The A-Team


2010年8月21日(土)「特攻野郎AチームTHE MOVIE」

THE A-TEAM・2010・米・1時間58分(IMDbでは米版117分)

日本語字幕:手書き風書体下、林 完治/シネスコ・サイズ(レンズ、in Panavision、HDTVも)/ドルビー・デジタル、dts

(米PG-13指定)(日本語吹替版もあり)
公式サイト
http://movies.foxjapan.com/ateam/
(音に注意。全国の劇場案内もあり)

8年前、アメリカ陸軍の第75レンジャー連隊の二枚目テンプルトン“フェイス”ペック中尉(ブラッドリー・クーパー)、モヒカン頭のドライバーB.A.バラカス軍曹(クレイトン“ランペイジ”ジャクソン)、クレイジーな名パイロットH.M.マードック大尉(シャルト・コプリー)、リーダーのジョン“ハンニバル”スミス大佐(リーアム・ニーソン)で特殊部隊アルファ・ユニット(Aチーム)が誕生した。そして今、撤収間近のイラクの戦場にAチームはいた。そこにCIAのリンチ(パトリック・ウィルソン)があらわれ、フセインの残党が偽ドルの原版を手に入れ、30億ドルの贋札と共に持ち出そうとしているという。それで民間警備会社に依頼するという話をする。フェイスの元恋人で国防総省のソーサ大尉(ジェシカ・ビール)のチームが監視する中、ハンニバルは上司のモリソン将軍(ジェラルド・マクルーニー)に、Aチームにやらせてくれと直談判し、作戦を決行するが……。

73点

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 TV版のノリのままかと少し心配したが、杞憂に過ぎなかった。まさに痛快アクション。コミカルな要素はもちろんたっぷりあるが、おちゃらけではなく、真剣な部分はシリアスに真剣に作っている。だからギャグが効いてくる。ちょっと3D-CGにたよって超現実的なマンガになってしまった部分もあるが、全体としては緊張感もあって、楽しめる作品。悪役がちゃんと嫌らしくて憎たらしくて残虐で良い。

 もちろんTV版の良さは取り入れているし、TV版でおかしかったところは直し、また今の状況に合わせてアッブデートされている。1983〜1987年のままではない。

 つまりアメリカ軍では特殊部隊をAチームというふうには呼ばず、Aユニットなどと称する。しかも「A」は聞き間違いしやすいことから「アルファ」と読むのでアルファ・ユニットと呼ぶ。本作では軍事法廷で「アルファ・ユニットこと通称Aチーム」などとリアルっぽくしている。そして使用する銃も、8年前の事件ではリーダーのハンニバル・スミスがトレード・マークのルガー・ミニ14を使っているが、現在になるとマグプル・ストックのM4A1カービンだ。

 Aチームの4人のキャラは当然立っているし、それを追う国防総省(DOD)のソーサ中尉、陰で暗躍するCIAのリンチもキャラがしっかりしている。

 ハンニバル大佐を演じたのはリーアム・ニーソン。「シンドラーのリスト」(Schindler's List・1993・米)や「マイケル・コリンズ」(Michael Colins・1996・英/アイルランド/米)など堅いイメージがあるが、最近は残念なリメイク「タイタンの戦い」(Crash of the Titans・2010・英/米)に、ゼウス役で出ていたりする。「96時間」(Taken・2008・仏/米/英)ではハードなアクションを演じていたから、本作などはどうと言うことはなかっただろう。ミニ14、M4A1のほか、キンバーのような1911カスタムも使用。8年前はショルダーに入れているが、次にはベルト・スライドを使用。

 フェイスを演じたのはブラッドリー・クーパー。「エリアス」などのTVドラマから、ジム・キャリーの「イエスマン」(Yes Man・2008・米/豪)で注目され、「ハングオーバー!」(The Hangover・2009・米/独)でブレイクしたらしい。「そんな彼なら捨てちゃえば」(He's Just Not That Into You・2009・米/独/蘭)や「バレンタインデー」(Valentine's Day・2010・米)などの恋愛ものにも出ている。たしかに甘いフェイス。無精ヒゲでバランスを取っているらしい。銃はマグプル・ストックのM4A1を使用。ハンドガンはグロック。戦車の上からM2ブローニングもぶっ放している。

 B.A.は格闘家のクレイトン“ランペイジ”ジャクソン。意外と演技は自然な感じで、違和感はなかった。まっ、役柄がキャラクターにピッタリということもあるのだろうが。意外にも映画やTVドラマには2005年から出ていて、出演作は2011年分も入れて11本も。PRIDE発信の日本映画も1本ある。本作ではグレネード・ランチャーをぶっ放している。

