Haeundae


2010年9月25日(土)「TSUNAMI ツナミ」

TIDAL WAVE・2009・韓・1時間47分(IMDbでは120分、ディレクターズ・カット版129分、国際版103分)

日本語字幕:手書き風書体下、根本理恵/シネスコ・サイズ(マスク、Super 35)/ドルビー・デジタル

(韓12指定、米R指定)(日本語吹替版もあり)

公式サイト
http://www.mega-tsunami.jp/
(音に注意。全国の劇場案内もあり)

2004年、インドネシアで発生した東南アジア最大のマグニチュード8.9の大地震による津波で、外洋で操業中の漁船オクチョ号は遭難。ヨニ(ハ・ジウォン)の父の船長はケージの下敷きになり船と運命を共にする。乗組員のマンシク(ソル・ギョング)と、ヨニの同級生ドンチュー(キム・イングォン)らは救助ヘリに助けられる。5年後、妻に逃げられ男手1つで幼い息子を育てながら漁師をするマンシクは、ヘウンデの港で飲食店を営むヨニに、気持ちを打ち明けられないまま何かと手を貸して助けていた。一方マンシクの弟ヒョンシク(イ・ミンギ)は海洋救助隊の隊員で、ある日、海に落ちた女子大生のキム・ヒミ(カン・イェウォン)を助け、人工呼吸でキスしたことから「責任を取れ」と迫られていた。そして地質学者のキム・フィ(パク・チュンフン)は日本の北海道で発生した地震が次第に韓国に近づいて来つつあり、対馬付近で発生すればメガ津波が発生してヘウンデが壊滅すると警告を発する。そんな時、ヘウンデで文化エキスポが開催され、主催者の一員としてキム・フィの分かれた妻ユジン(オム・ジョンファ)が娘のジミンを連れてやって来る。

71点

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 なんなんだろう、この古めかしさは。たぶん意図なのだろうが、フィルムがちょっと黄ばんだ感じで、画質自体も余り良くない。まるで1970年代の、ちょうどパニック映画が流行った頃のフィルムのような感じ。ただ、CG技術はものスゴク進んでいて、まるでハリウッド映画を見ているかのよう。それでいて、涙を強要するような人間臭く卑近なドラマはさすがに韓国映画。つい泣かされそうになる。

 パニック映画の王道の構成。人々が集まるリゾート地やイベントなどの舞台設定。そこにいる人々それぞれのドラマ、問題を抱えた男と女、親と子、上司と部下、政治とビジネス……。そこへ襲いかかる大自然の猛威。阿鼻叫喚のパニック状態と破壊の数々。そしてそこからのサバイバルと、再建に向け立ち上がる人々。まさに昔の映画を見ているよう。

 CGはすごい。すごいが、どこかハリウッドのディザスター・ムービーで見たことがあるようなものばかり。たとえば「パーフェクトストーム」(The Perfect Storm・2000・米)や、「デイ・アフター・トゥモロー」(The Day After Tomorrow・2004・米)、「2012」(2012・2009・米)などなど。そこが残念。もっと新しい視点で見せて欲しかった。

 音響も素晴らしく、クリアで、重低音がスゴイ。重低音は座席を揺るがすほどで、かつての「大地震」(Earthquake・1974・米)で投入されたセンサラウンドのようだった。

 パニック映画としては「ポセイドン・アドベンチャー」(The Poseidon Adventure・1972・米)、「大地震」、「タワーリング・インフェルノ」(The Towering Inferno・1974・米)、「スウォーム」(The Swarm・1978・米)、ブームにとどめを刺した酷い出来の「世界崩壊の序曲」(When Time Ran Out ...・1980・加/米)などなど一連のアーウィン・アレン・プロデュース作品群。「パニック・イン・スタジアム」(Two-Minute Warning・1976・米)はこの範疇に入れていいものかどうか、わからないがパニックはパニックだった。これらを研究し尽くしたのか。

 マンシクを演じたのはソル・ギョング。結構昔から映画に出ているベテランで、作品は残念だったが潜水艦アクションの「ユリョン」(Yuryeong・1999・韓)、見ていないがちょっと話題になった「ペパーミント・キャンディ」(Peppermint Candy・1999・韓)、最近では「シルミド/SILMIDO」(実尾島・2003・韓)や「力道山」(Rikidozan: A Hero Extraodinary・2004韓/日)などに出ている。それぞれ、まるで違う人のようだというところが名優なのだろう。日本人から見るととても韓国人っぽい人。

