Legend of the Guardiens: The Owel of Ga'Hool


2010年10月2日(土)「ガフールの伝説」

LEGEND OF THE GUARDIENS: THE OWEL OF GA'HOOL・2010・米/豪・1時間44分(IMDbでは米版90分)

日本語字幕:丸ゴシック体下、今泉恒子/シネスコ・サイズ(デジタル(IMDbでは通常版2.35、3D版1.85、IMAX 版1.44))/ドルビー・デジタル、dts、SDDS(IMDbではドルビー・デジタルのみ)

(日PG12指定)(3D上映、2D版、IMAX 3D版、日本語吹替版もあり)

同時上映・短編

「(邦題不明)」

FUR OF FLYING・2010・米・6分

シネスコ・サイズ(デジタル)/ドルビー・デジタル

公式サイト
http://wwws.warnerbros.co.jp/guardiansofgahoole/
(音に注意。全国の劇場案内もあり。情報少ない)

メンフクロウ一家の3人の子供、長兄のクラッド(声:ライアン・クワンテン)、次兄のソーレン(声:ジム・スタージェス)。末娘のエグランタイン(声:エイドリアンヌ・デファリア)は、毎晩のように父から「ガフールの勇者たち」のおとぎ話を聞かされていた。そんなある日、両親に内緒で飛ぶ練習をしていたクラッドとソーレンは地面に落ちてしまう。そこにどこからともなく大人のフクロウが現れ、2羽を聖エイジー孤児院に連れて行く。そこでソーレンはやはりさらわれたサボテンフロクウのジルフィー(声:エミリー・バークレイ)と知りあうが、孤児院とは名ばかりで、「ガフールの勇者たち」のおとぎ話に出てくるフクロウの世界を征服しようとするメタルビーク(声:ジョエル・エドガートン)の妃ナイラ(声:ヘレン・ミレン)が月光の催眠術を使って心をコントロールし、自らの軍隊「純血団」の兵士に育て上げる訓練所だった。しかし担当教官のグリンブル(声:ヒューゴ・ウィーヴィング)から「ガフールの勇者たち」に知らせろと、ソーレンとジルフィーは逃がしてもらうが、戦士に選ばれたクラッドは残る。

77点

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 ふわふわの柔らかい毛に包まれたフクロウが、何といっても素晴らしい。まるで本物のフクロウが演技しているよう。特に3D上映になると、体の丸みのようなものが加わって、より存在感が増す。飛び方や、ありえない戦い方さえも、全く違和感がなく、自然。もはやCGとは思えないほど。

 そして、ジャック・スナイダーらしい、スローモーションを効果的に使った美しいほどの格闘戦。ただぶつかり合うだけではなく、金属の鉤爪を付けたり、刃物を持ったりして、まるでチャンバラや格闘技のように戦う。見ごたえがある。

 またフクロウの飛ぶ感じが気持ち良く、宮崎アニメのように飛んでいるような気分が味わえる。特に俯瞰のショットなどは3D上映でその効果が高まり、スピード感も気持ち良い。

 ストーリーはもいかにもクエスト、冒険ファンタジーという感じでまとめられており、新鮮味はないがその分安心して見られる。主人公の成長の物語であり、旅しながらいろいろな人と出会い、ロード・ムービーとしても楽しめる。戦いの感じは第1作の「スター・ウォーズ」(Star Wars・1977・米)を彷彿とさせるもので、フクロウたちの飛び方、編隊の組み方などがそっくり。ラストも王によって英雄として叙勲されるセレモニーで、実に気持ち良い。

 3D上映はマスターイメージ方式。従来のものとほとんど変わらない偏光フィルム方式で、効果としては液晶シャッターを使うXPanD 3D方式とほとんど変わらない。ただ、偏光フィルム方式は、明るさが余り落ちない分、コントラストが落ちている気がした。そして料金が安い。差額300円。昔は紙製だったが持ち帰れず、いまはプラスチック製なのに持ち帰りOK。一方、液晶シャッター方式は眼鏡が大きく重い。そして明るさがだいぶ落ちる。しかしコントラストはほとんど落ちない感じ。色もちょっと変わるが、「アバター」(Avatar・2009・米/英)の鮮やかな色は見事だった。こんどマスターイメージ方式の劇場で「アバター特別版」が公開されるので、比べてみるのも面白いかもしれない。それにしても差額700円は高過ぎ。そこまでの価値はないと思う。眼鏡は使い回しだから初期は手の脂などがついていてクリアに見えなかったりもしたし……。

