夢」(A Nighjtmare on Elm Street・2010・米)にも出ていた。ホラーづいているのか。

 バンドが売れるために悪魔と契約するバンド・リーダー、ニコライを演じたのはアダム・ブロディ。日本発のホラー「ザ・リング」(The Ring・2002・米/日)や「Mr. & Mrs.スミス」(Mr. & Mrs. Smith・2005・米)、タバコ会社などのロビー活動を描いた「サンキュー・スモーキング」(Thank You for Smoking・2005・米)などに出ていた人。なかなかうまい。

 製作総指揮・脚本はディアブロ・コディ。ストリッパーをしていたことがあるそうで、10代の女の子が妊娠する「JUNO/ジュノ」(Juno・2007・米/加)の脚本でアカデミー賞最優秀脚本賞を含む多くの賞を受賞した実力派。なるほどうまいわけだ。

 監督も女性で、カリン・クサマ。女性ボクサーを画いた「ガールファイト」(Girlfight・2000・米)の脚本と監督でデビューし、SFアクション「イーオン・フラックス」(AEon Flux・2005・)は残念だったが、本作が3作目とか。女性が主役の映画を作り続けるようだ。

 公開3日目の初回、銀座の劇場は初回のみ全席自由で50分前くらいに着いたら、もう1館が開場済みだったのでこちらも開場済み。ロビーにはまだ誰もいなかった。25分前くらいに13〜14人になり、まもなく開場するという案内があって、自主的に列ができた。2〜3分で開場。30代以上から高齢者まで。高の方が多かった。女性は1/3くらい。若い男性が2〜3人。このロビーが暗くて本も読めない。眼を悪くする。

 最終的に183席に5.5割くらいの入り。作品的にはもっと入ってもいいと思うが、宣伝も余りしていないので、こんなもんかな。

 スクリーンはビスタで開いており、本鈴のあと半暗になって、いつものヘンなキューピーのCMのあと始まった予告で気になったのは……「特攻野郎Aチーム」はTVのときからコミカルなものだったが、なんだかマンガみたいな感じがしてきた。どうなんだろう。

 ニノのコミック原作の「GANZ」(最新のFlashPlayerが必要)は原作を読んでいないので、さぱりわからない。面白そうな気はするが。上下マスクの「ザ・ラストメセージ海猿」は印象が「2」と一緒。3Dというのが逆に不安材料。また差額700円も取られる。300円くらいなら良いけど。見る方はそれほどの差はないのに。

 なかなかタイトルが出ない「瞳の奥の秘密」はアカデミー賞の最優秀外国語映画賞受賞作品だというのに小劇場での公開。ちょっと「ミレニアム」とダブる感じもするが、混みそう。なぜ小劇場で? そういう映画なのか。

 ジョン・レノンを描いたドラマ「ノーウェアボーイ」もタイトルが出ずにあやうく忘れるところ。メモを取っていてもわからなくなるのだから、予告は役に立っているのか。気になるというより、早くタイトルを出せと腹が立って。

 TVのスケール・アップ版「SP」は前後編2部作になるようで、先に「野望篇」が公開されるらしい。期待しているのだが、キャストや脚本はそのままでも本広監督が関わっていないということで、ちょっと不安も……。「踊る大捜査線」が同時期だったからなあ……。

 ストンプのドルビー・デジタルのデモの後、本編上映。何カ所かコピー防止のドットが気になった。


1つ前へ一覧へ次へ