Knight & Day


2010年10月9日(土)「ナイト&デイ」

KNIGHT & DAY・2010・米/豪・1時間50分(IMDbでは109分)

日本語字幕:丸ゴシック体下、松浦美奈/シネスコ・サイズ(マスク、with Panavision、Super 35)/ドルビー・デジタル、dts(IMDbではSDDSも)

(米PG-13指定)


公式サイト
http://movies.foxjapan.com/knightandday/
(音に注意。全国の劇場案内もあり)

父から引き継いだ車の修理工場を経営するジューン・ヘイヴンス(キャメロン・ディアス)は、カンザスからボストンへもどる飛行機でロイ・ミラー(トム・クルーズ)と知りあうが、飛行機はパイロットを失って不時着、かろうじてロイに助け出される。しかし「君はこれから悪者に追われる。『安全』という言葉を連発されたら殺されるから逃げろ」と教えられ、何かの薬で眠らされてしまう。翌日、自宅で目覚めたジューンは、ロイのメモとスクランブル・エッグを発見するが、CIAのエージェント、フッツジェラルド(ピーター・サースガード)が現れ、カンザスの研究所からあるものを盗んだロイを追っているという。そして『安全』な場所にかくまうからと、ジューンを連れ出すが……。

74点

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 コミカルなスパイ・アクション。たっぶり楽しめて、超絶アクション満載で、そして笑った。トム・クルーズの爽やかなキャラクター、そしてキャメロン・ディアスの明るいキャラクター、それがこの映画全体を支えている。昔のロジャー・ムーアやピアース・ブロスナンの007映画のような、シャレた会話と、痛快・爽快アクション。リアル・スパイのどろどろ感や、陰湿さはなく、かといってコミカルさメインのおふざけ感やいいかげんさもない。しっかり作ったエンターテインメントというところだろうか。ロマンチック・アクションとも言えるかも。お気軽に楽しめるデート・ムービーとも。

 いわゆる巻き込まれもので、往年の「泥棒成金」(To Catch a Thief・1954・米)、「おしゃれ泥棒」(How to Steal a Million・1966・米)、「シャレード」(Charade・1963・米)的な雰囲気もある。それを現代的にアレンジしたと。ただトム・クルーズが超人すぎるだけ。ここが少々問題かも。パイロットのいなくなった旅客機を畑に不時着させたり、高速を突っ走る車の屋根から屋根に移動したり、実にリアルに見せるが(そこが見どころ、驚きポイントでもある)ちょっとやり過ぎだったかも。この辺の評価で全体の印象も変わってくるだろう。

 これだけ広がってしまった途方もない話を、最後にちゃんと収めてしまうのはさすが。通称ゼファーと呼ばれる世紀の発明品は、いわゆるマクガフィンで、実際にはどうでも良いもの。とにかくこれの争奪戦を行うと。それにミステリアスな超人的二枚目、ナイトのようなナイス・ガイと、明るい性格で行動力のある魅力的な女性とのロマンスを見事に絡めている。

 ロイ・ミラーを演じたのはトム・クルーズ。アクションやドラマだけでなく、コメディにも出ている。最近で良かったのは殺し屋を演じた「コラテラル」(Collateral・2004・米)や日本が舞台の「ラストサムライ」(The Last Samurai・2003・米)だろうか。その「コラテラル」のトレーニングが役立っているようで、銃の扱いはうまい。ただ、ローディングをスリング・ショットでやるのはプロっぽくない。かなりの親日家で、「ラストサムライ」のロケでさらにそれが深まったらしい。使っていた銃は、グロック、レーザー・サイト付きのP226?、G36、M4かKACのPDW、MP7、後半はP250か。そしてiPhoneも使用。サイ・ホルスターの2挺拳銃というのもスゴイ。

 私生活でも明るいキャラらしいジューン・ヘイヴンスを演じたキャメロン・ディアスは、美形ではないのだが、とてもキュートで光っている人。青い目がきれい。もちろんシリアス物にも出ている。つい最近見たのはSFの「運命のボタン」(The Box・2009・米)。「バニラ・スカイ」(Vanilla Sky・2001・米)でトム・クルーズと共演している。トムから超大型リボルバー、タウルスのジャッジを持たされるがポストに捨てる。バイクで撃っていた2挺拳銃はP250か?