 次兄ソーレンの声はジム・スタージェス。大学生が数学でギャンブルに挑む「ラスベガスをぶっつぶせ」(21・2008・米)で主役の大学生を演じた人。イメージにピッタリあっている気がした。長兄のクラッドは声はライアン・クワンテン。ジェームズ・ワンの音でおどかすホラー「デッド・サイレンス」(Dead Silence・2007・米)で主役を演じたイケメン。末妹のかわいいエグランタインの声はエイドリアンヌ・デファリア。本作が初めての仕事らしいが、なかなかうまかった。

 「純血団」の教官グリンブルと父のノクタスの声はヒューゴ・ウィーヴィング。「マトリックス」(The Matrix・1999・米/豪)のエイジェント・スミスを演じた人。悪の妃ナイラの声はヘレン・ミレン。「クィーン」(The Queen・2006・英/仏/伊)でエリザベス女王を演じた人だ。まあ、恐い。物書きのエジルリブの声はジェフリー・ラッシュ。「パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち」(Pirates of Caribbean: The Curse of the Black Pearl・2003・米)の呪われた海賊のキャプテン・バルボッサを演じていた人。「ガフールの勇者たち」のアロミア卿の声はサム・ニール。最近ヒット作はない感じだが「ジュラシック・パークIII」(Jurassic Park III・2001・米)で博士を演じていた。

 原作はキャスリン・ラスキーの子ども向けベストセラー小説シリーズ“Guardians of Ga'Hoole”。そして製作総指揮も兼ねている。ということはかなり原作に忠実なのだろう。脚本はジョン・オーロフとエミール・スターンの2人。ジョン・オーロフはスピルバーグのTVの戦争ドラマ・シリーズ「バンド・オブ・ブラザース」(Band of Brothers・2001・米)の2話、アンジェリーナ・ジョリーの戦場ドラマ「マイティ・ハート/愛と絆」(A Mighty Heart・2007・米/英)を手掛けている。戦いの物語は得意なのかもしれない。エミール・スターンは銃乱射事件をテーマにしたドラマ「ダイアナの選択」(The Life Befor Her Eyes・2007・米)を書いた人。

 監督はザック・スナイダー。走るのが速いゾンビが襲ってくる「ドーン・オブ・ザ・デッド」(Dawn of the Dead・2003・米)や、傑作アクション「300〈スリーハンドレッド〉」(300・2006・米)、ちょっと残念だった「ウォッチメン」(Waychmen・2009・米)を手掛けた人。だいたい戦いを描くのが好きなようだ。今回は子供も楽しめる作品だが、とにかく絵がカッコいい。「ドーン・オブ・ザ・デッド」の前には日本車のスバルWRXのコマーシャルを撮っているんだとか。

 公開初日の最後の回が字幕版。新宿の劇場は全席自由で、40分前くらいに着いたら、ロビーには中高年が3人。うち夫婦1組。差額300円を払って袋入りの眼鏡をもらう。20分前くらいに入れ替えとなって場内へ。この時点で13人くらい。男女比はほぼ半々。最終的には588席に30人くらいの入り。ちょっと少なすぎるのでは。大人が見てもおもしろい作品だし、これは吹替じゃなく、やっぱり字幕だろう。確かに3D上映だと字幕が邪魔ということはあるだろうが。

 カーテンが左右に開き、暗くなって始まった予告編で気になったのは……眼鏡をおかけくださいと出てから3Dで始まった「トロン:レガシー」は素晴らしい絵。モノトーンっぽいのに美しい。ついに3Dで見た。しかも新予告。ジェフ・ブリッジスが若い。

 そして、さらに3Dで「アバター特別版」の予告。これだけではどこが特別版なのかわからないが、8分の映像が追加されただけだと、ほとんど変わらないだろう。しかし映像に力がある。とにかく偏光フィルム方式で見てみたい。


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