The Socerer's Aprentice


2010年8月15日(日)「魔法使いの弟子」

THE SORCERER'S APRENTICE・2010・米・1時間50分(IMDbではアンレイト米版111分)

日本語字幕:手書き風書体下、石田泰子/シネスコ・サイズ(マスク、Arri、Super 35)/ドルビー・デジタル、dts、SDDS

(米PG指定)(日本語吹替版もあり)
公式サイト
http://www.disney.co.jp/deshi/
(音に注意。全国の劇場案内もあり)

2000年、ニューヨーク。小学生のデイヴ(ジェイク・チェリー)は課外授業で、風に舞ったメモを追って骨董品店に迷う混む。するとバルサザール(ニコラス・ケイジ)が現れ、気に入ったらこのドラゴンの指輪をあげようという。デイヴが手に取るとそれは動きだし手に巻き付いてくる。それは少年がバルサザールの師であるマーリン(ジェームズ・A・ステファンズ)の後継者で、死者を蘇らせようとする邪悪な魔法使いモルガナ(アリス・クリーグ)を倒すことのできる“選ばれしもの”である証明だった。ところがそこにモルガナに従う裏切り者の魔法使いマクシム(アルフレッド・モリナ)が現れ、デイヴをめぐってバルサザールと戦いを始める。ひょんなことから中国の古い壺が開き、マクシムとバルサザールはそこに飲み込まれてしまう。10年後、中国の壺から解放された2人は、再びデイヴ(ジェイ・バルシェル)の前に現れる。

71点

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 予想とちがって、単なる子供向きではなかった。子供向きなのだが、大人も楽しめるアクション・ ファンタジー。ちゃんと一生懸命作っている感じがした。ただ、どうにも主人公のデイヴの声や話し方などがおバカっぽくて、いまひとつキャラとして好きになれなかった。もう少し感情移入しやすいキャラだったら良かったのに。

 その観点からいくと、冒頭の小学生時代のエピソードの方が良い。主人公に好感が持て、興味が湧く。ファンタジーが成立しやすい年齢でもあると思う。アニメの「ATOM」(Astro Boy・2009・香/米/日)でも問題になったようだが、日本では子供っぽい少年キャラクターの方が好まれ、アメリカではもう少し年齢が上の青年キャラくらいの方が好まれるということの反映なのだろう。日本では子供でも人間としての成長が描かれていれば受けるが、アメリカでは少年や青年から大人への成長に興味があるということらしい。だから彼女も、女性の友達ではなく、男女の関係までいく女性でなければならない。

 ちゃんと「ファンタジア」(Fantasia・1940・米)の中の“魔法使いの弟子”のパートは本作中でも生かされており、おそらくここが本作の出発点だから、知っている人にはより楽しめるだろう。掃除を魔法を使って済ませようとしたミッキーが大変なことになる。しかし本作の主人公ではミッキーにはなれない。

 主人公のデイヴは、少年時代はジェイク・チェリーが演じている。「ナイトミュージアム」(Night at the Museum・2006・米/英)シリーズでベン・スティーラーの息子を演じていた子だ。かわいらしくていい。大学生になってからを演じたのはジェイ・バルシェル。クリント・イーストウッドの感動作「ミリオンダラー・ベイビー」(Million Doller Baby・2004・米)でボクシングを教えてくれなんて言っていたちょっと悲しい少年を演じていた人。戦争アクション・コメディ「トロピック・サンダー/史上最低の作戦」(Tropic Thunder・2008・米/英/独)では眼鏡の青年兵士を演じていた。コミカル系のキャラクターということで選ばれたんだろう。最新作は3Dアニメの「ヒックとドラゴン」(How to Train Your Dragon・2010・米)で、主人公ヒックの声を担当。それでは普通なのに、本作のキャラはどうだろう。

 魔法使いの先生はニコラス・ケイジ。もともと新人監督やゲテモノ作品でもよく出る人だが、最近は投資の失敗と浪費で高額な借金があるとかで、作品を選んでいられない状態なのかもしれない。良い人そうなのに、残念。最近はアニメの声の出演も多いが、実写では小劇場で公開された後味が悪いリメイク「バッド・ルーテナント」(The Bad Lieutenant: Port of Call - New Oleans・2009・米)に出ていた。

 デイヴのガール・フレンド、ベッキーはテリーサ・パーマー。「トワイライト〜初恋〜」(Twilight・2008・米)シリーズのクリスティン・スチュワートと良く似ているが、こちらはオーストラリア出身の金髪美人。人気シリーズ第2作「呪怨パンデミック」(The Grudge 2・2006・米)や、アダム・サンドラーのコメディ「ベッドタイム・ストーリー」(Bedtime Stories・2008・米)にホテル王の娘で出ていた。

 敵となる魔法使いマクシムはアルフレッド・モリナ。古くから活躍している人だが、最近は「プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂」(Prince of Persia: The Sands of Time・2010・米)で砂漠の盗賊の頭を演じていた。独特の味がある人。

 バルサザールの恋人の魔法使いヴェメニカを演じたのは、イタリアの宝石、モニカ・ベルッチ。最近、日本で劇場公開されちょっと話題になったのは、むちゃくちゃガン・アクション「シューテム・アップ」(Shoot'Em Up・2007・米)。ちょっと作品に恵まれていない感じ。

 脚本はたくさんの人がかかわっているが、原案を除くと、マット・ロペス、ダグ・ミロ、カルロ・バーナードの3人。マット・ロペスは「ベッドタイム・ストーリー」や「ウィッチマウンテン/地図から消された山」(Race to Witch Mountain・2009・米)など、なかなか楽しめる作品を手掛けている。ダグ・ミロは「プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂」を手掛けた人。カルロ・バーナードはダグ・ミロと共に「プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂」を手掛けている。

 監督はジョン・タートルトーブ。最近はTVの製作総指揮が多いようだが、ジャマイカ人がボブスレーでオリンピックに出場する実話のコメディ「クール・ランニング」(Cool Running・1993・米)、ニコラス・ケイジのヒット作「ナショナル・レジャー」(National Treasure・2004・米)シリーズを手掛けた人。ちょっとコミカルなアクションで手腕を発揮する人。いずれもプロデューサーとして敏腕ジェリー・ブラッカイマーが手掛けている。

 公開3日目の2回目、新宿の劇場は全席指定で、木曜に確保しておいて、20分前くらいに到着。10分前くらいに開場となり、暑かったのでペプシを買って場内へ。下は母親に連れられた小学生くらいの男の子もいたが(字幕版で大丈夫なのか)、だいたいは大学生くらいから中高年、男女比は半々くらい。最終的には157席の9割くらいが埋まった。

 ほぼ暗くなって始まった予告編で気になったのは……上下マスクの「シュレック フォーエバー」は浜田雅功のナレーションでの予告。やっぱり3D上映があるらしい。これで最後?

 上下マスクの「ハリー・ポッターと死の秘宝」は新予告。前後編で、パート2は2011年の夏公開なんだとか。3D上映で、ついにヴォルデモートと対決するらしい。

 スクリーンが左右に広がってから「トロン レガシー」の予告。ものすごい迫力。驚異の映像。カッコいい。音もクリアーで本編を見ているよう。早く見たい。3D上映は凄そう。できればIMAXで見たいが場所が……。

 エンド・クレジットの後に映像あり。魔法使いの三角帽子と、なにやらハットをかぶった男の影が……ということは。ほんの1カットだが、本編が終ってすぐに席を立たないように。


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