 CIAのエージェント、フッツジェラルドを演じたピーター・サースガードは悪役が多い人で、ジョディ・フォスターのヒステリック・アクション「フライトプラン」(Flightplan・2005・米)で、エアー・マーシャルを演じていた。使っていた銃はシルバーのP226?。

 ジューン・ヘイヴンスの妹役は、ほとんどセリフもないがマギー・グレイス。「LOST」でわがままな姉シャノンを演じていた美女。リュック・ベッソン脚本・製作の「96時間」(Taken・2008・仏/米/英)で、リーアム・ニーソンの娘を演じていた。

 銃はほかにM92エリート、M93Rマシン・ピストル、AKS47なども登場。

 脚本はパトリック・オニール。役者からキャリアをスタートさせ、2000年代に入ってTVの製作総指揮やクリエーターをやるようになり、劇場長編映画の脚本は本作が初めてのよう。しかしツボは押さえている感じ。このあとの作品がどうか。

 監督はジェームズ・マンゴールド。ボク的にはファンタスティック・ラブ・ストーリーの「ニューヨークの恋人」(Kate & Leopold・2001・米)、ミステリアスな群像ホラー「“アイデンティティー”」(Identity・2003・米)、感動リメイク西部劇「3時10分、決断の時」(3:10 to Yuma・2007・米)と名作ぞろい、この人、本当に天才ではないだろうか。どんなジャンルもこなす職人監督という感じで、昔はこんな達人が多かったような気も。

 公開初日の初回、新宿最大の劇場はペア・シート以外全席自由で、35分前くらいに着いたらオヤジが2人。25分前くらいに開場になって、その時点では12〜13人。女性は3人ほど。ほぼ中高年。みんな新しい劇場の方へ行ったのだろうか。歌舞伎町は映画館がバタバタとなくなって、一帯の雰囲気も悪くなってきた感じがするので、確かに足は遠のく。できれば来たくない感じ。

 その後、若い女性なども来て、最終的には1,064席に70〜80人くらいに入り。予告中にも入って来ていたので、もっと増えたかもしれない。20代くらいは1/4〜1/3くらいいただろうか。メインは中高年。

 スクリーン回り以外明るいままでの予告編は、よく見えない。特に暗いシーンになると酷い。せめて半暗にしてやって欲しい。そういう細かい調整ができないのだろうか。インターネットの予告動画の方が画質が良い印象。これはまずいのでは。

 気になったのは……過去の作品をコラージュした「SAWザ・ファイナル3D」は、いくら3Dにしようがもう……という感じ。もっと言えば、なぜ作り続けるのかがわからない。人が入るからだろうけど……暗いシーンが多く、ほとんど見えなかった。でも人形付きのボールペンだけは欲しくなった。

 上下マスクの「ハリー・ポッターと死の秘宝」は新バージョン。アクション満載だが、かなりダークで恐そう。3Dの予定が2Dでの公開に決まったんだとか。これも暗いシーンが多かったが「アバター特別編」もせっかく絵が美しいのに、場内が明るくて……。

 何回か見ているが、少し上下マスクの「バーレスク」がノリが良くてカッコいい。クリスティーナ・アギレラが素晴らしい。上下マスクの「エクリプス」は予告ではアクションが多そうだが、迷うところだなあ。とにかく男達がカッコいいと思えない。特にロバート・パティンソンがわからない。そして日本語吹替が上戸彩に成宮寛貴だって? 良い俳優でも良い声優とは限らない。またシロートか。成宮は過去に「スーパーナチュラル」やってるから、結果はわかっているはずなのに。

 マナーの悪さは相変わらず。携帯の注意が流れた後なのに、ケータイを付けてるヤツが必ずいる。


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