 マードックはシャルト・コプリー。あの話題になったSFアクション「第9地区」(District 9・2009・米/ニュージーランドほか)でイケてない主役を演じていた人。本作では精神病院に入れられている役柄で、常人と異常のボーダーをみごとに演じている。

 CIAのリンチはパトリック・ウィルソン。衝撃作「ハードキャンディ」(Hard Candy・2005・米)でフォトグラファーを演じていた人。ちょっと若い頃のケビン・コスナーみたいでカッコいい。最近では意外なサスペンス「パッセンジャーズ」(Passengers・2008・米/加)が良かったか。ちょっと悪役が多い感じ。使っていた銃はSIGのたぶんP226。ラストにはMP5Kも使用。

 国防総省のソーサ大尉はジェシカ・ビール。この人が演じたことで存在感が出たのではないだろうか。一歩間違うとただの紅一点になりかねなかった(その感は強いが……)。「ブレイド3」(Blade: Trinity・2004・米)や「ステルス(Stealth・2005・米)など、ただきれいなだけじゃなくアクションもできる人なので、もうちょっと活躍して欲しかった。「幻影師アイゼンハイム」(The Illusionist・2006・チェコ/米)では公爵令嬢を演じ泣かせてくれた。「テキサス・チェインソー」(The Texas Chainsaw Massacre・2003・米)では胸の谷間をあらわにして走り回っていただけだったが……。使っていた銃はベレッタPx4のコンパクト。

 民間警備会社ブラック・フォレスト(!)のリーダー、パイクはブライアン・ブルーム。ボクは悪人だらけのTVドラマ「HEROES/ヒーローズ」シーズン3で、能力者ハンター部隊のボスを演じたジェリコ・イヴァネクかと思ったら雰囲気は似ているが別人だった。ブライアン・ブルームは「スモーキン・エース/暗殺者がいっぱい」(Smokin' Aces・2006・英/仏/米)に出ていたが、主にTVやビデオ・ゲームに出ている人。メインの銃はSIG SG552コマンド。H&K G36Kも使用。途中で米軍のSMAW汎用グレネード・ランチャーを撃つ。実はこの人、本作の脚本も担当している。

 銃はほかに、冒頭のメキシコのシーンでパイソンが出ているかと思ったのだが、imfdbでは.44口径のアナコンダらしい。またCIAの若手職員がベレッタM92にサイレンサーを付けようとして、それはサプレッサーだと指摘されるシーンもあった。

 脚本はブライアン・ブルームのほかに、ジョー・カーナハンとスキッブ・ウッドの2人ジョー・カーナハンは本作の監督でもあり、「スモーキン・エース/暗殺者がいっぱい」の脚本と監督や担当している。注目されたのはトム・クルーズが製作総指揮を買って出た「NARCナーク」(Narc・2002・米/加)。スキッブ・ウッドは「ソードフィッシュ」(Swordfish・2001・米/豪)、「ヒットマン」(Hitman・2007・仏/米)、「ウルヴァリン:X-MEN ZERO」(X-Men Origins: Wolverine・2009・米)と話題作の脚本を手掛けた実力派。

 製作にトニー・スコット、製作総指揮に兄のリドリー・スコットが入っている。こりゃ面白くなるべくして面白くなったのかも。

 クレジット後にも映像あり。すぐに席を立たないように。1〜2カ所、コピー防止のようなドットがあったような気がしたが、気のせいか。

 公開2日目の初回、銀座の劇場は初回のみ全席自由。50分前くらいに付いたら、まだビルのシャッターも開いていなかった。40分前くらいにシャッターが開き、20分前くらいに窓口が開いた時には10〜12人くらいの行列。若い人が2〜3人いたもののあとは中高年。男女比は半々くらい。前売り券を当日券と引き換えて場内へ。最終的には395席に3割くらいの入り。

 アナウンスのあとほぼ暗くなって始まった予告編で気になったのは……なんと漫画の「あしたのジョー」が山下智久で実写映画化されるらしい。丹下段平は香川照之。力石徹は伊勢谷友介。驚いた。

 「GANZ」はちょっとだけ新予告。アクション満載で、面白そう。上下マスク「SPACE BATTLESHIPヤマト」は新予告。おなじみのキャラが実写で、それも真剣ドラマで、凄いCGで……期待してしまう。

 なかなかタイトルが出ずイライラした3D-CGアニメ「快盗グルーの月泥棒」は日本語吹替での予告。絵の感じは「Mr.インクレディブル」(The Incredibles・2004・米)のよう。「アイス・エイジ」(Ice Age・2002・米)のスタッフの作品らしい。子供嫌いの泥棒と、パパが欲しい幼い三姉妹の話らしい。面白そう。


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