 ヒロインの美女、ヨニを演じたのはハ・ジウォン。一時ブームになった韓国ホラー「友引忌(ともびき)」(Nightmare・2000・韓)に女子大生役で主演し、携帯電話ホラー「ボイス」(Phone・2002・韓)でも主演している。しかし恐がるだけではなく傑作ハード・アクション「デュエリスト」(Duelist・2005・韓)ではアクションもいけることを証明した。もっときれいな人なのに、本作では余り魅力が生かされていなかった感じ。残念。

 女子大生のキム・ヒミをコミカルに演じた美女はカン・イェウォン。日本公開作は初めてで、IMDbでも3本しかリストされていない新人。今後期待かもしれない。

 地質学者のキム・フィを演じたのはパク・チュンフン。「猟奇的な彼女」(My Sassy Girl・2001・韓)のチャ・テヒョンと共演したコミカル刑事アクション「あぶない奴らTWO GUYS」(Two Guys・2004・韓)や、SF歴史アクション「天軍」(Heaven's Soldiers・2005・韓)に出ていた人。

 地質学者の元妻、ユジンを演じたのはオム・ジョンファ。ドラマ系や恋愛ものが多いようで、ほとんど見ていない。しかし本作でもいかにもキャリア・ガール的な感じがして良かった。

 監督・脚本・製作はユン・ジェギュン。学園コメディ「マイ・ボス マイ・ヒーロー」(My Boss, My Hero・2001・韓)やエロチック・コメディ「セックスイズゼロ」(Sex Is Zero・2002・韓)などを撮っているらしいが、どれも見ていない。本作のコメディ要素はそれらから来ているらしい。「セックスイズゼロ」でハ・ジウォンを使っている。

 なんとCG視覚効果はハリウッドのハンス・ウーリック。第二班の監督と製作総指揮も兼ねている。この人はビジュアル・エフェクトで「スター・ウォーズ/ジェダイの復讐」(Star Wars: Epsode VI - Return of the Jedi・1983・米)シリーズや「パーフェクトストーム」、「デイ・アフター・トゥモロー」を手掛けている……って、オイオイ、そのまんまやないかい。

 公開初日の初回、新宿の劇場はスーパー・シート以外全席自由なので、30分前くらいに到着するとオヤジ1人にオバサン6人。25分前くらいに開場して場内へ。この時点で12〜13人。最終的に1,064席に60〜70人くらい。まあ、こんなものか。韓流ブームは一部のものだし、大手広告代理店が仕掛けたともいうし。ただ8割はオバサンで、たぶんブームに乗っちゃった人たち。あまり映画館では見かけないタイプ。ちょっと宝塚系にも似ているかも。

 スクリーン前だけ暗くなって始まったCM・予告は、周りが明るくて良く見えなかった。たぶん画面の1/3は見えてない感じ。もっと暗くして欲しい。ケータイは電源を切ってというマナー告知の後、堂々とケータイをチェックしてるオバサン。まあオバサンに限らず、必ずこういうヤツはいる。日本人の民度の低さか。

 気になった予告は……韓国映画、上下マスクの「国家代表」は長野オリンピックのスキー・ジャンプに韓国代表を送り込むため、シロート5人を集めて特訓するという実話に基づくスポ根コメディらしい。面白そうだが、どうにも「クール・ランニング」(Cool Runnings・1993・米)の影がちらついて……。

 なんとまだ「SAW」は作られるそうで、となると予想どおり3D上映。「SAWソウ・ザ・ファィナル3D」は、もうどうでもいいという感じ。シリーズ完結というが本当だろうか。それに1本目の精神なんて何にも残っていない気がする。ただ、あの人形だけは良いけど。

 そしてもう1つ驚いたのが「アバター特別編」の公開。10/16から3Dのみでの期間限定上映で、新たに未公開の9分の映像が追加されているという。うむむ、これはどうだろう、見たいけれど9分だけだもんなあ。でもこの劇場系だと液晶シャッターではなく、偏光眼鏡系か。どれくらい違うか見てみたい……けど前売りはなし。当日券ということは1,800円プラス300円くらいか。

 下だけマスクの「バーレスク」はシェールとアギレラが共演するショービズ・ストーリー。どこか「コヨーテ・アグリー」(Coyote Ugly・2000・米)とか「フラッシュダンス」(Flashdance・1983・米)系の感じはするが、音楽はイケてるし、絵がカッコいい。

 上下マスクの「エクリプス トライライト・サーガ」は「2」が酷かったので見まいと思っていたのだが、予告を見るとアクション満載っぽい。うーん、もう1回だまされてみるか……。

 上下マスク「ガフールの伝説」は新予告。フクロウたちの羽根がふわふわで本物みたい。ただ、場内が明るいので、暗いシーンの多いこの予告はほとんど見えない。もったいない。

 その後スクリーンが左右に広がって、やっと場内が暗くなり、本編の上映へ。


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